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これで指値も怖くない?不動産取引の超交渉術 「ストライクゾーン」を見つけて交渉上手になる方法!

収益物件購入・売却/物件選び ニュース

2020/08/14 配信

大家業をしていく上で、上手に交渉するということは重要だ。物件を買う、売る、空室に入居者を紹介してもらう、などすべて「交渉」が絡む。

ところが、交渉が苦手という人も多いだろう。つい自分の主張ばっかり強く言いすぎてしまって、失敗した経験は誰しもあるのではないだろうか。例えば、物件に指値をきつく入れてしまい、けんもほろろに不動産会社や売主から断られてしまうなど。
上手に交渉を進めるにはどうしたらよいかを研究し、独自の方法を編み出した藤原さんの話を聞いた。

交渉上手な人を真似するために
「ストライクゾーン交渉術」を編み出した

藤原 崇さんは、17年前に現在勤務する不動産会社の社長に誘われ、取締役として入社した。会社では、自社の収益物件の管理業務や、中古物件を購入後にリフォームし、再販など手掛けている。そして、2010年からは自分でも不動産投資を始めたサラリーマン大家さんでもある。

藤原さんが「ストライクゾーン交渉術」を思いついたのは、勤務先の社長が交渉上手だったからだ。社長を見ていて気づいた秘訣は、
①交渉を有利にするために、下準備など段取りが非常に重要だということ。
②交渉をうまく妥結させるためには、「ストライク」が決まるゾーンがある。
③「ストライクゾーン」を見極めて、設定する。
④「ストライクゾーン」の範疇で、交渉を進めていく。
⑤ゾーンの微調整は必要だが、ゾーンから大きく外れるようなら、交渉から降りる。

孫子の兵法「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
まずは情報収集を徹底的に!

藤原さんは孫子の兵法「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」を、ストライクゾーン交渉術での座右の銘にしている。
「敵(相手)に関する情報収集を徹底的に行い、自分の状況もきっちりと把握していれば、100回戦ったとしても相手に負けることがない」と、「準備」に重きを置く方法だ。

ストライクゾーン交渉術では孫子の兵法を応用し、まず「自分の状況」を整理してみる。そして、敵(交渉相手)について情報収集する。そうすると、どこがストライクゾーンかがわかってくる。
しかし、頭の中で考えるだけでは、交渉相手に言葉で伝えることが難しい。そこで、自分の戦略を冷静に整理するためにも、独自に表を作りだした。それが、下記の「ストライクゾーン交渉術」の表だ。
表の一番上には、初心を忘れないように「孫子の兵法」が書かれている。

「ストライクゾーン交渉術」の表
「ストライクゾーン交渉術」の表

キツイ指値を入れられた物件も、
交渉術を使って高値売却に成功!

藤原さんは自社所有物件を売却する際、このストライクゾーン交渉術を使って高値売却に成功した。

物件は大阪市内のRC造ワンルームマンション、昭和60年建築、検査済証がなかった。

まずは、今回の交渉の目的・内容は?
「築30年以上で、検査済証がない収益物件を売却したい」

①こちら側の状況を確認してみる。
●自社物件で、不動産業者なのでレインズにも掲載している。
●価格は適切か?
●残債はあるのか?
●大規模修繕の内容は?
●特約は?
●所有期間?
●現在の景気はどうか?

②相手の情報を収集する。
●仲介業者はどこか?
●買主の属性は?
●瑕疵担保責任は?
●特約は?
●引き渡し前の解約・修繕は?

③「ストライクゾーン」を考える。
●こちらが業者なので、「瑕疵担保責任はあり」になる。しかし、築古物件なので、このまま引き渡すと後日大きな瑕疵が発生し、工事費用が甚大になるかもしれず、リスクが大きい。
●そこで、「外壁補修と受水槽のポンプ取り替えは、引き渡し前にこちら負担で行う」という特約を付けた。
●工事は売買契約後から開始なので、物件の引き渡しを6ヶ月後とした。

契約時には、検査済証がない物件だったためキツイ指値をされてしまい、受け入れざるを得なかった。しかし、将来起こるかもしれない工事費用負担を回避するため、工事を引き渡し前にすることで、工事期間中の家賃収入を得ることができた。6ヶ月分の家賃収入は大金だ。

買い叩かれたように見えた物件だったが、結果的には高く売ったのと同じ事になった。その上、工事もこちらで対応できたので、瑕疵担保責任のリスクも軽くなり、心配も減ったという。

検査済証のない物件を売却する際の交渉術

物件購入時に安く買いたい場合も
表に書き出し、冷静に整理して臨んだ

藤原さんはサラリーマン大家として、物件を購入する場合も表を使っている。
購入を考えていた物件は、大阪市内で築8年、駅から徒歩2分の1LDK37.76平米。売値が1680万円。賃貸中で、現在の家賃は10.5万円。少しでも安く買うにはどうしたら良いか?

まず、①自分の状況を分析。
●物件のどこを気に入ったのか?
●融資を受けられるのか?
●手続きなど諸費用は?
●自分としての利回りの希望は?
●いつまでに購入したいのか?

②相手の情報を収集する。
●掲載業者はどこか?いつから掲載しているのか?
●専任か?一般か?
●仲介手数料は分かれか?売主か?
●新築当時の価格はいくらか?今の賃料は妥当か?
●売却理由は?
●区分所有なので、同マンションの他の成約事例は?
●現在の入居者は?
●物件管理の状況は?

これらを鑑みて、③ストライクゾーンを考える。
そして交渉の結果、130万円値下げしてもらって契約できた。値下げに成功した理由はローン特約の日数だ。不動産業者でもある藤原さんは、仲介会社にとってローン特約のある仲介は面倒くさくて嫌がることを知っている。
そこで、今までの融資の実績から10日~2週間以内で融資の内諾が出るだろうと、口頭で相手に強調。しかし、書面上では念のため3週間としてほしいと頼んだそうだ。実際の融資は予想通り迅速に降りて、早く決済できたという。

区分所有を購入する時の交渉で
区分所有を購入する時の交渉で

入居者募集中の空室に、家賃の減額交渉が入った時
確認すべきは「内覧した後」か?

例えば家賃75,000円で募集している部屋に、仲介会社さんから電話がかかってきて、「あと5,000円安くなりませんか?」と言われた場合どうするか?
重要なのは、仲介業者さんは既にお客さんを物件まで連れて行き、内覧した上での減額交渉なのかどうかだ。

会社で物件管理業務もしている藤原さんによると、まだ内覧にも至らず、どの物件をお客さんに紹介するかピックアップしている段階で、7万円まで家賃が下がる物件を仲介会社の担当さんが探しているだけ、ということもよくあるとのこと。7万円になる物件だけを集めてから入居希望者を内覧に連れていき、その中から選んでもらうというケースだ。

そこで、減額交渉が入った場合は、仲介会社さんに「内覧後かどうか?」を必ずヒアリングしてみる。その上で、お客さん(入居希望者)の年収や属性、引越理由、入居希望日や、仲介会社の担当者のレベルなどをチェック。
そして、家賃7.5万円は相場より高めだが、リフォーム代をかなりかけ、キッチンは全取り換えしている。5,000円もの値引きは難しいから、自分のストライクゾーンは2,000円引きの7.3万円と決めたとしよう。

☆家賃交渉の表
家賃交渉をされた場合

仲介業者さんには、大掛かりなリフォームをしたのでスペックが上がっていること、5,000円もの値下げは厳しいことを伝えた上で、
「協力してくださった御社に、AD(広告料)を満額お支払いしたいのです。なんとか7.3万円を落としどころとして、交渉してもらえませんか?」とお願いしてみる。

藤原さんは、
「家賃を5,000円値引きしたら負けだ、というわけではありません。どんな過程を踏んだか、そして自分も相手も納得できたか、が重要だと思っています。
そして安易に値下げせず、トラブルを起こす人を入居させないためにも、どんな入居者か確認してから応じることも重要です」と語る。

ちなみに、家賃値下げの問い合わせはよくある。仲介会社さんからの電話で慌てて考えるよりも、事前に家賃や条件など、自分のストライクゾーンを考えておくことが大切だ。

「交渉術というのは、ゴリゴリとこちらの要望ばかり押し付けるばかりではありません。また、ストライクゾーンは人によって満足できるゾーンが違います。他の人と比較する必要はありません。
交渉のスタイルも十人十色。合ってるか間違ってるかではなく、自分を基準にしましょう。自分のやり方で、自分が良いと思えるストライクゾーンを見つけて、そのゾーン内に収まるように交渉していけば良いと思います。
そして、最後はやっぱりコミュニケーション力。交渉相手の立場も考えて、ちょっとゴマを擦りながら、お互いが納得できるストライクゾーンで交渉できたらいいですね」
と藤原さん。

ストライクゾーン交渉術の考え方や表は、大家業以外にも使えるはずだ。様々な交渉事を「見える化」して、ぜひ問題解決に役立ててほしい。

健美家編集部(取材協力:野原ともみ)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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