愛知県に住む50代のSATOMIさん。夫婦ともに公務員として働き、4人の子を育ててきた。子供達が成人し、ゆとりができたことから公務員をやめ、興味があった「不動産投資」で「社会貢献」をしたいと考えた。驚くべきは1棟目から1億円を超える1棟RCマンションを購入し、RCばかり計6物件買い進めたことだ。
なぜRCを買い進める戦略を選んだのか? どのようにして資金調達をしたのか? SATOMIさんの不動産投資体験談を紹介する。
不動産投資は1棟目が肝心。1棟目こそ、
融資を最大限に活用して「いい物件」を買う!
不動産投資に興味を持ち、本を読む中で刺激を受けたのは、ボロ戸建ての再生を主に手掛ける、女性大家さんの本だった。
「DIYに興味があり、手頃な価格のボロ戸建てを買って貸す手法が自分には合っているのかなと思っていました」
そんな考えが180度変わったのは、セミナーや大家の会に参加するなかで出会った先輩大家さんの話である。
「不動産投資をするなら1棟目に何を買うかが大事で、1棟目こそ最大限に融資を引き出して、そのときに買える最良の物件を買うべきだといわれました。属性が使えるなら、古い戸建てを買うより、入居者が安心して暮らせる頑丈なRCで、できるだけ魅力的なものを買うべきだと考えました」
とはいえRCは高額で、50代で大きな借金を背負うことに抵抗があった。そんなときに出会ったが、上の写真の1棟目である。
「駅近で1DKが16戸、築11年でありながら利回り8.4%という点が魅力でした。融資を受けるときには、公務員を辞めていたのですが、都市銀行から1億1000万円の融資を、期間35年で受けられることが決め手となり購入しました」
実際に購入するまで、シミュレーション通りのお金の流れになるのか不安だった。しかし購入後、ほぼ満室が続き、想定通りに家賃が入ってくることで不安は払しょく。退去のたびに設備をよくし、家賃を上げている。
その後も建物の耐久性の良さや融資を長く引けることからRCをメインに、自宅から1時間以内の範囲で、木造も含めて物件を探した。
再建築不可で、廃墟同然の築56年、
420万のRCの戸建てを、50万で購入!
2棟目に購入したのは、なんと50万円のRCの戸建てである。ドライブ途中に見つけた、岐阜県多治見市にある購入築56年、再建築不可の物件だ。420万で売りに出ていたが、2年程買い手がつかず、試しに50万で指値をしたら「通ってしまった」のだ。
「廃墟同然の状態でしたが、RCで建物自体は頑丈な造りであったことが魅力でした。クリーニング全般から壁紙貼り、壁塗り、網戸の貼り変えなどDIYでやってみると、DIYが楽しく、向いていると感じました」
再生後は、無事に家賃5.6万で入居者が決まった。1人目の入居者が退去の際に、近所のお友達を紹介してくれ、現在もその方が住んでいる。
3棟目は土地勘のある名古屋市守山区で、築26年、2DKが9戸入る、利回り9%のRC1棟マンションを9000万円で購入する。
「土地が整形地の角地で、立地が魅力だったことと、バブルの時に建てられた、コンクリート打ち放しのおしゃれな外観が魅力でした」
この3棟目は融資に苦労した。
「当時『かぼちゃの馬車事件』(シェアハウスの不正融資問題)の直後で、金融機関はどこも厳しく、10行以上あたり、唯一融資を受けられた銀行さんで借りました」
購入後は「ここまできたら、自分のやりたいことできるがいろいろできる。いろいろ買える」と思えるように。
2022年には4棟目としてRCテラスハウス(4戸のうちの1戸)を愛知県瀬戸市で、440万の売値に対して指値をして310万円で現金購入した。
雨漏りをしていて、前の住人が室内で鳥を放し飼いしていたためフンだらけのひどい有様で、「これを買ったら修繕で大変なことになる」と感じながらもDIY好きの血が騒いだ。
「駐車場が1台しかなく、駐車場2台ないと客付けに苦労すると思い、駐車場を増やす工事をしました。洗面所や洗濯機置き場がなかったので、それらを新設する工事もして、屋上の防水工事は、夫婦で防水の塗装をするなどしてリフォーム費は170万に抑えました」
こちらも無事に家賃7万で客付けでき、フンまみれだった状態から再生できたことで「やる気になれば、なんでもできる」と自信をつけた。
仲介業業者や入居者とのコミュニケーションを楽しむ。
心温まる瞬間が、大家業にはたくさんある
5棟目は愛知県瀬戸市で、築44年のRCのビルを購入。
「信頼できる不動産屋さんとの出会いがあり、その不動産屋さんからの紹介で購入しました。1階が店舗でその上に1Kが6戸あるのですが入居者が入っているのは2戸だけで、廃墟同然でした。土地値900万のところ、700万で売ろうと思うが興味があるかと声をかけてもらったのがきっかけです」
売り主との交渉後、880万円で現金購入する。
同じ不動産屋さんから再び声がかかり、今度は5棟目の近くにある、RCの区分マンションを230万で購入予定だ。
RCばかり6物件、買い進めてきたSATOMIさん。振り返ってみて感じることは?
「木造も含めていろんな物件を検討しましたが、結果的に融資を長く引け、建物の耐久性など安心できる点から購入したのはRCでした。
実際に不動産投資をして感じることは、物件に目をかけて世話をして育てると、子供と一緒で物件がちゃんとこたえてくれて、家賃が上がり、満室が続くなどの結果につながることです」
SATOMIさんは、お掃除や可能な範囲の修繕は、自ら手掛け、入居者や管理会社等とのコミュニケーションを楽しんでいる。物件に「ご意見ポスト」を設置し、入居者さんと手紙でやり取りするなど、入居者との関係性を大切にしている。
「ある物件で、入居者に子供が生まれたと管理会社から連絡があり、入居者が増えることは歓迎だと思い、出産祝いを届けにいったことがあります。
また別の物件では、『大家さんいつもありがとう』と入居者さんから高級チョコレートをプレゼントされたこともあり、大家業を通して心温まる瞬間がたくさんあります」
不動産投資をするなかで意識してきたことは「富を不動産に集中させる」ことと、「安心して入居者が暮らせる住まいを提供する」ことだ。これからも1年に2棟のペースで買い続けたいと考えている。