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【不動産投資の法律知識】 初心者大家さんの注意点その3 利回り以外の注意点(境界・建築条件・擁壁)

不動産投資全般/法律知識 ニュース

2024/03/02 配信

今回も初心者大家さんが注意すべきポイントについて、法律知識も交えてご紹介していきたいと思います。第3回は、「利回り以外の注意点:その他、境界・建築条件・擁壁編」です。

前回に続いて、利回りや立地の重要性という本質的な不動産の価値だけではなく、初心者大家さんが見逃しやすい不動産の価値を左右するポイントについてお話ししていきたいと思います。

ただし、「すべてを兼ね備えている不動産」というのは基本的に存在しません。よっぽどの事情がなければ、そのような不動産は「値段が高い」というデメリットがついてしまうことになります。

そのため、この手の弱点を知ったから、「じゃあ、買うのをやめておこう」ではなくて、この弱点ならば、リスクが許容できる、克服できるから、逆にこの物件に挑戦してみよう、という意気込みで臨んでいただければと思います。

前回ご紹介した、「再建築不可物件」については、基本的に建物の建て替えができない、という意味合いでは、次の出口戦略が組みづらい弱点を抱えた物件です。

ただし、「貸すだけならば、問題ない」という評価も可能です。そのため、短期の譲渡益ではなく、長期の賃貸による収益を得る目的であれば、買っていくという戦略もありえます。

また、再建築不可物件は、隣地を購入することができ、再建築可能になると、一気に価値が跳ね上がるケースもあります。このように弱点だけど、許容できるリスクを検討してチャレンジしてくのが不動産投資(不動産賃貸業)の醍醐味ではないかと思います。

さて、今回の本題の一つ目である、境界についてです。土地は当然隣地とつながっているため、土地を売却する際には、どの範囲の土地が売買の対象かを確定するために、確定測量という測量を行って範囲を確定してから売却することが一般的です。そして、確定測量とは、隣地の方との立会の上、境界を確定して行う測量のことを言います。

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確定測量自体が売買契約にて必須の条件というわけではないのですが、近年確定測量を経ていないと融資がつかないとか、大手業者は買い取ってくれないという融資審査の厳しさと相まって、境界確定必須に近い流れになっているかなと思います。

この確定測量を行うには、隣地の方と揉めていると測量が実施できず売却できない、ないしは売却できるが非常に廉価な金額になった、なんて問題も出ているので、確定測量、境界確定の問題は深刻だと思います。

非常にニッチなトラブルだとは思いますが、裏手が山のような傾斜になっていて、接している国有地との境界が曖昧で売却まで進むのが非常に困難だった、なんて話もありました。

以上のように、土地を購入する際には、確定測量、境界の確定が重要なポイントだというのを一つ肝に銘じていただければと思います。

次に、建築条件面です。「容積率」「建ぺい率」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?「容積率」というのは、「延べ床面積」÷敷地面積×100という数式になるのですが、一言でいうと、土地面積にどれだけの述べ床面積の建物を建てられるかという指標です。

たとえば、100坪の土地に100%の容積率ですと、100坪分の面積の建物しかたちませんが、100坪の土地に500%の容積率でしたら、500坪分(ざっくりと5階建て)の建物が建つという指標です。

この話を聞いたらピンと来ていただく方もいるかと思いますが、土地値が坪で●●万円などといいますが、本当は、土地自体の面積ではなく、容積率によって建てられる延床面積との兼ね合いで、この坪●●万円の価値が高いのかどうかを考えていく必要があります。

今度は、「建ぺい率」です。こちらは、土地の面積に対して何%の面積の建物を建てられるかという指標です。

「建築面積」÷敷地面積×100という数式にて求められますが、わかりやすくいうと、300坪の土地でも建ぺい率50%だと、150坪の範囲にしか建物を建てられず、残りは庭や駐車場にしかできないということになります。

土地の価値を見る際には、「容積率」「建ぺい率」をチェックする、というのも忘れないで欲しい指標となります。

最後に、擁壁というと難しく聞こえるのですが、道路との高低差の問題です。

日本の国土は、かなり坂、高低差が大きい土地が多いです。そのため、前面道路と高低差があるとか、そもそもなだらかな斜面にある土地となると、盛り土をして平らにするとか、高低差を埋めるために擁壁という石垣のようなものを作って建物を建築することが多いのです。

この擁壁の対処というのは、また厄介かつコストがかかることもあるのです。擁壁もコンクリートブロック塀であることが多く、解体時にはこの擁壁も解体する必要がでたり、経年でどこかで擁壁を作り直さないといけない状態になることもあり得ます。

特に厄介なのが、擁壁の権利関係が複雑で、お隣さんと擁壁が連続している、その権利関係も曖昧な物件です。実際にこのような物件もありましたが、このような場合、経年で擁壁を作り直すにもお隣さんの承諾が必要になったり、コストをどのような分担にするのか、考えるだけでも頭が痛いトラブルの種になります。

さて、今回のお話でも、利回りと賃貸需要だけではなく、他のポイントにも注意して物件購入を検討しましょう、ということです。

ただ、弱点を見過ごして後から気づくと単なる失敗ということもあり得ますが、その弱点を踏まえても、この購入金額であれば「買いだな」と判断できるようになるのが不動産投資(不動産賃貸業)の肝ではないかと思います。

良いポイントだけではなく、悪いポイントをまずは見つけて、その弱点を克服できるのかどうか、という視点でも不動産投資戦略を考えていくと、より失敗を少なくして、またその戦略を考えるのが「楽しい」とも感じられてくるかと思います。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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