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【大家さんが知っておきたい助成金制度】住宅セーフティネット制度

政策(不動産投資関連)/助成金・補助金 ニュース

2019/10/09 配信

民間の賃貸住宅を活用した
住宅弱者をサポートする制度

日本では年金だけで暮らす高齢者が増え続け、それ以外にも障害者、シングルマザー子育て世帯など、低収入で住宅の確保に困っている人は少なくない。ところが、こういった方たちの受け皿となる公営住宅は大幅な増加が見込めず、「住宅難民」は社会問題化しつつある。

高齢者など、住まいの確保に困る人は増加傾向。空き家・空き室の活用が進められている。
高齢者など、住まいの確保に困る人は増加傾向。空き家・空き室の活用が進められている。

一方、人口減少に伴い民間の空き家・空き室は増え続けるばかりで、官民による対策が急がれている。とはいえ、物件オーナーからすると収入が少ない「住宅確保配慮者」は家賃滞納のリスクが高く、部屋を貸したくても貸せないという気持ちも働くだろう。そこで知っておきたいのが「住宅セーフティネット制度」だ。以下の3本の柱から成り立つ。

住宅セーフティネット制度の概要。住宅確保配慮者の入居を拒まない住宅を登録することで、さまざまな助成を受けられる仕組みだ。 出典:国土交通省サイトより
住宅セーフティネット制度の概要。住宅確保配慮者の入居を拒まない住宅を登録することで、さまざまな助成を受けられる仕組みだ。
出典:国土交通省サイトより

① 住宅確保配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
② 登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
③ 住宅確保配慮者に対する居住支援

それぞれを解説しよう。

住宅確保配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯と定められていて、低額所得者とは公営住宅法に定める算定方法による月収が15万8000円以下の世帯を指す。

子育て世帯は18未満の子供がいる世帯で、省令において外国人なども定められている。加えて、地方公共団体が供給促進計画を定めることで、新婚世帯など住宅確保配慮者を追加することも可能だ。

物件オーナーが住宅セーフティネット制度を活用するには、住宅確保配慮者の入居を拒まない住宅として、都道府県・政令市・中核市に該当する賃貸住宅を登録。都道府県では登録住宅の情報を住宅確保配慮者に提供し、入居を申し込むという流れだ。

ただし、登録の際は住宅確保配慮者の範囲を限定することができ、長屋や集合住宅は住戸単位で登録が可能。ちなみに、登録申請・登録された住宅は「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索・閲覧できる。

「セーフティネット住宅情報提供システム」では、踏力住宅の検索・閲覧・申請が可能。直近では総登録件数887件、総登録戸数1万2093件。最多は大阪府の5569件、兵庫県1182件、愛知県1174件が続いた。 出典:セーフティネット住宅情報提供システム
「セーフティネット住宅情報提供システム」では、登録住宅の検索・閲覧・申請が可能。直近では総登録件数887件、総登録戸数1万2093件。最多は大阪府の5569件、兵庫県1182件、愛知県1174件が続いた。
出典:セーフティネット住宅情報提供システム

賃貸物件を登録するには、一定の基準に適合する必要がある。耐震性があることはそのひとつで、住戸の床面積は25㎡以上、シェアハウスであれば専用居室が9㎡以上、かつ住宅全体の面積は15㎡×居住人数+10㎡以上、キッチンや食事スペース、トイレ、バス、洗面所などを適切に設けないといけない。ただし、これら登録基準は地方公共団体が供給促進計画を定めることで強化・緩和が可能だ。

登録住宅や入居者へは
数々の経済的な支援を実施

同制度では「登録住宅の改修支援」と「入居者への負担軽減支援」が用意されている。

改修支援とは、費用に対する補助制度だ。国による直接補助と地方公共団体を通じた補助があり、補助対象になる工事は「共同居住用住居に用途変更するための改修・間取り変更・耐震改修・バリアフリー改修工事」「居住のための最低限必要と認められた工事」「居住支援協議会等が必要と認める改修工事」。インスペクションを含む、これらに係る調査設計計画も補助対象になる。

補助率は国の直接補助の場合は「国が3分の1」、地方公共団体なら「国3分の1+地方3分の1」、国費限度額は1戸あたり50万円(共同居住用のための改修・間取り変更または耐震改修工事なら1戸100万円)と定められている。

ただし、家賃について取り決めがあり、国の補助を受けるには「公営住宅に準じた家賃以下(例 東京都文京区6.7万円、大阪市6.4万円など)、地方公共団体の補助なら「近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しない額」という。

入居者への経済的支援としては、家賃と家賃債務保証料の低廉化に対する補助がある。家賃に関しては、対象になるのは月収15.8万円以下の世帯(生活保護及び生活困窮者自立支援制度の受給世帯は除く)で、補助率・保持限度額は「国2分の1+地方2分の1(国費限度額1戸2万円/月)。支援期間は管理開始から原則10年以内だが、同一入居者への補助総額が国費で240万円を超えない場合は最長20万円となっている。

物件オーナーとしては改修費用に補助があり、入居者に対する家賃のサポートもあるので、安心ではないだろうか。

住宅セーフティネット制度では登録住宅の改修補助を実施。要件をクリアすれば助成を受けることができる。 出典:国土交通省サイトより
住宅セーフティネット制度では登録住宅の改修補助を実施。要件をクリアすれば助成を受けることができる。
出典:国土交通省サイトより

こういった取り組みは自治体独自で行っていて、東京都文京区の「文京すまいるプロジェクト」はそのひとつ。高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象に入居を拒まない「すまいる住宅」の登録を受け付けていて、ホームページなどで紹介。

住宅オーナーには入居者謝礼が1戸あたり月1万円が支払われる。加えて、高齢者に配慮された設備に対しては、「建物にエレベーターが設置」で2600円、「浴槽に手すり設置」で240円など、月額で最高1万円を加算する。

他にも、東京都杉並区では賃貸住宅のバリアフリー工事費用を助成する「高齢者等賃貸住宅改修助成事業」、同目黒区でもシニア世帯を対象に家賃を補助する「高齢者世帯等居住継続家賃助成」を実施している。こういった制度を知っておけば、高齢者を始めとする住宅弱者を前向きに受け入れられるに違いない。

空室対策にも役立つだろう。何より、自身が持つ資産を通じて社会に貢献したいと考える不動産投資家は少なくない。助成制度を活用しながら、その願いを叶えてはいかがだろうか。

健美家編集部(協力:大正谷成晴)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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