株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REIT(ジェイリート)でも分配金(株式投資の「配当金」と同義)を毎月もらおうというシリーズ。
J-REITの分配金利回りは3~6%と、株式投資よりも高配当なものが多い(一部のホテル特化型リートは除く)。
7月決算のJ-REITをいま買うと、3ヶ月後の10月に分配金がもらえる。FIRE(経済的独立&早期リタイア)への第1歩に、7月決算の注目銘柄3つをご紹介する。
7月決算のJ-REITは15銘柄!
注目はイオンリート、東急リアル、ヘルスケア&メディカル
J-REIT(ジェイリート)とは、証券市場に上場している金融商品「不動産投資信託」のこと。J-REITを購入すると、株を買うぐらいの小口資金で、大規模大家さんの仲間になれる感じだ。
詳しくはこちらを参考にしてほしい。
7月決算期の銘柄は15銘柄もある。
東急リアル・エステート投資法人
日本ロジスティクスファンド投資法人
森ヒルズリート投資法人
産業ファンド投資法人
アドバンス・レジデンス投資法人
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
コンフォリア・レジデンシャル投資法人
イオンリート投資法人
ヘルスケア&メディカル投資法人
サムティ・レジデンシャル投資法人
いちごホテルリート投資法人
スターアジア不動産投資法人
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人
エスコンジャパンリート投資法人
※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り、NAV倍率。
「投資口価格」は、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2021年7月2日終値現在。
注目銘柄の3銘柄は以下だ。
イオンリート投資法人
東急リアル・エステート投資法人
ヘルスケア&メディカル投資法人
イオンリートは小売業界大手のイオンがスポンサー
J-REIT初、マレーシアなど海外にも投資
イオンリート投資法人は商業施設特化型リートだ。資産規模は3,968億円と大型のリートだ。
スポンサーは、全国各地にイオンモールやスーパーマーケットを展開する小売業界大手のイオン株式会社。
スポンサーのイオングループが持つ物件をイオンリートが購入し、そして、イオングループがその物件を借りる形となっている。
なぜ、わざわざこの仕組にしているのか?
理由は、イオングループが出店数を加速させるために金融機関からの借入を膨らませると、財務状況が悪化してしまう。
しかし、イオンリートを設立し、イオングループの大型商業施設をリートに売却すれば、店舗の開発にかかった資金が早く回収できるからだ。
コロナ禍では、緊急事態宣言発令などにより商業施設へ多大な影響が出たが、スポンサーのイオングループがしっかり賃料を支払ってくれたお陰で、イオンリートにはほぼ影響がなかった。
商業施設型リートの特徴は、賃貸契約が他のリートよりも長期間で、安定した賃料が期待できる事だが、今回はテナントがスポンサーでもあることが功を奏したといえる。
イオンは日本全国に出店し、地域を分散して投資しているが、J-REITで初めて海外不動産への投資も行っている。マレーシアなどのASEAN地域や中国など、人口が増加し、今後も経済発展が予想される国や地域を対象としている。
なお、投資する海外商業施設の選定には、イオングループに一括で賃貸し、管理・運営も同グループできる施設に限定し、海外不動産投資のリスクを小さくしている。
現在は、マレーシアに2物件。シンガポールの国境に近いジョホール州に「イオン・タマン・ユニバーシティ・ショッピング・センター」と、マレーシアの首都クアラルンプール郊外に「イオンモール セレンバン2」。
スポンサーが消費者とダイレクトに向き合う小売業イオンならではで、イオンリートのホームページは親しみやすいイラストを多用し、リート初心者でもわかりやすい作りになっている。
なお、スポンサーのイオン(株)には株主優待があるが、残念ながらイオンリートには投資主優待はない。
イオンリート投資法人
予想分配金:2021年7月期3,200 円、2022年1月期3,200 円
保有物件数:43
取得価格合計:3,968億円(2021年3月17日現在)
東急沿線の価値向上をスポンサーと一緒に進める東急リアル
起点の渋谷を中心に重点投資
東急リアル・エステート投資法人は、東急電鉄をグループ会社に持つ東急株式会社がスポンサー。
2003年に設立された老舗の総合型リートで、資産規模は2486億円と大型だ。
東急リートの保有物件は、東京都心5区と東急電鉄沿線に集中させて、全体の85%以上の保有比率になるようにしている。それ以外の首都圏で残り15%以下の保有比率とし、「首都圏以外には投資しない」と明言している。
特に、起点となる渋谷を中心にした「広域渋谷圏Greater SHIBUYA」にオフィスや商業施設を重点投資し、再開発を進めている。
同リートの投資戦略は、スポンサーの東急(株)と同リートの投資対象エリアが重複させることで、東急沿線地域の価値を向上させる事だ。
東急電鉄は渋谷を起点に、東京都および神奈川県内に8路線を持つ。1日当たり約324万人と、大手私鉄の中でもトップクラスの利用者数を誇る。東急沿線地域の17市区の人口は約546万人。
不動産の価値が低い時期に、スポンサーが物件開発を行って沿線の付加価値を向上させる。そして同リートが物件を購入し、運用する。売却資金を得たスポンサーが沿線への再投資を行うことで、沿線の価値がさらに上がる。
物件が古くなり、周辺地域の変化で物件価値が下がってきたら、再びスポンサーが再開発を行って不動産価値を向上させる。そして再び、同リートが物件を購入し、運営を行う。
このように、スポンサーと連携して投資を行う「循環再投資モデル」で価値向上を目指している。
また、不動産価格は長期で上下するという循環性があるため、バリュー投資(割安なものに投資する)と逆張り投資(値下がり時に投資する)を行う事により、売却益を得ながら物件の入替えを行っている。
築年数の古い物件を売却し、築浅の物件を購入して競争力をつけるという長期投資の戦略を取る。
東急リアル・エステート投資法人
予想分配金:2021年7月期3,400円、2022年1月期3,410円
保有物件数:34
取得価格合計:248,614百万円(2021年5月末現在)
J-REIT唯一のヘルスケア施設リート、ヘルスケア&メディカル
有料老人ホームだけでなく、J-REIT初の「病院」も保有!
ヘルスケア&メディカル投資法人は、2015年に上場したヘルスケア特化型リートだ。資産規模は670億円で、リートとしては小規模だ。
主要なスポンサーは、介護や医療事業を行うシップヘルスケアホールディングス株式会社、ファンド運営のNECキャピタルソリューション株式会社、そして三井住友銀行。
以前はヘルスケア特化型リートが3銘柄あったが、うち2銘柄が住宅特化型リートと合併した。現在では、このヘルスケア&メディカル投資法人が唯一のヘルスケア特化型リートである。
同リートの物件ポートフォリオは、三大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏)86.5%、中核都市圏(三大都市圏以外の政令指定都市、県庁所在地及び地方中核市)11.0%、その他2.6%だ。
タイプ別では、有料老人ホーム73.0%、サービス付き高齢者向け住宅4.7%、医療関連施設等3.1%、有料老人ホーム・医療関連施設等19.3%だ。
同リートは上場後に公募増資も行い、ゆっくりと資産規模が拡大している。J-REIT初として、病院も組み入れた事もあり、今後の物件取得に注目したい。
なお、有料老人ホームなどのヘルスケア施設は、減価償却費のうち、「資本的支出」に当たる設備への投資額が他のアセットクラスと比較して低い。
そのため、同リートは継続的に利益超過分配を実施して、内部留保した資金の一部を投資主へ還元している。
同リートのホームページの予想分配金に、「2021年7月期(含む利益超過分配)3,236 円」と明記しているのも丁寧だ。
また、投資主優待として、ヘルスケア施設(有料老人ホームなど)の無料体験入居(1泊2日食事付)や無料見学(昼食付)、入居一時金や管理費の割引などがある。
ヘルスケア&メディカル投資法人
予想分配金:2021年7月期(含む利益超過分配)3,236 円
2022年1月期(含む利益超過分配)3,236 円
保有物件数:37
取得価格合計:67,057 百万円(2021年3月29日現在)
7月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である7月28日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資判断は自己責任でお願いしたい。
健美家編集部(協力:野原ともみ)