華子
サラリーマンを卒業することを決めた理由やその時の状況はいかがでしたか?
ゆうちゃん
もともとサーフィンを好きな時に好きなだけやりたいという思いがありました。そのために必要なキャッシュフローを達成できたのがセミリタイアのきっかけです。
その時、40歳で家賃年収は約5,200 万、税引き前CF は約1,900 万円でした。今考えると、かなりの安全圏ですよね。少し慎重になりすぎていたなと思います。
たけちゃん
僕が2015年にセミリタイアした時に37歳で、家賃収入は年3,800万円、税引き後のCFで1,200万円でした。サラリーマン卒業のきっかけは、目標のCFを達成したこともありますが、それ以上に、不動産賃貸経営の事業者として、独立してもやっていける自信がついたことが大きいですね。
華子
ご家族の反応はどうでしたか?
たけちゃん
当時は独身だったので、母親から「辞めるなら結婚してからにしなさい」と猛反対されました。無職のような状態で婚活をしたら、相手が見つからないと思ったのかもしれません。
それから慌てて婚活をして無事に結婚し、FIREを果たしました(笑)。会社には「結婚するので退職します」と伝えて驚かれました(笑)
ゆうちゃん
脱サラに関しては家族が賛成してくれるか不安でした。ところが、2018年7 月31 日にサラリーマンの最後を迎えた日、帰宅したら妻に呼び出され、何を言われるかと思ったら、妻と子ども2人が整列して、「サラリーマン課程修了証書」をくれたんです。この時は涙が出るほど嬉しかったです。
セミリタイア後の融資を心配していたのですが、実際にはプロの不動産賃貸事業者として見てもらえるようになり、拡大スピードが速まりました。そのひとつの要因は妻が不動産投資に対して協力的になってくれたことです。
サラリーマン時代は副業禁止の会社で働いていたため、物件は妻を社長にした合同会社で買っています。つまり、融資を受けるには妻のハンコが必要になるんですが、最初の頃は心配そうだったんです。でも今では1 億を超える物件を購入する際も、「そうなんだ。頑張って」と何も動じないメンタルでいてくれます(笑)。
華子
セミリタイア後は、どのように過ごしていますか?
ゆうちゃん
最初は、セミリタイアして暇になるかなと心配していました。ただ、もともとじっとしていられない性格なので、次から次へのやりたいことが出てきて、今は1 日が48 時間あったらいいのにと思うような毎日です。
大家業の他に、セミリタイア後に始めたリフォーム業の仕事がありますし、サーフィン、ゴルフ、キックボクシングの趣味にも忙しいです。その他に、大家仲間や経営者との交流、豊橋大家塾の活動であっという間に1 ヶ月過ぎてしまいます(笑)。
たけちゃん
僕はサラリーマン時代の生活とは時間の使い方が大幅に変わり、ストレスが減って健康体になりました。寝るのが好きで、夜12時に寝て朝9時に起きる生活です。あと、もともと不動産の仕事が好きなので、制約なくこの仕事をできるのが幸せです。平日のすいている時にサーフィンやゴルフ、旅行に行けるようになったのも嬉しいですね。
華子
不動産以外にビジネスや資産運用はしていますか?
たけちゃん
太陽光発電を600KWほどと、積立の投資信託を少しやっているくらいです。毎日の値動きが激しい資産運用は、つい気になってしまうし、性格的にもあわないと感じました。人を雇いたくないのと、自由な時間を確保したいということもあり、他のビジネスは今のところやっていません。
ゆうちゃん
私はたけちゃんと反対で、セミリタイア後は人を雇って不動産以外のビジネスをしたいと思っていて、会社員時代の2017年にドライヘッドスパのリラクゼーションサロンをオープンさせました。
ただ、当初は話題性もあり売り上げも上々でしたが、従業員同士のもめ事などもあって売上が落ち、2年で閉店しました。トータルで520万円のマイナスでした。「今後は人を雇うビジネスはしない。得意分野で勝負していこう」という教訓を得られたので挑戦して良かったです。
資産運用に関しては、太陽光を野立て1 基、屋根上4 基やっています。その他に、物件の売却でまとまったお金が入った時、株を500 万程買いましたが、1 年も経たずに売却しました。僕には株は向いていなかったようです(笑)。
自分に合っていると思うのがリフォーム業です。こちらは職業訓練校でリフォームのコースに通ったのをきっかけに、事業として始めました。社員は雇わず、職業訓練校時代に知り合った仲間などに、業務委託のような形で仕事を発注しています。
■モチベーションの維持やともに成長できる仲間の存在が大切
華子
不動産投資をしてよかったことを教えて下さい。
たけちゃん
自分の人生を自分でコントロール出来るようになったことです。今は働くのも休むのも自分次第で決められます。家族との時間、趣味の時間、仕事の時間をバランスよく取ることができて、ストレスが少ない生活を送っています。
悪かったことは思い浮かびませんが、しいて言えば、ストレス耐性が落ちているかもしれません。あと、事務処理能力も落ちたと感じています。小さい失敗は日常茶飯事です。でも、それを次に生かしていくのであまり気にならないというか、気にしていません。
ゆうちゃん
不動産賃貸業は儲かっている時(満室)ほど暇で、儲かっていない時(空室が多い)は忙しい傾向にあります。そのため、儲かっているときに気持ちの良い状態で遊んだり何かに挑戦したりできるのが最高です。素敵な事業だと思います。毎日が充実しています。
良くないことは築古物件を購入すると必ず体調が悪くなることです。人が住んでいない築古の荒れ果てた物件は悪い気を発しているので、その気をもらって体調が悪くなったり、不運が続いたりします。再生するまでは、気合を入れて物件と向き合っています。
華子
今後の目標を教えてください。
ゆうちゃん
規模や家賃年収の目標はありません。新たに流行を生み出せるような、自分の心が躍る物件を手掛けていきたいですね。
これまでも全空の元大学の寮をリノベーションして、起業したい方向けのシェアオフィス&ショップを作ったり、超田舎の全空アパートを再生して、ハイスペックな「男の隠れ家的空間」を作ったりしました。満室になってそこで人が活動しているのを見ると、とてもやりがいを感じます。
人生においては、「今が一番若い」という言葉を胸に刻み、やりたいと思ったことは年齢に関係なく挑戦してみたいと思っています。今は昔から興味あったキックボクシングに挑戦し、50 歳までに最強になることを目標にトレーニングに励んでいます(笑)。
また、豊橋大家塾にはやる気のあるメンバーは多いですが、FIRE した方はまだあまりいません。その頑張っている方たちを応援し、FIREできたら「サンデー毎日クラブ豊橋チーム」を作り、物件見学を兼ねた旅行へ行ったり、ゴルフやサーフィンをしたりしたいですね。
たけちゃん
不動産投資に関しての目標は2つあります。1つは、「RC築100年の男」を目指そうと思っています。昨年、築54年で13部屋のRC物件を購入しました。その物件をメンテナンスしながら、あと46年間物件を持たせたいです。
それまでに建物にどんな不具合が起きて、どのようにメンテナンスすればよいか学びながら、未知の世界へのチャレンジを楽しみたいと思っています。
もう1つは、新しい手法にトライして、自分の経験値を上げていきたいです。今年は土地を購入して新築アパートの建築も進めています。これで新築から、中古の購入と維持、売却まで経験できるので、また幅広い視野で不動産に関わることができるかと思うと楽しみです。
人生も同じで、リスクを恐れず、興味のあることにチャレンジしていきたいと思っています。
華子
これから不動産投資を始める方へアドバイスをお願いします。
たけちゃん
「上手くいっている人から学ぶ」のと「モチベーションの維持」の2つが大事だと思います。不動産投資にはさまざまな手法があり、ノウハウやテクニック的な情報は世の中に溢れています。迷うことも多いでしょうが、自分のやりたい投資手法ですでに成功している人からアドバイスをもらうのが一番の早道ではないでしょうか。
逆にその投資手法をしていない人からのアドバイスは的外れになることがあるので、注意してください。あと、アドバイスをもらう際は、情報クレクレ君になるとなかなか相手をしてもらえないと思いますので、ギブの精神で接していくこともポイントです。
それと、人間は変化を恐れる本能があると思うので、「現状を変化させていくモチベーションの維持」を意識することが大切です。実際、私も変化しない楽なほうを選びたがります(笑)。僕たちは波が良い平日にサーフィンに行きたいという不純な動機があったので、大変な時期も乗り越えてセミリタイアを果たせました。
ただ会社を辞めたいとか、お金を稼ぎたいとかだけでなく、家賃収入を得て何をしたいかを明確にしたほうが頑張れるかもしれません。あとは仲間の存在って大きいです。僕とゆうちゃんみたいな共に成長できる良きライバル的存在を見つけて、お互い切磋琢磨しながら一緒に成長していってもらえればと思います。
ゆうちゃん
たけちゃんの話とも重なりますが、何よりも共に成長できる仲間の存在が良い影響をくれると思います。セミナーや大家の会に参加して一瞬やる気が出ても、物件が買えない状況が続いて、結局は諦めてしまう人が多い気がします。本気なら、モチベーションが高い仲間を見つけ、頻繁に会って不動産の話をする環境を作っていくことがとても重要だと思います。
また、不動産賃貸業は金融機関、売買仲介業者、管理会社、リフォーム会社、税理士などさまざまな専門家と協業する業種です。自分だけ儲けようと考えるのではなく、相手の儲けも考えてGIVE&GIVEの精神で関わっていくと、味方が増えていきます。
最強のチームが結成されると仕事がやりやすくなり、不動産の規模拡大にもつながります。ノウハウやスキーム的なことだけでなく、自分がどういうマインドで人と接するかということは、不動産賃貸業においても成功するためにはとても重要な要素だと思います。
【編集後記】
エリアの特性を見極め、堅実・着実に物件を増やしてきた、たけちゃんとゆうちゃん。当初の築古RC高利回り物件から戸建てや店舗、新築などジャンルを広げ、チャンレジを続けているのも、素晴らしいと思いました。豊橋大家塾の活動を通じて後進も育成するなど、まだまだ活躍の場は広がりそうです。お二人の手法は地方で不動産投資をしたい人にとって参考になる部分は多いと思います。どうもありがとうございました。