ご高齢といふこともあり、少し迷ったが、近所に親戚が多いといふ話を訊き、入居することになった。
最初の二年半、家賃は毎月、滞りなく入ってきた。
ところが、一年半ほど前から、滞納気味になった。
それでも、四カ月後には、四カ月分の入金があった。
遅れても、根性で支払うタイプの入居者だった。
冬に寒いといえば、ビーズデンキ( 仮名 )で、セラミック・ストーブを買い、アパートに直送した。
滞納が続いていた時、空腹ではないかと心配になり、米を持って行ったこともあった。
そんな時、いつも老婆の傍にいたのが、五十代後半のムスコだった。
いつの間にか、同居していた。
入居時からぼんやりしていた老婆だったが、近年ではぼんやりが進行して、時々、辻褄の合わないことをいい出すようになった。
根性も尽き果て、四カ月分の家賃を滞納。
もう、退去してクダサイと、何度もお願いするが、首を縦に振らない。
貧困と病気で弱った老婆に厳しくするのも、人道的に疑問が残る。
なすすべもなく、国家の福祉部門に相談。
国家の調査によると、生活保護の基準に達しない程の、遺族年金が支給されていうといふ。
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