こんにちは。富治林希宇( ふじばやしねがう )です。前回は初めて買った物件についてと、そこまでにかかった苦労について書きました。
参照:不動産ファンド出身者なのに大失敗?初めて購入した物件とは?
今回は、借入額に対しキャッシュフローが少なく目標になかなか近づけないと思い、「 地方×築古×再生 」に舵をきった話と、そこでの苦難について書きたいと思います。
■ なぜ地方物件を買おうと思った?
最初になぜ地方物件を買おうと思ったかですが、その理由は大きく3つありました。
- ① 地方再生に携わりたい
- ② ファンド時代の経験から再生物件に多く取り組んでいたのでそのスキルを活かしたい
- ③ 借り入れに対してキャッシュフローが大きい
これらを考えたとき「 地方×築古×再生 」が最適だと考えたためです。
そして、今回のコラムではこのうちの「 ③ 」について、書きたいと思います。
私は2年でキャッシュフロー月100万円を目標に掲げて、それが達成できたら独立したいと考えていました。
前回紹介した埼玉の物件が、借入4,500万程度で月20万円近くのキャッシュフローがあったので、それを5棟ぐらい買えれば目標を達成することができる計算になります。ですが、5棟分となると2億円を超える投資額が必要です。
自分の属性を考えると、そこまでの金額の融資を受けるのは難しいかもしれない( 実際最初の数棟で行き詰りました )。そこで、より利回りが高くキャッシュフローの良い、「 地方×築古×再生 」物件を買うことにしたのです。
■ 滋賀県で物件を購入。全部屋空室×築古の再生物件!
そうして地方での物件を探し始め、2019年に滋賀県にアパートを購入しました! 全部屋空室で築45年、間取りは1DKの部屋が6戸、単身者向けのアパートでした。
- 所在地:滋賀県
- 金額 :600万円
- 利回り:30%
- 積算評価( 土地値 ):1,000万円
- 銀行 :某ノンバンク
- 融資額:500万
- 金利 :3.7%、返済期間:17年
【 滋賀に買ったアパートの外観 】
Before ※イメージ |
After |
この物件は、全部屋空室で築45年、駅から徒歩20分程度あるのに駐車場なしという、難易度が高い点がネックでしたが、購入価格より土地値が固く、かつ利回りが高いためチャレンジすることに決めました。
満室になれば、このアパートからのキャッシュフロー で月10万円を超えます。500万円の融資を受けられることになり、自己資金100万円+諸経費分でアパートを買えました。リフォームに200万円程かかりましたが、リフォーム後は数ヶ月で満室になりました。
この前に買ったアパートは、4,500万円で月CFは約20万円。一方、こちらは借金500万円で手残り10万円以上です。資産性や手のかかり具合は大きく違いますが、このような高利回りの物件があると、全体的な収支面では運営がとても楽になります。
■ 1,000万→600万、安く買えた理由
次も地方高利回りを狙いました。こちらは、投資用物件としてではなく、「 土地 」として市場に出回っていたものをネットサーフィンで偶然見つけました。
当初は1,000万円で売られていましたが、解体した場合にかかる費用や、再生する場合の具体的な費用を提示させていただくことで、最終的に40%ほど値引きしてもらい、600万円で購入できました。
安く購入できるケースとしては以下のようなものが想定されますが、私のような個人でも今回条件のような物件に遭遇できるチャンスがあることが「 地方×築古×再生 」の魅力の一つだと思います。
【 そもそも安く売られているケース 】
- 古家付土地として売られている
等、投資用物件として売られていない
※イメージ
【 比較的交渉可能なケース 】
- 相続( 無借金 )で所有して売主が物件運営にあまり興味がない
- 空室が多い
- 修繕の可能性が高い
等、売りづらい状態であるかつ、売主が高値売却を望んでいない。
■ ネットに公開されている物件にもお宝が眠っている
「 インターネットに公開されている物件ではなく、非公開物件の方が良い。本当に良い物件は公開される前に買い手が決まっている!( インターネット物件は売れ残り )」という話があります。
これは、検討範囲を狭めることになり、もったいないなと考えています。確かに非公開物件の方が良い物件の確率が高いと感じます。
物件が非公開になる理由はさまざまで、例えば、売り急いでいて、安くていいから買えそうな人だけにアプローチしたいとか、先祖代々所有していた土地を売るので、人に知られたくないとか。または信頼の置ける人だけに紹介するという場合もあります。
ただ、今回の物件のように、インターネット上に公開されている物件でも、十分割安な物件が掲載されていることもあります。
物件を一棟も所有していない場合は、非公開物件をいきなり紹介してもらうようになるのはハードルが高いと思うので、だからこそ私自身、インターネットで物件を探して良い物件に巡り会えるチャンスを探しました。
■ 地方×築古×再生 という難易度が高い物件でも大丈夫!
私は不動産ほど再現性が高い事業は稀有だと思います。
「 地方の全空物件なんて…そんなリスクが高い物件を買って大丈夫…?今回たまたま満室になっただけでは…?」とならないよう、できる限り下調べをして、再生して満室経営できる根拠を持って物件を購入しています。
具体的には、電話と訪問を駆使して、物件近くの不動産屋( 客づけ業者 )へヒアリングをします。物件のあるエリアの賃貸需要が強いのか、どんな属性の人からの需要があるのかを聞いたり、家賃相場について教えてもらったりします。
これを実施することによって、その地域の賃貸事情にかなり詳しくなることができます。
今回の物件の場合は、ヒアリングした結果、3~4万円の家賃であれば入居付けができそうでした。
<ヒアリングの内容>
- 月に物件の閲覧数はどのくらいか
- そのうち、月の問い合わせ数はどこくらいか
- そのうち、内見に至る数、成約に至る数はどのくらいか
- 結果、何か月で満室にできるか
等を細かく想定条件( 賃料、初期費用など )ごとに確認します。
■ 高利回りだけど運営は大変だった…
無事に満室にもなりましたが、なかなかうまくいかないのが賃貸経営だと感じました…。
この物件は満室になった後、家賃滞納が発生したり、火災保険を更新してくれない入居者さんがいたりと、トラブルが続きました。
特に家賃滞納は大変でした。滞納が発生したからといって、すぐに入居者に退去いただくことはできません。そこで、入居者へ家賃支払いの督促をするのと同時に、大家の費用負担で入居者の家賃保証会社との契約手続きをすることにしました。
家賃保証会社とは、入居者が何らかの事情により家賃が払えなくなったとき入居者に代わって大家さんに家賃を立て替え払いする会社なのですが、通常、入居者が保証料を支払う必要があります。
それを大家の方で負担することで加入手続きを促しました。同時に同じ方法で火災保険にも加入してもらうことにしました。
■ それでも再生物件は夢がある!
苦労も多い地方再生物件ですが、それでもやって良かったなと思っています。それは、高利回りで収支が良いことも理由のひとつですが、それだけではなく、非常に社会貢献性が高い事業であると感じているからです。
このアパートを購入する前は、全部屋空室、外観もボロボロで物件は荒れた状態でした。こういった誰も管理していない空室物件があると、その地域の住環境が悪くなってしまいます。
皆さんの家の近くにも、誰も住んでいなくて、今にも崩れそうになっていたり、雑草がボーボーになっていたりする物件があると思います。こういった物件を再生させて人が住める状態になれば、その地域の美観や治安の改善に大きく貢献できることになると思います。
元々、地域再生をやりたかった自分にとっては、社会性と事業性を兼ね備える「 地方×築古×再生 」は魅力に感じています。
リフォーム費用がどうか…、賃貸需要がどうか…、そして入居者トラブル…、そういった問題をひとつひとつ解決していく必要はありますが、こういったリスクがあるからこそ、やりがいもあると思っています。
次回も「 地方×築古×再生 」の取り組みで苦戦したことなどを紹介しようと思います。