区分マンション投資は、サラリーマンなど不動産投資家デビューをしやすい商材だ。ワンルームタイプや1LDKといった狭小住宅で中古ならば数百万円単位から1000万円単位で購入することができる。数百万円単位であれば現金で購入する投資家もいる。しかし、一般的なサラリーマンであれば融資に頼るのが一般的だ。
融資を受ける際に銀行としては、築年数を見て判断にする。建物の劣化状態を把握できる能力を持ち合わせていないため、その築年数でしか見ていないためだ。
金融機関としては、返済が滞ることを想定して土地・建物に担保設定していくが、区分の場合は1戸当たりの専有面積に応じるため土地の面積も小さく担保評価が低くなる傾向もある。
旧耐震物件は避けよ
物件を選ぶ際の注意点は立地を始めさまざまある。特に区分所有の場合は、部屋に賃借人が付いていれば満室稼働だが、退去してしまうと稼働率が0%になってしまう。一棟投資と違い空室リスクを分散できない。いかに退去しないで住み続けてもらえるか、また退去があってもすぐに入居者が入る物件でなければならない。入居者が見つからなければキャッシュフローは生まれない。
中古マンションで回避すべきは、旧耐震の物件購入であることが挙げられるほか、マンションの共用部等を修理できる修繕積立金があるかどうかをチェックすることが欠かせない。明らかに修繕金が不足している物件はやめた方がよい。
修繕金がいくら残っていて、過去にどこをどのように修繕しているのかを契約前に確認することが重要になり、そこで「これはマズイ」と思ったら手を引く勇気が必要である。
60歳を超えたベテランの不動産投資家は、「20年ほど前に屋上防水をしただけで、それ以外は何もしていない。そこの修繕積立金は200万円しかなかった物件があった」と過去の経験を話す。
旧耐震では、メンテナンスがしにくいとも指摘する。
「この時代の賃貸マンションは、分譲を購入する前の腰掛的な住まいとの位置づけとして作られているため、そもそも長期仕様になっていない。キッチン・洗面所の水回りに不具合が生じたときに修繕工事をするが、その部屋だけで完結しないケースが少なくない。例えば、天井のスラブを突き抜けて下の階の天井裏に配管が伸びていれば、その下の階の天井裏を剥して対応しなければならない」
と述べ、他人の部屋に入らないとライフラインが治せない状況を指摘する。新耐震以降の世界は、スラブの上に配管を置いて、その上に皮を張り付けるようになったことで不具合が生じても床を剥すことで配管ができる。
マンション管理会社に目を光らす
マンションの管理会社にも注意する必要がある。委託管理基本契約で管理費を支払って管理してもらうが、賃貸オーナーは定期的に管理費の状況を把握しておく必要がある。
例えば、工事提案手数料などと知らない間に、なんたら手数料が乗っかっている場合がある。まずは防水工事が必要なのに、緊急性のないオートロックのアップグレード工事を提案してきたりもする。
こんな事例もある。マンション敷地内の駐輪場に貸自転車を置く議案を管理会社側が出して、その貸自転車を管理組合が購入して1台100円で貸し出しましょう、という管理組合に貸自転車ビジネスを持ちかける議案を無理に通そうとする。
管理会社の質が改善されなければ、管理会社のリプレイスを他の入居者とともに提案する行動力が必要になるが、管理組合を変える議案をしたことで、管理会社の営業マンが個々の住人を個別訪問して「一部のオーナーが非常に悪意な組合活動を始めたので、この議案を否決するようにしましょう」というケースもある。
このエネルギーをより良い物件管理に振り向けないで我が身を顧みずに保身の行動に邁進する。前出の60代のベテラン投資家は、「特にワンルームマンション投資では、そうした実態は少なくない」と注意を促している。
健美家編集部(協力:
(わかまつのぶとし))