J-REIT(ジェイリート)にコツコツ投資して、分配金(株式投資の「配当金」と同じ)を毎月もらおうというシリーズ。
J-REITの分配金利回りは3~6%。株式投資よりも高配当なものが多い。
8月決算のJ-REITをいま買うと、3ヶ月後の11月には分配金がもらえる!そして、J-REITは年2回決算だから、翌5月にも分配金が手に入る。
8月決算の注目2銘柄をご紹介する。
8月決算のJ-REITは16銘柄!
注目は福岡リートとアドバンス・ロジスティクス
8月決算期の銘柄は16銘柄ある。
日本都市ファンド投資法人
オリックス不動産投資法人
森トラストリート投資法人
福岡リート投資法人
大和ハウスリート投資法人
日本アコモデーションファンド投資法人
GLP投資法人
Oneリート投資法人
ヒューリックリート投資法人
野村不動産マスターファンド投資法人
ラサールロジポート投資法人
三菱地所物流リート投資法人
ザイマックス・リート投資法人
タカラレーベン不動産投資法人
アドバンス・ロジスティクス投資法人
サンケイリアルエステート投資法人
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り。
「投資口価格」とは、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2023年8月1日終値現在。
J-REIT(ジェイリート)とは、証券市場に上場している金融商品「不動産投資信託」のこと。J-REITを購入すると、株を買うぐらいの小口資金で、大規模大家さんの仲間になれる感じだ。
8月決算の注目銘柄は、福岡リート投資法人とアドバンス・ロジスティクス投資法人だ。
TSMCの半導体工場誘致等で湧く「九州エリア」に投資する
地域特化型の福岡リート
福岡リート投資法人は、2005年に上場した、日本初の「地域特化型」リートだ。
福岡市を中心に、九州・沖縄エリアに投資をしている(山口県も投資対象エリアに含まれているが、現時点で山口県に物件は保有していない)。
スポンサーは九州地方の大手企業、福岡地所、九州電力、福岡銀行、西日本シティ銀行、西部ガスホールディングス、九電工、西鉄グループ、JR九州など。
理念は「地元の優良な不動産を運用対象として、世界中の投資家に紹介し、地元に資金を呼び込もう」だ。
取得価格合計は2,089億円(2023年4月27日現在)。
投資タイプ(取得価格ベース)は商業施設52.2%、オフィスビル33.3%、その他14.5%。
投資対象エリアは福岡都市圏76.8%、その他、九州地域23.2%だ。
では今期(2023年8月期)の動きを見ていこう。
今年3 月 28 日にオフィスビル「熊本イーストフロントビル」を14.5億円で取得した。この物件は、熊本市役所等の官公庁や金融機関等が集まるオフィス街から近い。
そして幹線道路にも近く、熊本県庁や半導体関連企業が集積する「セミコンテクノパーク」へのアクセスも良い場所だ。
熊本県では、半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の第一工場が2024年末に本格稼働する予定だ。そして、第二工場も同県内に建設を検討中らしい。
そのため、熊本県と九州地域にヒト・モノ・カネが向かっているようだ。
福岡リートにとって、熊本県内のオフィスビルへの投資は初めてだ。日本政府がTSMCの工場を誘致したことで、同工場で使われる材料などを製造する関連工場や物流倉庫等も集まり、ビジネス全体が隆盛すると期待したからだ。
また同リートは、4 月 27 日にレジデンス「アクシオン別府駅前プレミアム」(福岡市城南区)を15.2億円で取得した。
9 月 1 日には、オフィスビル「博多 FDビジネスセンター」(福岡市博多区)を141億円で取得する。
「アクシオン別府駅前プレミアム」は、今年3月に延伸開業した福岡市営地下鉄「別府」駅から徒歩約 2 分の新築レジデンス。
地下鉄「博多」駅や「天神南」駅まで15分弱と通勤に便利なので、DINKsやファミリー層、大学病院の医師等といった高収入世帯をターゲットにした賃貸住宅だ。
「博多 FD ビジネスセンター」は、スポンサーの福岡地所株式会社から取得した新築物件だ。
福岡市のビジネス街「天神」や「博多駅前」エリアに近く、福岡空港へも好アクセスの大型区画のオフィスビル。
この2件の取得後には、ポートフォリオに占める商業施設比率は50%以下へ低下する見込み。
同リートは、元々商業施設の割合が50%以上と高い。理由は、スポンサーの福岡地所が開発した巨大な複合商業施設「キャナルシティ博多」 が旗艦物件だったからだ。
「キャナルシティ博多」は1996年に開業した。JR博多駅に近く、劇場や映画館、「グランドハイアット福岡」やワシントンホテル、オフィス、商業テナントなどを含む。
しかし、コロナ禍前の2019年3月、福岡リートは投資戦略を大胆に変更。商業施設の割合を減らしてリスク分散し、オフィスビルの割合を増やす方針を取った。
そして、翌2020年からのコロナ禍で、商業施設の多い同リートは苦戦。2021年にキャナルシティ博多内のホテル「グランドハイアット福岡」を星野リゾート・リート投資法人に売却した。
しかし、今年3月に延伸開業した福岡市営地下鉄七隈線の新駅「櫛田神社前」が「キャナルシティ博多」の近くにできたおかげで、利便性が非常に高まった。
それまでは、JR博多駅から近いと言うものの、徒歩11分と微妙な距離だった。地下鉄駅からも少し距離があり、バス以外の公共交通機関で行くには意外と不便だったからだ。
地下鉄の新駅開業後は、開業前に比べると来場者数は増えており、前年同時期と比べると新駅効果で+6.1%の増加となる。
また、大規模な半導体関係の工場が建つのは隣の熊本県だが、工場近辺に住む高収入世帯の人達が、週末に九州最大の繁華街・福岡市に出てくる事もあるだろう。
また福岡市は、日本企業や外資系企業の誘致に積極的だ。中心部では、再開発プロジェクトが盛んに行われいる。
福岡市と九州全体はいま上昇機運で、そのエリアに特化して投資しているのが福岡リートだ。
福岡リート投資法人
予想分配金:2023年8月期3,600 円、2024年2月期3,600 円
保有物件数:35
取得価格合計2,089億円(2023年4月27日現在)
あえて「伊藤忠」の名を外し、リートのブランドを統一
物流系のアドバンス・ロジスティクス
アドバンス・ロジスティクス投資法人は物流施設特化型リート。
2018年9月に、スポンサーである総合商社「伊藤忠」を冠した「伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人」の名称で上場した。
しかし、2022年6月に「伊藤忠」を外し、「アドバンス・ロジスティクス投資法人」と商号を変更。
理由は、伊藤忠グループが新しいブランド戦略を採用したからだ。
同グループの「アドバンス・レジデンス投資法人」は、住宅特化型リートの中でも資産規模が最大級で、上場以来、約16年間の運用成績が好調だった。
そのため、J-REIT市場で「アドバンス」の名が認知されている。
そこで、伊藤忠グループ系のJ-REITは上場リートも私募リートもすべて「アドバンス・〇〇投資法人」にしたという訳だ。
アドバンス・ロジスティクス投資法人の取得価格合計は1,332億円。物流施設特化型リートでは中規模級だ。
スポンサーは前述したように、総合商社の伊藤忠商事株式会社と、伊藤忠都市開発株式会社だ。
ポートフォリオ構築方針では関東エリアと関西エリアで70%以上としているが、現在のエリア別比率では関東エリアだけで100%だ。
また、物流施設以外のアセットも20%以下なら取得できる方針だが、現時点では物流不動産が100%だ。
築年別比率(取得価格ベース)では3年超7年未満が81.4%で、7年超が18.6%。平均築年数は5.4年と、築浅の物件が多い。
賃貸借残存期間(年間賃料ベース)は7年以上が8.9%、5年以上7年未満31.1%、3年以上5年未満30.0%、1年以上3年未満22.0%、1年未満8.0%。
平均賃貸借残存期間は4.9年と、長期の残存期間がある。
そして、2022年10月に第3回の公募増資を行った際、物流施設「アイミッションズパーク市川塩浜」(千葉県市川市)の70%を取得した。
今年4月3日で残り30%を取得し、今期(2023年8月期)の物件数は13となった。
また、今年6月にスポンサーが「アイミッションズパーク多の津(仮称)」(福岡市東区)の開発を発表した(竣工は2025 年の予定)。
今年7月には、アドバンス・ロジスティクス投資法人が優先交渉権を取得している「アイミッションズパーク桑名」(三重県桑名市)が竣工。
スポンサーが開発した物流施設はいずれ同リートが取得し、資産規模の拡大を目指すと予想される。
分配金に関しては、前期(2023年2月期)は7ヶ月の変則決算だったため、3,239円/口だった。
今期(2023年8月期)からは、通常通りの6ヶ月の運用に戻る。今期の予想分配金は2,806円/口、来期(2024年2月期)は2,820円/口だ。
ただし、分配金には利益超過分配金も一部含まれている。
物流施設特化型リートの中では、同リートは分配金利回りが4%台と高く、投資口価格(株価)が10万円前半台なので買いやすい銘柄の一つだろう。
アドバンス・ロジスティクス投資法人
予想分配金:2023年8月期2,806円、2024年2月期2,820円
保有物件数:13
取得価格合計:1,332億円(2023年4月3日現在)
8月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である8月29日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資は自己責任でお願いしたい。