すでに、テナントの土木工事は始まっていた。
雨天決行だ。
現場では一台の大型ユンボと、六人の土木作業員が働いている。
本日はテナントの車庫に、コンクリートを打設する。
また、雪で沈んだ敷地に、砕石を敷く。
現場に乗りつけたメルセデスから降りてきたオトコが、セレブかと思ひきや、ナチスの制服のような色の八分ズボンをなびかせて、ドロの付いた長靴を履いているので、土木作業員一同、驚き、一瞬、ユンボとスコップの動きが止まる。
ほぼ新品のアドバン・ネオバと18インチのホイールに、褐色の泥がこびり付くが、お構いなしだ。
フェンダーの内側もドロドロだが、あとで洗えばいい。
地盤にはネオバAD08の、花が咲いたような模様が、くっきりと残る。
現場監督のサッカーの三浦カズのような髪型の元気のいい初老の男性が、大きな声で怒りながら作業を指示している。
ロス疑惑の三浦和義の髪型だったら、もっとナウいかもしれない。
休憩中、一緒にタバコを吸いながら、
ひょっとして、組織の方ですか? と質問すると、
ニヤリと笑いながら、
よく間違えられるが、単なる土木会社の社長だ、
といふ。
現場では、...
この記事は会員限定です。
会員登録(無料)すると続きをお読みいただけます。
健美家会員のメリット
- 会員限定物件や非公開物件情報が見れる
- 最新のコラムニュース情報がメールで受け取れる