ビジネスにおける商品・サービス購入後の顧客フォローは重要な経営アクションのひとつであり、企業によっては専任部署が対応することも少なくない。
不動産投資・大家業においても、”商品”である賃貸物件の”ユーザー”である入居者に対して、アフターフォローを提供することの大切さは例外ではない。
今回、保証会社のプランとして特に単身世帯向けのサポート内容を取り上げ、今後の日本が迎えるさらなる高齢化社会のニーズにもマッチするであろう、大家業のリスクヘッジの形を紹介する。
非常事態を「スムーズに動かす」ためのプラン
住まいの「ソロ活」とも言える単身世帯は、老若男女を問わず増加傾向にある。そのような”おひとりさま”世帯の中でも近年は相対的に高齢者層の割合が増えていることから、孤独死に代表されるような高齢者かつ単身者特有のリスクも増加基調にあると言えるだろう。
保証会社と言えば賃料滞納時の対応が主な役割、と考える方も多いだろう。だが最近は滞納保証だけにとどまらず、入居者の夜逃げ、孤独死、残置物撤去などを対象にしたプランが、「スムービングサービス」などの名称で認知され始めている。
この名称は特定企業の商品として位置付けられる言葉だが、一般名としても認知されつつある。
事象ごとのリスクヘッジプラン概要とは?
一例として、提携会社の立場としてスムービングサービスの提供を受けているアーク賃貸保証においては、通常のプランに対してスムービングサービスを付帯することで手厚いリスクヘッジを提供する。
通常プラン+スムービングサービス:
賃貸借契約アレンジの際にスムービングサービス契約も併せて入居者に締結してもらうことで、通常の保証プランに以下のようなサービスを付帯できる。
・入居者の無断退去(行方不明、夜逃げなど)や死亡(孤独死、事故死など)が起きた場合に、賃借人に代わって賃貸借契約の解除ならびに残置物撤去を行う
・原状回復・残置物撤去費用は200万円を上限に負担を肩代わり
・原状回復費用は、国土交通省のガイドラインに則って査定
・料金体系として、初回保証料(賃料の50%、下限あり)、年額保証料(1.5万円)、取次手数料(賃料の10%、下限あり)
・入居者が生活保護の場合、上記料金が一部割安なプランとなる(ただし、賃料>生活保護受給額の場合は適用外)
その他のサポートプラン:
保証会社によっては、以下のようなオプションサービスでも単身入居者のアフターケアをすることが可能だ。
・外国人入居者のサポートも付加が可能
・総合的な「見守り」サービスとして、入居者に対して指定曜日の同時刻に音声電話で体調・安否確認を実施する
入居者に対するサポートを「日常」と「非日常」という観点に分けたときに、「日常」に関してはいわゆる賃貸管理として外部リソースに頼ることもできるし自主管理という選択肢も考えやすい。
一方、万が一の事態に対する「非日常」サポートに関しては、火災保険の加入にも代表されるように自前でリスクをカバーすることが困難なケースも多いだろう。
以前のニュースでも、入居者ターゲットに応じてリスク対策していた事例を紹介した。これからの超高齢社会においては、保証会社をビジネスパートナーとすることで守りを固めることも、大家にとって有用な選択肢の一つだろう。
執筆:
(さんとうりゅうおおや)