定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていた戸建賃貸の競売事例をご紹介する。
紹介する物件は北日本にある戸建ての物件である。裁判所から公開された資料では賃貸中であり、落札後も賃貸継続できるなら、リフォームや新規募集は必要なく、直ぐに家賃収入が得らえる「競売初心者向き」物件である。
当該物件は築年数41年とかなり経過しているが、建物を見る限り、リフォームがしっかりと行われている。築古の物件でも、しっかりとリフォームが行われていれば、修繕費用を抑えることができる。
競売初心者の方が物件を探す場合、落札金額が低く、リスクの少ない物件を探すだろう。当該物件は築古であるため、基準価が低く、メンテナンスがしっかりと行われている。更に賃貸継続できれば、直ぐに家賃収入が得られる。
まさに競売初心者向けの物件である。今回、紹介する物件を参考に、このような競売物件もあるということをご理解頂けたらと思う。
1.物件概要
(1) 所在地
物件の市町村は、2006年に複数の市町村が合併し、成立している。人口は約11万人であり、市町村の広さは、東西約110kmもあり、国内では4番目に広い市町村である。
産業では、一部、海に面しているので漁業、また、農業や林業を行われている。スポーツではカーリングが盛んであり、多くの日本代表選手を輩出している。
(2) 物件概要
物件は、土地が238㎡、建物の延べ床面積が86㎡、築41 年の地下1階付平屋建ての戸建である。建物の外観は白であり、比較的に綺麗であり、築40年以上が経過しているようには見えない。入口には駐車場と物置がある。
(3) 間取り、室内
間取りは以下であり、地下1階付平屋建ての3階建ての3LDK+地下倉庫である。1階にはキッチン、リビングダイニング、洋室3つ、浴室、トイレがある。キッチンの床から、地下倉庫の入口がある。地下倉庫は10㎡程度の広さである。
以下、室内の写真である。浴室、リビング、洋室の写真であり、整理整頓され、綺麗に使われている。リビングには、お酒が多く、並べられており、家具は男性のものが多い。
お風呂場には男性物の日用雑貨が置いてある。子供や女性のものは見当たらず、おそらく男性が一人暮らしの可能性が高い。
2.物件詳細
(1) 賃貸契約の内容
裁判所の公開資料には賃貸契約の内容も記載され、以下、賃料である。家賃は70,000円である。
(2) 物件評価の金額
裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。
2,550,000円
上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。
3.落札結果
(1) 落札結果
落札金額は以下である。入札件数は11件であり、個人が落札している。
3,852,000円
(2) 利回り
利回りを算出すると以下である。
家賃 70,000円/月
落札金額 3,852,000円
諸費用 300,000円(裁判所へ代金納付する際の諸費用(登録免許税など))
利回り 20.2%
4.最後に
北日本にある築41年の戸建てで利回り20 %の物件を紹介した。個人の方が、競売物件で家賃収入狙いなら、築古で建物がメンテナンスされている物件をお勧めする。
理由は、築浅の場合、不動残業者が転売益狙いで入札するため、落札金額が高額となる。そのため、利回りは上がらず、かつ、落札することもできない。競売物件で、家賃収入狙いなら築年数が20~25年以上をお勧めする。
この場合、不動産業者の入札が少なくなり、落札できる確率が上がる。今回、個人の方が落札しているが、利回り20%を計算して入札したと思われる。
今回、競売物件で利回り20%の物件であるが、一般流通でも利回り20%の物件はある。しかし、その一般流通の物件は、再建築不可やメンテナンスがされていないなどの問題を抱えているケースが多い。競売物件でこのような物件もあることをご参考頂けたらと思う。
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