• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

【不動産投資の法律知識】 初心者大家さんの注意点その2 利回り以外の注意点(道路編)

不動産投資全般/法律知識 ニュース

2024/02/17 配信

今回も初心者大家さんが注意すべきポイントについて、法律知識も交えてご紹介していきたいと思います。第2回は、「利回り以外の注意点:道路編」です。

gf1120213507m

1件目の不動産を購入する際に、①利回りがどれだけあるのか、②賃貸ニーズがあるのかどうか、③駅徒歩何分ぐらいなのか、といった賃料及び賃貸需要の点は、気にして購入される方が多いです。

一方、初心者大家さんは、どうしても長期の修繕費や、出口戦略時の売却可能性を見過ごして購入することが多いです。今回は、不動産の価値へと大きく影響する「道路付け」について基本的な事柄をお話ししていきます。

修繕費というのは、大まかには想定して置けるものの、個別のトラブルに関する修繕は予測できないので、高利回りで何かあっても補填できるようにしようと、一層利回りに注意するのはよくわかります。ただ、なかなか世の中「お宝物件」というのはないもので、高利回りである物件は「道路付けが悪い」ものが多いです。

まず、基本的なところですが、建物は接道義務と呼ばれる道路付けがないと建築基準法の要件を満たさないものになっています。幅員が4メートル以上の道路に最低限2メートル以上接道しておかないといけません。

(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(・・・)以上のもの(・・・)をいう。

4メートルといえば、だいたい2車線あり対抗車両とすれ違うことができるような道路です。もっとも、日本の道路はそのような大きなものばかりではなく、「4メートル未満のもの」も多く存在します。

そのような場合、2項道路と呼ばれるのですが、道路の中心線からそれぞれ2メートルになるように敷地内を後退する(敷地の一部を道路に供して)、セットバックすれば建物を建てられるようになります。

2 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(…)の線をその道路の境界線とみなす。

「今、建物建ってるし大丈夫でしょ?」なんて思われるかもしれませんが、日本には、再建築不可物件と呼ばれるように、現状建物が建っているが、建て替えができないような土地も多数存在しています。

多少セットバックする程度で、立て替えに影響がなければよいのですが、セットバックすることで次の物件の間取りが著しく制限されないかどうかは、考えて購入すべきだと思います。

再建築不可物件でも賃貸に出す分には、あまり影響がなく、リフォームはかけられるので、「再建築不可物件でも賃貸業を行う以上問題ない!」という考えで購入されるのであれば、一つの考え方なのですが、あまりよく考えずに、利回りだけ買ってしまっている人も多いので、今回道路付けについてお話ししました。

また、道路付けについては、車が入口まで入れる道路か否か、というのも重要なポイントです。たとえば、車が通れるのは、手前までで賃貸物件にいくには、細い道を数分歩かないといけないとします。重機が入れられないので、解体作業ができない、ないし非常に高額になるとか、建築時にも費用が高騰することを覚悟せねばなりません。

簡単にイメージしていただくと、重機や車が入れないので、大型機械でできる作業を、人がすべて代替しないといけないと言えば、高額な費用になってしまうのも致し方ない、とわかっていただけるかと思います。

さらに、道路にも、公道という行政管理の道路と、私道と呼ばれる個人の方が有している道路があります。建物を建てるためには、私道の場合道路所有者から、「通行掘削承諾」を取られることが必要であり、私道の場合には、この承諾が得られずにトラブルになることが頻発しています。この部分は深堀すると、盛沢山なのでまた別の機会にお話しするとして、私道だとさらにトラブルの種が増える、と覚えておいていただければと思います。

さて、今回の教訓では、利回りと賃貸需要だけではなく、「道路付け」にも注意して物件購入を検討しましょう、ということです。

私も当初は、ネットで物件を探して、高利回りの物件ばかりブックマークをつけていた時期もあるのですが、不動産賃貸業においては、「トラブルがなく、長期間保有できること」が価値を生み出すので、たとえ、利回りが1~2%低くとも、トラブルが起きる蓋然性が低いこと、また、売却して資産の組み直しができることが大きな価値を有しているのではないかと考えなおすようになりました。

もちろん、再建築不可物件や狭小道路という弱点を理解しながら、それを克服できる準備があり、そのような物件ばかりを集めて高利回りで賃貸に課すという戦略もあるかと思います。ただ、何も知らずにうかつに手を出すのはやめましょうという注意喚起が、今回のお話しでした。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ