華子
自己紹介をお願いします。
たけちゃん
名古屋出身の46歳です。大学を卒業後は金融機関に勤めながら2005年に1棟目を購入し、2015年に結婚を機に豊橋市に引っ越すと同時に寿退社(笑)して独立しました。現在はRCや鉄骨・木造アパート、戸建て、倉庫、ロードサイドテナントなど計30棟274室を所有し、年間の家賃収入は約1億5200万円。利回りは平均で約19％です。
ゆうちゃん
私も名古屋生まれで、大学院を卒業して学校法人の職員になりました。不動産投資を始めたのは2007年で、最初に買ったのは名古屋市中区の1Ｒです。その後、一棟物を中心に買い進め、2018年にサラリーマンを卒業しました。現在は計23棟304室を所有していて、年間の家賃収入は約1億8,500万円、利回りは平均で約18％です。不動産賃貸業と並行し、リフォーム業も行っています。
華子
お二人は幼馴染なんですね。
ゆうちゃん
はい。小学校から高校まで同級生として過ごしました。大学は別ですが、二人とも大学時代にサーフィンにはまって、一緒に海に行くこともありました。就職後もその関係は変わらず、気づけば40代という感じです。
ライフワークとして楽しんでいるサーフィン。いまは曜日を気にせず出かけられるように。左がゆうちゃん、右がたけちゃん。
華子
そんな二人が不動産を始めたきっかけは？
たけちゃん
実家が自営業で、いつかは独立したいと昔から思っていました。あとは、会社員時代に、「波が良い平日にサーフィンに自由に行ける生活を送りたい！」と強く思ったというのが、率直な理由です(笑)
ゆうちゃん
そうそう。名古屋から2時間かけて週末に海まで通っていたのですが、「週末は人が多くて嫌だな。人が少ない時に波乗りしたいな」って、よく話しましたね。不動産投資を知らない頃は、そんなのは一生ムリだと思っていましたが。
それと、私たちは就職氷河期世代で、倍率100倍以上もざらという時代でした。苦労して就職したのに、自分が上司の年齢になったときの給料は今の上司より年間200万円以上少ないということを知った時は、「将来、大丈夫かな…」と愕然としました。そんな危機感も影響していたと思います。
■「好きな時にサーフィンを楽しみたい」がきっかけ
華子
不動産投資を知ったのはどんなきっかけでしたか？
ゆうちゃん
2003年頃に、たまたま「金持ち父さん、貧乏父さん」を読んだことです。深くはわからないながらも「不動産投資をすればお金の心配がなくなり、いつでもサーフィンができるかも」と衝撃を受けました。ただ、公務員の家庭に生まれ安定志向が強かった私は、すぐに行動に移すことはせず、とりあえず、たけちゃんに本を貸しました。
たけちゃん
一方、ゆうちゃんが貸してくれた本を読んだ僕は、「理想のサーフィンライフを送るにはこれしかない！」と思い、2005年に小牧市の中古木造アパートを2,000万円で買いました。ちなみに僕をサーフィンに誘ってくれたのはゆうちゃんです。それがなければ賃貸経営を始めなかったと思うので、彼の存在はとても大きいですね。
ゆうちゃん
たけちゃんから「アパートを買った」と聞いた時は驚きました。見せてもらうと駅から徒歩1時間もあり、洗濯機置き場は共用廊下というボロボロのアパートでした。2年後に今度は豊橋市で旧耐震・半空、駐車場無しのRC物件を買ったというのでまた見に行ったところ、室内は廃墟でゴキブリが100匹以上というありさまでした。
「あんな物件に人が住むはずがない。あいつは破産する。正気なのか？」と本気で心配しました。ところが、サーフィンに行く道中で話を聞くと、「2棟とも順調に家賃収入が入っている」と言うんです。それで、「これはいけるかも！」と思い直しました。
たけちゃん
ハハハ（笑）、僕の一棟目は確かに田舎で、築30年を超えていましたが、満室で利回りが20％ある優秀な物件なんですよ。今でも持っていますが、借入も完済して無借金物件です。でも、ゆうちゃんにはそんな風に見えていたんですね（笑）
ゆうちゃん
小心者の私はたけちゃんがうまくいくのを確認してから始めたというのが、正直なところです（笑）。それで、まずは3点ユニットの区分所有を買いました。
たけちゃんとは2年差のスタートですが、彼がいなかったら今も将来に不安を感じながらサラリーマンをしていたかもしれません。たけちゃんは私の人生を変えるきっかけになった恩人であり、不動産投資の師匠でもあるんです。
華子
お二人は共に1億円を超える家賃収入を得ていらっしゃいますが、不動産投資について、どのように勉強しましたか？
たけちゃん
不動産投資を始めた頃は名古屋に住んでいました。それで、2005年に数人の仲間と「名古屋大家塾」を立ち上げて、毎月物件の見学会を開催したり、情報交換をしたりしながら知識を身に着けてきました。当時、建築会社が主催する地主さん向けの集まりはありましたが、大家さんが情報交換する会はなかったんです。
この大家塾で、500部屋超を所有するOさんが再生した物件を見せてくれたことが、僕には一つの転機になっています。それを機に築古物件に対する恐怖心がなくなって、2棟目は旧耐震築古高利回りの物件を購入しました。それ以来、築古RCを中心に物件購入を進めています。
ゆうちゃん
当時は今ほどオープンな情報は少なかったので、よく本を読みましたね。藤山勇司さんの『サラリーマンでも「大家さん」になれる46の秘訣』を見て競売物件を探したり、沢孝史さんの『「お宝不動産」で金持ちになる！-サラリーマンでもできる不動産投資入門』を参考に検討する物件のシミュレーションをしたりしました。
ただ、もっとも影響を受けたのは身近な不動産投資家であるたけちゃんです。サーフィンへの行き帰りに、お互いに購入を検討している物件の話をしたり、売り出し中の物件を一緒に見に行ったりしたことが、とても勉強になりました。
華子
不動産投資を始めた時に目標は立てましたか？
ゆうちゃん
とにかくサーフィンを好きな時に好きなだけできる環境を手にしたいと思っていました。ただ、どのくらいのCFがあればその生活が手に入るかまでは想像できていなかったです。当初からそこまで考えていたら、もっと早くFIREできたと思います。
たけちゃん
僕は物件を徐々に増やして、10年でセミリタイアをするのが目標でした。月のCFが100万円になればいけるのではとなんとなく思っていました。とはいえ、始めた頃は多額の借入に対する不安もまだ大きかったです。そこで、10年かけて自分のお金に対する器を大きくして、セミリタイアを果たそうという計画を立てました。
華子
そして、実際に10年後の2015年にサラリーマンを卒業されたのですよね。当初の計画通りですね。
たけちゃん
そうですね。その時、37歳でした。途中、小さな失敗はたくさんありましたが、順調に来れたと思います。
ゆうちゃん
僕は初期の頃、大きなピンチがありました。うちは妻も両親も公務員系で、不動産投資なんて危ない、堅実に慎ましやかに働くことが一番というタイプです。２棟目を買うまで、私が狂ったように不動産投資の勉強をして、毎週物件を見に行っているのを見て、半ば諦め気味のように見ていました。
ところが3 棟目で18 室中13室が空室の再生物件を購入した時、リフォームしてもなかなか入居が決まらず貯金が減り続けました。妻に「このまま入居が決まらなかったら私たちの生活どうなるの？」と真剣に言われた時、心底焦ったのを覚えています。
それを機に家族の生活を背負っているという思いで、とにかく買った物件は必ず満室にすると決めて行動しています。
■担保価値のある土地を路線価以下で購入
華子
二人の不動産投資の特徴を教えてください。
たけちゃん
「地方都市で土地値以下の空室が多い築古物件を、金融機関から継続的に耐用年数を超えた期間で、かつ諸経費を含めたオーバーローンで融資を受けて購入し、不動産賃貸経営している」ところです。具体的に言うと、主に豊橋市で土地の担保評価が出る高利回り築古物件を買っています。
実は前職時代に物件の評価をしていた時期があり、建物の価値は年々下がっていくのを感じていました。その影響で、不動産投資は土地の購入がメインで建物はおまけという風に考えるようになりました。
この手法ですと土地の担保評価が出ることから、半分土地に融資するような形で、耐用年数を超過した融資を受けることができます。空室が多かったり建物がきちんとメンテナンスされていなかったりする問題ありの物件を安く買い、きちんとリフォームをして満室にするということを繰り返しています。
高利回りの物件を長い返済期間で借りているので返済比率が低く、CFが出やすくなります。そうして貯まった現金を見せ金にして次のオーバーローンを引いていくというスタイルで、物件を増やすことができました。
たけちゃんが2022年に購入した築54年RC物件のビフォー（上）とアフター（下）
ゆうちゃん
基本的な考えはたけちゃんと同じです。私は豊橋市を含む東三河や静岡西部を中心とした地域で、土地の路線価以下で購入した空室の多い築古物件の再生を行うのが得意です。そのメリットは、次の4点に集約できます。
- 土地値で買うため長期保有しても価値が下がらず、返済分の含み益が得られる。また、もともと下がり切っているので賃料が下がりにくい。
- 金融機関の担保評価が出るためオーバーローンができ、融資を継続して受け続けられる。
- 金融機関は投資や資産形成に原則融資しないが、社会問題の解決につながる事業には積極的に融資してくれる。築古再生事業はこれに該当する。
- 借主のターゲット層が家を買わない（買えない）非アクティブ層であるため長期入居が見込める。
東三河では土地の評価が高いと、耐用年数に関係なく融資をしてくれる金融機関があります。実績や客付け能力も問われますが、初めに頑張って結果を出せば、以降は土地の担保評価が出る物件なら金利も返済期間も好条件で借入ができます。インカムゲインを中心とした賃貸経営をしたい人にはとても良い環境だと思います。
【編集後記】
明日の第二回では、融資付けについて詳しくうかがいます。
