2024年2月22日、ついに日経225平均株価が34年ぶりに高値更新をしました。それが我々不動産投資家にどのように影響を与えるかについて、考えていました。
日経平均株価自体は組入銘柄も1989年当時からかなり入れ替えしていますので、過去から100%の連続性はありません。しかし、指数としての高値更新は株式投資をする者には意味のある事なのでしょう。
また、時価総額という見方をすれば1989年12月末では611兆円だったのに対し、現在は931兆円とおよそ1,5倍となっています。34年間の時間をかけて1,5倍の規模感ですから30年ほどは市場規模も停滞していたことがわかります。
過去に何度も株価が1989年12月納会を超えられずにいたものが、ついに更新したのですから、世の中に変化が現れたシグナルとして素直に見なければなりません。新NISAが始まったタイミングと合致したとあれば、過去30年とはまったく潮流が変わったという事だと思います。
株の格言で昔から「政策に売りなし」というものがあります。これは投資をする場合に政治的判断に逆らってはいけないという意味です。
政府が「貯蓄から投資へ」と音頭をとった2023年の税制大綱で今年から始まった新NISAは、果たしてどれくらい日本経済にインパクトを与えるのでしょうか?そして「政策に売りなし」の言葉通り、この政策で今後株式は上昇するのでしょうか?
オイラは今まで日本株の株式投資では散々とやられ、いいところなしのヘボ投資家でしたから、日本株には今まで全くの弱気でした。しかし、2月23~25日の連休中にネットで情報を集めてみて、「日本が新たなステージに移った」ことを確信しました。
ネット上には10年後の日経平均株価を7万円、10万円と言っている経済評論家も見うけられます。今までは全くそうならないだろうと考えていましたが、それが現実的なシナリオの一つに見えてきました。(しかし、それは国民全体の暮らしが良くなる方のシナリオではありませんけども)
日本の少子高齢化は既成事実ですし、円安がインフレを加速させているため国民の生活はますます苦しくなっていきます。しかし、この円安が再び日本が電子立国へ戻る足掛かりになったとすれば、国内にビックウェーブが到来していると考えることもできます。
それはゲームチェンジになるということです。とはいえ、日本の企業全体が良くなるということでもなく、ゲームチェンジに乗って変化できる一部の企業のみが恩恵を受けることになるのでしょうが。
■熊本と千歳で起きた半導体工場建築の影響
2月24日に開所式が行なわれた熊本のTSMCの半導体工場建築が3年前に発表された際は、遠く離れた九州の出来事と冷めた目で見ていました。昨年政府の肝入りで北海道千歳市にラピタスの工事が着工された事で、世の中の流れが変わったことにようやく気づきました。
予算を見れば、日本政府が熊本だけでなく千歳への取り組みも本気であることがわかります。超大国アメリカも中国からの半導体依存から脱却するためにメイドインジャパンの半導体を本気で渇望していると考えられます。
この流れが中国の不動産バブルの崩壊に繋がり、敏感で臆病な中国資金が日本へ流れていると見ることもできます。既に千歳の土地はコロナ前の2倍以上の価格で取引されていますが、おそらく熊本県菊陽町も同じ状況だったのではないでしょうか。
不動産投資家としては恥ずかしい限りですが、北海道でこんなことが起きるとは、コロナの渦中にその千歳に建てたホテルの運営で悩んでいたオイラには、想像する心の余裕がありませんでした。
一方で目鼻の効く不動産会社はコロナ前から着々と、そしてコロナ渦中も千歳の土地を取得していました。残念ながらオイラにはその不動産会社のような先見の明はなかったのです。
ラピタスが半導体を製造し、稼働するのは2027年4月と今からおよそ3年後です。それまでには千歳市の賃貸物件だけでは、到底受け切れない建設作業員や稼働後の従業員と家族が近郊に住む場所を求めることになります。
そして千歳市だけではなく隣接する苫小牧の沼ノ端地区や千歳市と国道36号線で繋がっている隣の恵庭市も賃貸需要が高まることでしょう。実際にすでに千歳市の賃貸物件は家賃がコロナ明けから平均1万円値上がりしていますし、今後も賃料は高止まりで推移すると予想されます。
今からでも千歳市に投資ができるか、についてですが、一般論としては我々個人投資家レベルでは千歳市の中心部で開発用地を取得するのはかなり難しいですし、既存の物件価格と価値はすでに上昇していて仮に中古を購入するにしても欲しい利回りを確保するのは難しいでしょう。
しかし、全くチャンスがないわけでもありません。注意深くそのエリア動向を見続けて、少しの歪みを探すことが今できる最善の策といえそうです。
■新札幌に新築2棟と中古2棟を購入
また、間接的になりますが、オイラなりのラピタス関連としては千歳までJRで23分の新札幌に注目し、この3年ほどで新築を2棟と中古を2棟購入しました。これは消極的な考えですが、ラピタスの工場に直接勤める人ではなく、その関連した事業に勤める人などのニーズを想定して取得したものです。
ラピタスに勤務する人たちが千歳市に住んだとしても、おそらく休日はレジャー施設が少ない千歳市から新札幌に買い物に出てくるのではとの思惑から波及効果狙いで購入した次第です。もしそうならなくても賃貸事業として回る立地を購入しました。
今からでも千歳に買わないのかと訊かれることもありますが、今のような前のめりで投資をすると高値掴みをする可能が高いので少し時間を置こうと思っています。それで投資チャンスを逃しても構わないというのは消極的かもしれませんが、個人投資家はそれで良いと思っています。
それでも、熊本の時のように他所ごとではなく地元で起きているドラスチックな出来事に少しでも関われる仕事をできるのはエキサイティングです。
熊本での経済波及効果は10年で10兆円、千歳市近郊では5兆円とも言われています。その波及効果を周りから見るのではなく、できることならその流れに自分自身も組み入れたいものですね。
■J ーREITの分配金非課税なら年金世代にも投資に旨味
コラムタイトルの新NISAが不動産に与える影響ですが、J ーREITの分配金が非課税となれば年金世代からの投資が増える可能性があります。
オイラのような年齢になれば配当金や分配金をメインにした投資を考えるのが一般的だと思いますが、決算期の異なるJ ーREITを決算期を分けて3銘柄買うと2ヶ月に1度分配金が入ります。
JーREITは年に2回の分配金がありますから3銘柄を分けて買うと年間で6回の分配金がもらえることになりますね。年金支給は2ヶ月に1度の偶数月ですから、年金が支給されない奇数月に分配金が入るようにすると面白いかもしれません。
その場合は決算の3ヶ月後に分配金が入りますから12月、2月、4月、6月、8月、10月の決算のJ ーREITを選んで買うのが良いでしょう。
年間240万までの購入なら分配金が非課税になるでしょうし、5年間で最大で1,200万まで成長枠で購入できますから退職金の置き所としては面白いのではと思います。不動産投資は難しいし、市況的にも厳しいと考えるシニア世代ならぴったりの投資だと思います。
そして、平均分配金利回りが約4%として年間60万が非課税になるのは退職世代には大きい事だと思います。そんな考え方の人が少し増えるだけでREIT価格の上昇につながるかもしれませんし、それは賃貸ニーズの高い不動産価格の下支えにもなるでしょう。
コロナ後の比較では、現在のJ ーREIT指数は分配金を含めない場合、日経225平均株価の上昇について行っていません。しかし、仮にインフレで徐々に更新賃料が上がればREIT価格もそれにつれて上昇するかもしれませんね。
ちなみに昨年88歳になったオイラの母親の老後資金もREITで運用していて、この4年間は安定して分配金を年12回受け取っています。加えて分離課税なので母親の医療費負担率も上がりません。
まだまだ元気で長生きできそうなので5年間かけても新NISAへ移行するのがベストかもしれません。繰り返しになりますが、政府が「貯蓄から投資へ」と舵を切った以上、流れは決まりました。長期的に投資をした者としなかった者の格差は広がる一方だと思います。