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神戸で空ビルをリノベーションした物件見学ツアー 面白い事をしたい仲間が集まり、DIYで空ビルを再生

不動産投資全般/投資家インタビュー ニュース

2021/01/09 配信

少し繁華街から離れた神戸の街で、古い空き家や空きビルをリノベーションして面白い街づくりをしている人達がいる。場所は神戸市兵庫区エリア。

兵庫区と言われてもピンとこないかもしれないが、神戸市の繁華街である三ノ宮や南京町(神戸の中華街)は中央区、その西隣りが兵庫区だ。

昨秋、リノベーションした空きビルを見学させてもらうツアーが行われた。このツアーは、空き家を活用する「みんなでつくろう」サイトの運営委託を神戸市から受けている有限会社Lusie(神戸R不動産を運営)が主催だ。

同サイトでは、急増する空き家を活用して街を盛り上げている事例や、DIYやリノベーションの方法などを紹介してきた。

今回は実際にチャレンジした人達の物件を見せてもらうツアーで、筆者も参加させてもらった。

駅近の好立地に建つ築古の連棟ビルを購入
隣のビルからの雨漏りが止まらない!

JR神戸駅や地下鉄海岸線のハーバーランド駅、高速神戸駅から徒歩10分ほどの好立地に建つ築古の連棟ビル。自転車なら、三ノ宮まで15分ぐらいで行ける便利なエリアだという。ビル・オーナーの西村さんは、コロナ禍の今年3月にこのビルを購入した。

ビル・オーナーの西村さん。1階テナントは自転車修理屋さん。
ビル・オーナーの西村さん。1階テナントは自転車修理屋さん。

築50年超の連棟ビルだったため、融資が通りにくかったそうだ。西村さんの友人が既知の金融機関に声をかけてくれたおかげで、なんとか融資が通ったが、今の時期だったら融資は難しかっただろうと振り返る。

とはいえ、この地域は「近隣商業地」で、容積率が300%あるらしい。周りを見渡すと、周辺には計画中も含めて新築マンションがどんどん建っていた。

1階は西村さんの友人が自転車修理屋さんをオープンし、2階・3階は住居として別の友人が借りてくれている。ビルを購入する前に、自転車修理の店を開きたいという友人と一緒に見に来たそうだ。立地が気に入ったので、西村さんがビルを買って、友人が1階のテナントとして店を開くということになった。

ビル購入後、水道や電気以外は西村さん達がDIYしてビルを再生。床を貼ったり、屋上防水を直したりなど。実は隣のビルの雨漏りがひどく、連棟ビルなのでこちら側にも水が伝わってきていた。

隣のビル・オーナーは修繕をしてくれなかったため、仕方がなく、西村さん達が隣のビルの屋上部分も含めて修理し、防水をしたそうだ。仲間と一緒に大量のモルタルを練って打ち直し、雨水がこちらのビル側に流れ込んでこないよう、勾配を逆向きにする作業は大変だったそうだ。

2階・3階は住居エリアに改装した。2階はバスルームとLDKに。お風呂は在来工法で新設し、廃屋などにあった廃ブロックを集めて使っている。

いろんな古家で壊したものを再利用した事もあり、出来上がるまで数ヶ月かかった。表面の仕上げは、友人の左官屋さんに塗装してもらったそうだ。

2階はLDKと、廃ブロックを積んで作り上げたバスルーム。
2階はLDKと、廃ブロックを積んで作り上げたバスルーム。

3階は寝室。しかし、広い空間を生かしてダンスの発表会やイベントの開催ができるようになっている。内壁は友人のアーチストが絵を描いてくれたというオシャレなスペースだ。

3階はイベント会場にも使える住居エリア。アーティストが描いた壁。
3階はイベント会場にも使える住居エリア。アーティストが描いた壁。

改装して住んでいたお気に入りの木造長屋が取り壊しに!
その経験から「借りる」から「自分で買う」へシフト

西村さんがビルを購入したのは今回が初めてだという。1棟ビルを借りて、シェアハウスの運営はしていたそうだ。「借りる」から「自分で買う」方向へ舵を切った原因は、自身が立退きさせられた経験から。

昔ながらの商店街にある古い木造連棟長屋を借りて、学生時代から好きなように改装しつつ住んでいたが、ある時立ち退きに遭ってしまった。

「木造長屋を壊して、投資用のワンルームマンションを建てることになったそうなんです。それで、追い出されてしまいました。その経験から、借りた物件を修理して住んでいてもダメなんだと気付き、自分でビルを買おうと思いました」と西村さん。

「古いビルを再生させるとか、今あるものを大事にして、その近くに住んでいる人達にとって大切なもの・必要なものを作っていくと『文化』ができてくると思うのです。

1階に飲食店や自転車修理店のように、個人が経営している地元のお店が入ってくれて、地域がだんだん面白くなってくればいいなと思っています」

実は1階の自転車修理屋さんは、お酒などが飲めるバーも併設している。なぜバーも作ったのかを店主に尋ねると、「やりたいことは全部やっちゃおうと思ったんです!」。

自転車修理店の店主(真ん中)とバー。
自転車修理店の店主(真ん中)とバー。

お店のオープンはコロナ禍の8月頃だったが、開業当初は修理関係の売り上げよりも、バー関係の売上の方が多かったそうだ。ご近所の人が飲みに来てくれるうちに、自転車修理の本業にも徐々にお客さんが来てくれるようになったという。

家を直すのが大好き。これはライフワーク!
次は、アーティストが無料で住める「村」を作りたい

ビル購入前は、木造築古戸建てを買ってはDIYで直して、貸していたヤドカリ大家さんだったそうだ。この一、二年はひたすら修理して貸すという作業を10戸ほど続けていた。いま手元には、購入したけれどまだ貸し出ししていない木造戸建てが10戸ほどある。

「7戸ぐらいの家をゆっくり改装して、家賃をもらわずに、アーティスト達が住みながら色んな事が出来る『村』を作りたいと思っています。その村から『文化』が生まれていったらうれしいなと思ってます。

一応利回りは計算していて、理想は20%です。すでに貸している10戸の木造物件とビルを合わせると、でこぼこはあるものの平均して利回り20%はあります。

ただし、アーティスト達に提供したい『村』については別で、利回りには入れてません。

投資家目線ではないかもしれませんが、味のある木造連棟長屋を壊してワンルームマンションにするというのはもったいない気がするのです」

周りに面白い人達がたくさんいて、自己表現をしているアーティストの知り合いも多い西村さんは、彼らをサポートしたいとと考えている。

「僕は家を直すのが好きなので、これはライフワークですね」

一級建築士の資格を持ち、設計事務所などでの勤務経験もある西村さん。神戸の下町や歴史ある場所が好きなので、仲間とともに今後も面白い場所づくりをしていくそうだ。

購入したビルの2階・3階に住みながらDIY
1階テナントは人気のカレー屋さんに!

西村さんの知人の平井さんもDIYが大好き。小ぶりな1棟ビルを丸ごと借りて、友人と一緒にDIYして共同運営していた。

そのうち、大家に気兼ねすることなく、自分が好きなように触れる建物が欲しいと思っていたところ、西村さんから売りビルの話を聞いたそうだ。それがこの築45年ぐらいのS造、3階建てビル。2017年に平井さんが1棟めとして購入した。

平井さんがオーナーのビル(真ん中)。1階はカレー屋「ニューヤスダヤ」。
平井さんがオーナーのビル(真ん中)。1階はカレー屋「ニューヤスダヤ」。

1棟ビルの床面積が戸建てぐらいの大きさだった事もあり、「ビル購入」というプレッシャーを感じずに買うことができたそうだ。

1階はテナントとして貸す予定だったのが、もしテナントが決まらなかったとしても、2階・3階の住居エリアで自分が住めばそれで良いと考えていたという。

「利回りは計算しています。でも、それを重視しているわけではないです。10年くらい経った時に元が取れればいいと考えています。それよりも、面白いことをやっていくことに興味があるんです」

ビル購入後は、住居エリアを1年間ほどかけて、水道やガス以外の部分をDIYしながら住んでいたそうだ。2・3階の修理が終わると、1階のテナントを募集。

カレー屋を開きたいと申込が入り、借り主と一緒になってDIYで内装をつくり、スパイスカレーの「ニューヤスダヤ」が2019年3月頃にオープンした。複雑なカレーの味に、今は人気店になっている。

1階「ニューヤスダヤ」の店内。
1階「ニューヤスダヤ」の店内。

現在、オーナーの平井さんは別の場所に引っ越したので、住居エリアをシェアハウスにするべくDIY中だ。もうすぐ完成予定で、シェアハウスの3部屋のうち1部屋は借りてくれる人が決まっている。あと2部屋の入居者を募集中だという。

廃材などを使いながら、平井さんが自作したシェアハウスの壁面。

「今はサラリーマンですが、不動産投資を拡大した結果でリタイヤ、と考えている訳ではないです。

今自分が住んでいる場所は、工事途中の状態のときに知り合いの音楽家にライブ会場として使ってもらうなどイベントに場所を提供しました。

面白いことが好きなので、今後もイベントで使ってもらったり、イベント主催などもやっていきたいと思っています。この地域が段々と面白くなってきているのが嬉しいですね」

リノベーションしている2階キッチン。右がオーナーの平井さん。
リノベーションしている2階キッチン。右がオーナーの平井さん。

平井さんは大阪で都市開発関係の仕事をしているが、プライベートでは、神戸が面白くなっていけばと考え、活動をしているそうだ。

街をぶらぶら散策して見つけた空きビル
ビル1棟まるごとの家賃が月10万円!

所有ではなく、1棟ビルを借りて運営しているのは「カルチア食堂」の仲島さんだ。

1階で食堂を経営し、2階に住み、3階は仲島さんが趣味の油絵を描くアトリエとして使っている。同じく絵を描く友人にもアトリエを提供しているそうだ。

「カルチア食堂」のあるビル。
「カルチア食堂」のあるビル。

3階建ての1棟まるごとの家賃は月10万円!安い理由は、2階や3階に上がるには必ず1階の店舗部分を通らないといけないから。1棟まるごと借りてくれる人でないと、というビルの構造上の問題だった。仲島さんは街をぶらぶら探索している際にこの空きビルを見つけたという。

仲島さんは岡山県出身で、仕事で神戸に出てきてこの近くに住み始め、兵庫区の「和田岬」近隣の良さを実感していたという。

このビルを見つけ、借りてから3カ月かけてDIYしたそうだ。最初の1週間は大工さんに日当を払って道具の使い方などを教えてもらい、ガス、電気、水道以外のほとんど全部を自分で修理したという。

「カルチア食堂」の店内。天井にトタンを貼り、カウンターは分厚い木材を買って取り付けている。
「カルチア食堂」の店内。天井にトタンを貼り、カウンターは分厚い木材を買って取り付けている。

「ビルは築50年位ぐらいで、元々飲食店でした。敷金・礼金やリフォーム費用を含めて、250万円ぐらいかかりました。今年で7年目ですが、今も少しずつ手直しをしています」

ちなみに、隣のビルも同じ大家さんの所有で、仲島さんの友人家族が借りて住んでいる。こちらの家賃は1棟まるごとで月5万円!

「和田岬は三ノ宮と違って、ゆっくりした雰囲気がいいんです。隣に住む友人家族は引っ越しますので空きますよ。良かったらどうですか?(笑)」と教えてくれた。

西村さん、平井さん、仲島さんはお互いに友人・知人同士。そして彼らのビルのお店には、他の友人達やお客さん達が和気あいあいと集っている。

そんな西村さん達を見ていると、不動産投資家としてしっかり利回りを叩き出すことも非常に大切だが、仲間と一緒に面白い場所(点)を作り、それが少しずつ大きくなって面となって、街の文化を作っていく取組みもとても魅力的だ。

健美家編集部(協力:野原ともみ)

※一部の写真は平井さんからいただいた写真を使用。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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