ソフトウェア開発のエンジニアとして会社勤めをしているナミさん（30代）。健美家チャンネルでもおなじみの「ゆるニート大家」エリックさんのYouTubeを見て、ボロ戸建てのDIYに興味を持ったことが不動産投資の世界に足を踏み入れる第一歩となった。
2020年、コロナ禍の直前に結婚し、将来的にライフステージや環境が変わっても細く長く会社員としての仕事を続けるためのバックアップ手段として、不動産投資に興味を持ち始めた。
ステイホーム期間中、築古DIYの動画を見て大きく心を動かされた。最初は工具もマイカーも持っていない状態だったが、動画を見るだけでは飽き足らず、witterで募集を見つけたDIY会に参加して勉強を始めたという。
すでにある程度の経験がある先輩たちと一緒に実際に水回りの交換などを体験してみたことで、築古DIYに対するハードルが下がり自信がついた。
「初心者の方はまずはどこかのDIY会に参加してみるのがおすすめです」とナミさん。そこでDIY大家の会に誘われるなどネットワークも広がり、実際の物件購入への大きな一歩となったそうだ。
そして、物件探しをスタート。2020年8月には埼玉県内（都心から一時間半以上）の築40年以上の二階建てを200万円台で購入。週末を中心に築古DIYが始まった。
SNSでつながったDIY仲間たちの助けを借りながら倉庫やキッチンの解体作業からスタートさせ、キッチンはジモティで安く仕入れて新品に交換、古臭い砂壁を壁紙に交換、床も一新させて半年で見事に築古物件を再生させた。
バルコニーの撤去や排水管、電気系統の工事など、安全に関わる部分は業者やプロの大工さんの手を借りたものの、かかった費用は100万円未満。DIY初心者ながらレンガ調の壁紙をアクセントにしたり洗濯機置場を室内に新設したり、と女性らしい感性と心配りが光る。
ペット飼育可能な物件として募集したところすぐに入居者が決まり、実質利回り24％で賃貸中。初めての不動産投資としては上出来すぎるスタートと言えるだろう。
「初めてのお家賃が振り込まれた日は感動ました。月に2回お給料日があるって良いですね」とナミさん。
次はヤドカリ投資をということで、
・都内ターミナル駅まで30分圏内
・駅徒歩10分以内
・築30年以内
・3LDK以上
の条件に合う物件を埼玉県内に購入。現在はことに物件に住みながらDIYを続けている。将来的には売却してキャピタルゲインを得ることもできるし、ローン完済後に利回り15％程度で賃貸に出せるだろうと計算している。
こうなってくると、スケール拡大したくなるのが大家業の醍醐味。「もっと大きいものを買って規模を拡大したい」という気持ちが高まったナミさんは、融資の勉強会などにも積極的に参加。
出口での流動性を考えて予算6000万円以下で木造アパートの一棟買いを目指した。条件の合う物件に出会い、不動産仲介業者の紹介で複数の金融機関に打診。今後の投資規模の拡大も見越して、フルローン可能な某銀行から2.5％で融資を引いて、さいたま市内に一棟アパート（8戸）を購入した。
・築5年木造
・1部屋20㎡以上
・道路側に16m面した平坦な整形地
・駅徒歩13分
・利回りは10％未満
「超高利回り！みたいな派手さはありませんが、ミドルリスクミドルリターンで手堅く始めるには良い物件だったと思います」（ナミさん）
まずは年間キャッシュフロー500万円を目標に、3年以内にアパート2棟、戸建て5戸まで規模を拡大していきたいと話す。
その言葉通り、今年に入ってすでに茨城県に築古戸建て一戸を購入して、大好きなDIYを再開すると同時に、2棟目アパート（6戸）も契約済み。一棟目をフルローンにして温存した自己資金が早速効いた格好だ。100坪以上の整形地を土地値以下で買えているため、中長期的に安定した投資だと言えるだろう。
SNSで開拓した人脈と情報を駆使して大家業の規模を拡大しているナミさんだが、派手な高利回り案件に飛びつくこともなく、出口戦略を考えながら緻密な投資計画を練っている。
本業はソフトウェア開発なだけあって、新しい分野の知識欲が旺盛、何より、論理的に不動産投資の利益構造を考えられることがナミさんの強みだと感じる。
「仕事が好きなので会社員は続けたい。逆にいうと、好きな仕事を続けるための大家さん業なんです」と話すナミさん。第二種電気工事士の免許も取得して、今は二戸目の築古DIYが楽しみで仕方ない様子だ。
健美家編集部（協力：（おおさきりょうこ））
