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【話題の空き家再生投資4】人気の多摩エリア最新事情と確実に客付けするための物件見極め術を聞く

収益物件購入・売却/物件選び ニュース

2022/10/27 配信

全国古家再生推進協議会(全古協)の空き家築古戸建て再生投資をご紹介する連載4回目は首都圏でも人気の多摩エリアの最新事情、加えて確実に客付けするための物件の見極め方、改修の仕方などをご紹介していこう。

多摩エリアは前回ご紹介した東大阪エリアに比べると物件価格は高めだが、その分、個性的な物件も多く、貸し方、使い方を考える楽しみもある。

物件豊富な多摩エリアではペルソナ設定が肝

今回のツアーは八王子駅近くで集合、周辺の物件を見学した
今回のツアーは八王子駅近くで集合、周辺の物件を見学した

地域によって供給されている物件には違いがある。連載3回目で紹介した東大阪エリアでは長屋、小規模戸建てが多く、その分、物件価格、改修費が少な目で収益を上げやすいと説明した。

今回の多摩エリアでは物件の幅が広く、価格、規模その他が異なる物件が供給されている。確実に客付けするためにはそのためのノウハウも必要になるのである。

今回の八王子エリアの案内を担当するのは古家再生士の谷保清香氏と永田将太郎氏。谷保氏は自身でも不動産投資をしており、そもそも全古協の施工を担当するカラーズバリューに入社したのも一戸建てへの投資について学びたいというのが動機だったのだとか。

ご案内いただいた永田氏、谷保氏。永田氏は建物、改装に詳しく、物件を見ながら何をどうすれば効果的か、次々に具体的にやるべきことの提案が出て参考になる
ご案内いただいた永田氏、谷保氏。永田氏は建物、改装に詳しく、物件を見ながら何をどうすれば効果的か、次々に具体的にやるべきことの提案が出て参考になる

「カラーズバリューでは3年目になりますが、それ以前は不動産会社におり、投資用マンションの仲介などもしていました。株や金融資産は現物がありませんし、自分の物理的な努力で価値を上げることは難しい。でも、不動産ならそれができる。

そこでボロボロのミニ一棟マンションを購入、セルフリノベーションをして以来、不動産投資をしてきたのですが、木造住宅については知識がない。そこで、ボロ家再生について知識を得たいと考えて入社を決めました」。

不動産、木造住宅ともに実践的な知識がある再生士というわけだが、その谷保氏がアドバイスするのは「どんな人に貸そうとしているのか、ペルソナを決める」こと。

「今回のツアーでは再建築不可の駅近コンパクト物件、駅からは遠いものの邸宅と言っても良いような立派な庭付き一戸建て、王道のおんぼろな2LDKとタイプなどと想定入居者層の異なる4物件を見学します。当然、誰に貸すことを想定するかで改装の仕方も異なります。利回りだけを考える人はどうせ自分が住むわけじゃないからなんでもいいとこの作業をしたがりませんが、ペルソナ設定は確実に客付けするには大事なポイントです」。

ちなみに再生士には工務店出身者が多いものの、谷保氏のように不動産業経験者や関西の西尾太一氏のように全く異業種出身者もいる。

谷保氏、西尾氏などのように自身でも投資をしている再生士も多く、投資家の気持ちに寄り添ったサービスが受けられるのはそのためだろう。

都内なら利回りは10%で考えたい

さて、多摩エリアの投資環境だが、都心からは距離があるとはいえ都内である。利回りは10%で見ていると永田氏。「多摩エリアだけでなく、首都圏近郊は軒並み物件価格が上がっており、多摩エリアのみならず、千葉県内、たとえば船橋でも最近は10%で考えて指値をしないと買付で負けることがあります」。

多摩エリア内でも地域によって事情は異なる。人気も価格も高いのが立川市周辺。立川市内で立地が良いと再建築不可でも融資が付くこともあるそうで、西立川駅が最寄で1000万円の再建築不可物件が市場に出た途端に売れたという例も。賃料は14万円~。

多少安く買いたいのであれば八王子市、あきる野市、昭島市、福生市あたり。

「八王子市内だと山に近いエリアが比較的安めで700~800万円くらいから。昭島市は最近青梅線の中神駅周辺でよく物件が出ていますが、価格は八王子より多少安いくらいで、意外に高いものです」。

ちなみに八王子周辺は学生向けのワンルームが多く、ファミリー向けの物件が少ないのが特徴。一戸建てとなるとさらに少ないため、貸す側からすると比較的安定した市場と言えそう。全古協の空き家ツアーでも月に1軒のペースで決まっているそうだ。

ただ、戸建て物件の在庫が減っているという話もある。

というのは築古戸建てへの投資が注目されるようになり、500万円以下の物件がネットに登場すると問合せが殺到。現地を見ることなく指値を入れてくる例などもあり、市場に出しても忙しくなるだけで決まりにくいと敬遠する不動産会社が出てきているというのだ。

実際の物件が減っているかどうかは別として、不動産会社経由で情報を得るには難しいこともあるというわけである。

ファミリー向け物件なら水回りの使い勝手は肝

一軒目の外観。今回参加したベテラン投資家の人たちはまず建物の周りを一周、じっくりチェックしていた
一軒目の外観。今回参加したベテラン投資家の人たちはまず建物の周りを一周、じっくりチェックしていた

当日見た物件をご紹介しよう。

まずは八王子市内、駅からはバスで20分弱という物件である。小さな河川沿いにある84.80㎡の細長い敷地に建つ3DKで、現状では駐車場は無し。だが、現状あるフェンスを撤去すれば軽自動車が入る程度の駐車場を作ることはできそうと永田氏。

改修では1階の床をやり直す、キッチンの入れ替えなどの他にトイレとキッチンの空間を分けるなどの提案があった。

玄関を入った時の印象も大事。ある程度広さがあったほうが好印象なのだとか
玄関を入った時の印象も大事。ある程度広さがあったほうが好印象なのだとか

「ファミリーに貸すことを考えると入居者目線で水回りの使い勝手を考えることが大事です」と谷保氏。

脱衣所がないのは論外、リビングやキッチンとトイレの位置などは大事なポイントで、この物件ではキッチンとトイレが同じ空間に配されていた。また、洗濯機置き場も古い物件では室内にないことが多いが、これも室内に設置するのがベターだ。

2軒目は極小の一戸建て。いささか湿気も気になる。木造住宅では水が寿命を縮めることになるので要注意
2軒目は極小の一戸建て。いささか湿気も気になる。木造住宅では水が寿命を縮めることになるので要注意

2軒目はJR五日市線秋川駅から徒歩7分と駅に近い、土地面積86㎡、階下に6畳とダイニング、水回り、2階に4畳半の和室2室のコンパクトな一戸建て。

私道負担が7.58㎡ある。この物件は水道、電気が隣地を通っているという難があり、かつ、どうも周囲からは少し窪んだ土地に建っているらしい。

どうやら当該地は周囲から少し窪んでいるらしく、それで湿気が強いようだ。物件見学では自分が購入することになるかもしれない物件に目がいきがちだが周囲をよく見ることも大事
どうやら当該地は周囲から少し窪んでいるらしく、それで湿気が強いようだ。物件見学では自分が購入することになるかもしれない物件に目がいきがちだが周囲をよく見ることも大事

とはいえ小さな戸建てにはニーズがあると谷保氏。「ここは小さな子どもがいるシングルマザーを想定しています。ダイニングと和室を繋げて広いLDKにして2階の4畳半を寝室にすれば使いやすくなるのではないかと思います。

また、シングルマザーを想定するとキッチンは子どもの様子を見守れるカウンタータイプが良いかもしれませんね」。

湿気問題に対しては防湿シートを貼るなどして対策を打ち、木枠部分を白く塗ることで清潔さをアピールした改修を行うと良いと永田氏。また、当日は雨だったのだが、雨の日の下見では雨漏りが分かりやすく、また、匂いを感じやすくなるので物件チェックには悪いことではないそうだ。

チャレンジ物件もある多摩エリア

汚れ、錆はあるものの、さほど傷んでいない2階バルコニー。多少手を入れれば使えるのではないかと永田氏
汚れ、錆はあるものの、さほど傷んでいない2階バルコニー。多少手を入れれば使えるのではないかと永田氏

3軒目は価格は980万円と少し高めなものの、庭、2階バルコニーが広く、別荘や広い家を求めるニーズがあるのではという八王子市内のチャレンジ物件。

川に隣接した敷地周辺は緑も多く、気持ちの良い環境。敷地が275.84㎡あるので複数台の駐車も可能だし、バーベキュースペースなどを設けるという手も。

この物件は一般的な住宅以外への投資もあり得るのではと物件の面白さから谷保氏がセレクトしたもの。確かに参加者も興味を持って見学しており、余裕があるならこうした投資も面白そうである。

駐車場が複数台取れるほか、バーベキューなども楽しめそうな広い庭。難は置かれたままのプレハブ小屋
駐車場が複数台取れるほか、バーベキューなども楽しめそうな広い庭。難は置かれたままのプレハブ小屋

ただし、問題もあり、そのひとつが下水の引き込みがないという点。工事をするとなると50万円ほどプラスになる。また、庭先にプレハブの小屋が置かれており、こうしたものを撤去するにも費用がかかる。ちなみにブロックや砂利なども捨てるとなると産廃扱いになり、費用がかかるそうだ。

最後の物件は八王子市内山側に作られた団地内の物件。

高尾駅からバスで19分、急坂を上ったところにある団地で区画はそれぞれ50~60坪以上と大きく、環境は素晴らしい。見学した住宅が南西角地にあり、空き家とは思えないほど手入れが行き届いていた。手を入れるのはごく一部で済むだろう。価格は1080万円。

郊外団地のうちの一軒。駐車場の天井高さが売買では障壁になっているらしい。古家ありとして土地のみで売られている
郊外団地のうちの一軒。駐車場の天井の低さが売買では障壁になっているらしい。古家ありとして土地のみで売られている

駅からの距離に加え、やや難とされたのが駐車場の天井が180㎝弱と低く、入る車が限られること。近隣の中古戸建は1500万円前後と取引されているそうで、それよりは安いが、賃貸となった時にどうか。

想定賃料は11万円ほどだという。扱っているのは大手不動産会社で推察するに、住宅として売り出して物件の瑕疵担保責任を引き受けたくないということではないだろうか。

これまで参加した空き家ツアーで見た家の中ではもっとも程度が良く、どこまで手を入れるかはその人次第と永田氏
これまで参加した空き家ツアーで見た家の中ではもっとも程度が良く、どこまで手を入れるかはその人次第と永田氏

参加者のノウハウが学べるのもツアーの醍醐味

この4物件に加え、現在改修が終わったばかりの物件を加え、5物件を見学したのだが、参考になったのは当日参加した人たちはいずれもベテラン投資家で、それぞれのノウハウをお伺いできたこと。

たとえば情報は多いものの、地方には用途地域、道路付けなどについての情報がいい加減な不動産会社があること、同様に競争がないためか、都市部より工事価格が割高で、納期を守らない工務店があることなどは実際に経験したからこそ分かる話といえるだろう。

また、空き家ツアーの前段となる内覧会に参加した人と比べると、ベテランほど物件を客観視できているという点が強みとも感じた。

住宅は誰もが住んでいるだけについ、自分が住むという観点で見てしまいがちだが、借りて住むのは自分ではない。使い勝手については自分が住む目線で考えることが必要だが、それ以外は自分ならこうする、こう思うを持ち込まないほうが決断できる。

自分の中でその2つの見方が同時にできるかどうか、古家投資にはそうした観点も必要だと感じた。

●連載1回目の記事はこちらから。
話題の空き家再生投資。初心者でも利回り12-15%を実現できる驚愕ノウハウとは?
●連載2回目の記事はこちらから。
【話題の空き家再生投資2】関わる人が全員得する仕組み。長期に収益を上げ続ける秘密は?
●連載3回目の記事はこちらから。
【話題の空き家再生投資3】長屋、小規模戸建て中心の関西圏で日本有数の高収益が期待できる理由

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健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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