育児と仕事の両立に疲れ果てて、退職後、不動産投資を始めた雪子さん。まずは区分で一連の流れを学んだ話は【前編】で、1棟アパートを購入し、安定収入を築いた話を【中編】で紹介した。今回は、その後、東京に戻ってきて、戸建てに路線変更した話を紹介する。
現在はさらにDIYの技術を磨くために、週3回、作業員として、新築マンションの傷の補修などのリペア業務に従事している。これまで区分、1棟アパート、戸建てに投資をして学んだこととは? そして、これから大家さんデビューする人に向けたアドバイスを紹介する。
築古戸建ては、新築建て売り業者と、よくライバルに。
業者が見送る「テラスハウス」を、ほぼ業者価格で購入!
東京に戻り、東京で収益物件を探し始めるも、北海道の物件に比べて、利回りが低く、愕然とする。資産性で考えれば東京の方が、物件の価値が高いのかもしれないが…。
「その頃、DIYをやりたい気持ちになってきて、次は築古戸建てを購入してDIYで再生する方法にチャレンジしようと思いました。そこでDIYの師匠を見つけて師事することに。
師匠がリフォームを行う現場に週1回、数か月通って一通りの流れを学びました。そして物件を内見すれば、リフォームするために誰に何を発注すべきか、カラー映像で思い描けるぐらい、具体的に分かる状態になってから、戸建て投資を始めました」
DIYを前提にすると、自宅から通いやすい立地であることもポイントとなる。そこで自宅から家から30~40分で行ける、城北エリアで検討。そんな折、先輩大家さんからの紹介で、希望エリアで業者価格に近い1000万円以下で戸建てが買えることに。
ちょうどコロナが広がり、緊急事態宣言が初めて発令されたタイミングで、不動産の流通がストップしているような時期だった。
「23区内で安い築古戸建てを買おうとすると、新築の建て売り業者の存在を感じます。戸建てを解体して更地にして新築を建てるのでしょう。それらの業者が買わない物件を再生できればチャンスがあります。たとえば今回はテラスハウス(低層の連続住宅)で、建て替えが難しい物件なのでバッティングせずに購入できました」
築40年を超える戸建てだったが、ある程度リフォームされており、ユニットバスやシステムキッチンが入っていた。床や壁のクロス工事、清掃などはDIYで行い、リフォーム費用はわずか50万円ほどで済んだ。その後は、いつもの流れ通り、地場の不動産屋さん回って客付け営業に。
「仲介会社10社に営業に行き、インターネットに掲載してくれたのは3社だけでした。以後はその工務店と、仲介業者に依頼し、エリアを絞って集中的に投資をする「ドミナント戦略」で、城北エリアで、1000万円前後の戸建てを買い進める。
4軒目は、3軒目から徒歩3分の場所で購入。このタイミングで法人化した。区分を購入した際に知り合ったやり手社長からのアドバイスが影響した。
「法人化して、自分が保証人になり、コツコツ返す実績をつくることで、その後も借入がしやすくなるとアドバイスを受けました。築古戸建ての融資はノンバンク系でないと難しいものの、ノンバンク系の金融機関であっても返済の実績を作ることが大事だと考えました」
今後、保証人なしで拡大するにあたり、この方法がいいと考えた。また戸建てでも客付けまで一通り経験し、一連の流れが分かり、このペースでやれば拡大できると手ごたえを感じたことも後押しした。
リフォームは同じ工務店に発注し、信頼関係を構築。
塗装やクロス貼り、外壁塗装は雪子さん自身が行う
わずか1年半ほどで東京・城北エリアで、5軒の戸建てを買い進めてきた。購入した戸建てはすべて同じ工務店でリフォームしている。塗装やクロス貼りはDIYで行い、外壁塗装を自分で行った物件もある。
「都内の戸建ては価格が高いので、関東エリアに広げて、7軒目は、仲介業者さんから紹介された戸建てを購入したのですが、工務店さんの担当エリアから遠くて対応が難しかったことや、私自身の移動時間のこともあり、売却も視野に入れています」
当初目標にした月額のキャッシュフローを達成し、不動産投資に充てる予算もだいたい使ったことから、今は少し立ち止まって考える時期だと振り返る。同時にさらにリフォームの技術を磨くために、週3回、作業員として新築物件の傷などを補修するリペアの仕事を始めた。この技術は、物件を管理していくうえで役立つと考えている。
区分、1棟アパート、戸建てに投資してみて、思うことは?
「個人的に一番楽しく、積極的にやりたいことは、戸建てのリフォーム。それをコツコツ広げればいいのでしょうが、実は今、子供の教育費が想定以上にかかっていて、また習い事の送迎など手がかかることから、融資を使ってレバレッジをかけて大きく拡大する方法がいいのか、模索しています」
大家デビューしたい人に向けてアドバイスをするなら?
「子供が小さいときは収入が下がる時期があり、不動産収入のようなストック収入があると安心感がありますね。DIYをやるかどうかは、その人次第。気持ちが高まるならおすすめですが、ムリしてまでやらない方がいい。やるなら自宅から通えるようなエリア選定が重要です」
「会社員時代によく上司に言われたことですが、大きなイベントの準備をするとしたら、カラー映像で思い描けるように、当日、全スタッフがどこで誰が何かをしているのかイメージできるまで準備しろと言われましたが、不動産投資も同じ。買った後に、どこに何の連絡をするのかカラー映像で思い描けるぐらいに勉強し、仲間を見つけておくこと」
そして買うべき物件かどうか『ピン』とくるまで、知識を付けることだという。物件資料を見ても、内見に行っても、『ピン』とこないうちは、まだまだ何か足りないのかもしれない。
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健美家編集部(協力:
(たかはしようこ))