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借金200万円のシンパパ 「1か月10万円貯蓄」の倹約生活で「1棟目購入から3年」でのFIRE達成

不動産投資全般/投資家インタビュー ニュース

2023/09/10 配信

東北地方に暮らすシングルファーザーのフミさんは2011年に不動産投資を始めた。1か月に10万円を貯蓄する節約生活で1棟目のアパート購入。3年後の34歳には月間キャッシュフロー100万円を達成し、FIREした。

一度決めてしまえば徹底してやり抜けるフミさんだが、もとはといえば「通帳記帳したことがない」「自分にメッキを張るのに一生懸命で、借金してまで趣味のものを買っていた」という少々やんちゃな人だった。

ある日、当時のパートナーから金額ほぼゼロの通帳をバサッと渡され離婚。退路のなくなったフミさんは子ども2人を抱え、28歳で再出発を図る。

41棟260戸を所有する専業大家となったフミさんは、自身の散財癖をどう改め、FIREにいたったのか紹介する。

フミさんが所有するアパートの内観
フミさんが所有するアパートの内観

子ども2人を抱え28歳で再スタート
通帳記帳からスタートし借金を1年で返済

両親と同居こそしていたが2人の子どものシングルファーザーとなったフミさんは追い込まれて目が覚めたという。フミさんは目標設定さえすれば、がむしゃらに走り続けられるタイプで、200万円あった借金は1年で完済した。

「お恥ずかしいのですがそれまでは通帳記入したことがありませんでした。通帳記入したことでよくわからない引き落としが多いことに気づき、固定支出を減らし、換金できるものはお金に変えるなどして、借金を完済するため極限まで切り詰めました」(フミさん)

フミさんが見直していったのは以下の事柄だ。

●フミさんは服飾業界で販売員として働いていた。長時間労働だったことから1日2本飲んでいた缶コーヒーを薬局で箱買い/年間約5万円削減

(職場に給湯器がなく、飲み物は持参する必要があった)

●車の維持費を計算。大型車から軽自動車への買い替え、車両保険の見直し、高速は使用しない/年間約30万円削減

●携帯電話料金の見直し。職場からの電話に折り返しをやめる。かけ直してもらう、メールで返事/年間約10万円削減

(フミさん曰く、当時は「かけ放題プラン」がなく月額15000円もの料金を支払っていたという。これらを見直し月額1500円まで圧縮)

このように年間50万円近い固定支出を削減。

ほかにも、昼食は母の協力のもと手作り弁当を持参、会費に5000円程度かかることから飲み会の誘いは断り、楽器などお金になるものはすべて換金した。

また服飾販売員という仕事柄、身なりに気を配る必要があるが、仕事に必要な衣服は定番のものをシーズンオフに80%引きなどで購入。翌年まで寝かせるなどし、工夫をした。

ひとつひとつを可視化し、支出を減らしていくことで、仕事にも好影響が出始める。

「これまでは何も考えず勢いだけでやっていた仕事も、どの数字をどのぐらい出せばよいかと数値化して考えるようにしたら成績が出るようになり、収入も上がっていきました。

ただ子ども2人、親2人を食べさせていくにはお金が足りません。人事異動による急な転勤もありうる状況でしたので、早く副業で稼がなければと必死でした」(フミさん)

株やせどりもやってみたがうまくいかず、たまたま出張中に手にとった雑誌『BIG tomorrow』(2017年休刊)で「大家」という文字に出会う。これが不動産投資を始めるきっかけとなった。

「当時、大家はメジャーじゃなかったので、“ふーん”という思いで読んでいました。金額を見たら100万とか300万と書いてあり衝撃を受けました。これで家やンションが買えるの?って。株みたいに張り付く必要もなく、これならできるんじゃないかと不動産の勉強を始めました」(フミさん)

毎年収入が増えたことを金融機関は評価
1棟目のアパートをオーバーローンで購入

フミさんは自己啓発に始まり不動産投資の分野まで本を300冊は読んだという。

2011年に念願の1棟目のアパートを購入するのだが、このとき、融資を受けられるかは「五分五分」という話だった。

それにも関わらず、金融機関から物件価格1500万円に対し、1800万円のオーバーローンを引くことができたのは、2つの理由があったのではないかとフミさんは分析している。

1つ目は、収入が上がり続けていることが分かる源泉徴収票の提出だ。

「服飾業界で収入を上げ続けるというのは結構難しいんです。実現が難しい目標設定もされます。それでも私は毎年収入を上げていくことができたので、金融機関の評価につながったのではと思っています。また本は目に穴が開くほど読んでいましたので、融資申し込みに必要な書類については金融機関から求めがなくとも、源泉徴収票3年分、経歴書、自己PR文、通帳一式などを提出しました」

2つ目の理由はフミさんの父親が連帯保証人となってくれたことだ。

「今まで散々迷惑をかけたので言いだしにくかったのですが、仕事で培ったプレゼン力を全投入し、このままの人生ではいけないと思っていることや、実際に頭金を貯めたこと、現状の入居率や満室想定の家賃を伝えました。

“俺の信用は低すぎて連帯保証人が条件といわれてしまったんだ。命がけで返すから、書類を書いてくれないか”と話したところ、“いいじゃないか”と父が連帯保証人となり、オーバーローンで1棟目を買うことができました」

ちなみにフミさんの父親は経理関係の仕事をしていたという。目標に向かって節約してきたフミさんの姿に加え、数字も計算した上で連帯保証人となることを決めたようだ。

勢いでアパートを買うも
12戸中6戸空室 さらに2戸退去でピンチに

やっとの思いで手に入れたアパートは、築25年の木造2階建てで表面利回りは28%。学生向けの1K12戸で、うち6世帯が空室だった。

購入後、室内は最低限の原状回復をするだけで済ませたが、外壁はボロボロでなかでも木造の箱型のベランダは雨水が入り木は腐ってしまっていた。造作でつくり直すことになり、当初150万円だった修繕費は400万円後半まで膨れ上がってしまった。

オーバーローンで借りた金額に、フミさんが貯めた250万円をすべて投入し、修繕を乗り切ることができた。

そのうち2世帯の退去が決まり、月額12万円の返済に対し通帳に5万円しかない窮地に立たされる。

「正直、勢いだけで買っていますから、リフォーム会社やガス屋さんも知りませんし、不動産会社から紹介された管理会社が唯一の窓口なわけで、その人とうまくやるしかないんです。

募集をやってみたけどなかなか入居が付かず、さらに2世帯が退去してしまいました。何か言える立場でもないのですが、これはヤバイと思いました」(フミさん)

それでも、フミさんは1か月10万円を貯める節約生活を続けていたため返済は十分に乗り切れたのだが、ちょうど2012年の春にかけて東日本大震災の復興特需ともいえる賃貸需要があり、フミさんのアパートはあっという間に満室になった。

FIRE前、紹介でバルク売り1億円の木造アパート3棟購入
給料、貯蓄、不動産収入のアップが評価に

フミさんがすごいのは散財癖を改めて以降、1か月10万円の貯蓄を欠かさなかったことだ。

本業では昇進。正規の店舗責任者となると、ボーナスも加わり手取りの給料が増えた。さらには1棟目の家賃収入が加わり、2馬力で稼ぐようになると年間300円以上が貯まっていった。

1棟目の購入から約1年経った2012年冬に2棟目を購入。築25年の木造アパートで、1K14世帯。利回りは20%ほどだった。

「2棟目の購入で、不動産でのキャッシュフローと給料がトントンになりました。万が一仕事をやめるならいくら必要なのかという計算をしたところ、月のキャッシュフロー100万円で、1億円の物件が必要ということが分かりました」(フミさん)

FIRE前に購入したのは3棟バルク売りの木造アパートで、物件価格は1億円だった。

サラリーマン収入も、貯蓄も、不動産収入もすべて右肩上がりだったことに加え、新たに交流の生まれた不動産会社社長の紹介で金融機関に融資を申し込んでいた。

結果、利回り18~19%のアパート3棟をまとめて購入することができ、フミさんは5棟62戸のオーナーに。年間家賃収入2500万円、単純化したキャッシュフローにして100万円を超えた。

この物件を買ったことがFIREにつながった。

分からないという不安を潰していく
FIRE後も次々生まれる新たな目標

FIREするならいくらの不動産収入が必要となるかを計算していたフミさんだが、望んだ形でのFIREではなかったという。

「まだまだ仕事を続けたい」との思いはあったが、上層部に食い込むほど見えてきてしまったことが多々あったそうで、上司との折り合いなどもあり退職届を提出。引くに引けない形で、退職にいたってしまった。

「不動産収入はあっても、未来永劫続くわけではないという不安のほうが大きかったです」と、フミさんはこの時の心境を振り返る。

気持ちを切り替え、せっかく時間ができたのだから今までできなかったことをやろうとしばらくぶりに友人と会ったり、久々に楽器を演奏したり、DVDを鑑賞したりしたが、数週間で飽きてしまったという。

「毎日できるとなると楽しくないんですよ。毎日付き合ってくれる友人もいないですし、仕事はと聞かれて、家賃収入があるといえば嫌味にしか聞こえないですし。同じような立場の人としか共有できないことに気づきました」(フミさん)

フミさんのアパートでのDIY風景
フミさんのアパートでのDIY風景

そこで「知らない人は損するようになっている」と考えていたフミさんが始めたのは、「分からないという不安を潰していく」という新たな課題設定だった。

とはいえ最初は何をやって良いか分からなかったため、不動産経営に欠かせない不動産会社目線での知識とリフォーム工事の仕組みを学ぼうと、座学と実践の両面から勉強を重ねた。

座学面では宅建試験に合格し、宅建士として資格登録。実践面ではフミさんの物件をリフォームする親方に頼み込み手元大工として現場入りし、内装工事を学んだ。

フミさん曰く、「職人さんは“お話好き”か“無口な人”のどちらかが多い」そうで、職人の話し相手としても、手元職人としての仕事もソツなくこなせてしまったことで、職人として新たな現場に招集されることもあった。こんな調子で2年ほどリフォームを学び、築古物件のDIYを手掛ける力を身につけたという。

フミさんがクロスを張った部屋。物件規模が大きくなり、以前ほどDIYはしなくなったという
フミさんがクロスを張った部屋。物件規模が大きくなり、以前ほどDIYはしなくなったという
コロナ禍に時間ができたことから、洗面化粧台の交換もフミさんが行った
洗面化粧台を交換した
DIY後の洗面所

2014年のFIRE から9年経つが、「じっとしていられない性分」というフミさんの毎日は課題が山ほどあって多忙そうだ。最近も法人一つを立て、3つの法人の売上を立てるべく、5案件ほどの物件購入を同時進行で進めている。

これまでにアパート8棟の売却を入れており、現在はアパートや戸建てを含め41棟260室を所有。満室想定の家賃収入は1億1000万円だという。

押し入れの上にロフトのある部屋。特徴がない部屋よりは、「誰が使うの?」と目を引くものがある部屋のほうが入居は決まりやすいそう
押し入れの上にロフトのある部屋。特徴がない部屋よりは、「誰が使うの?」と目を引くものがある部屋のほうが入居は決まりやすいそう

今後の目標について尋ねると、

「自己資本比率を高めて銀行評価を高めるといったこともそうですし、RCは何度か挑戦しているのですが、銀行評価は厳しめですね。

人はステージによってできることが変わってくると思っていますので、まだ私がそういうステージに達していないのでしょうし、私には木造や鉄骨造などの築古が合っているということなのかもしれませんが。RCについては引き続き、チャレンジしていきたいと考えています」とフミさんは語った。

執筆:スドウミキ(すどうみき)

スドウミキ

■ 主な経歴

出版業界で20年勤務。不動産分野を専門とする雑誌での取材・編集をきっかけにサラリーマン大家の夫と出会い結婚。2022年宅地建物取引士の資格を取得。夫の勧めで法人を設立し、築古アパート1棟を購入する。1歳の子どもを持つ一児の母。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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