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【不動産投資の法律知識】 初心者大家さんの注意点その1 管理会社との付き合い方 ~不動産管理業務の内容とは?!~

都市計画・再開発(地域情報)/東京 ニュース

2024/02/03 配信

今回から、初心者大家さんが誤解しがちなポイントについて、法律知識も交えてご紹介していきたいと思います。初回は、「管理会社との付き合い方」です。

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よくある不動産管理会社への不満として、「普段何もやってないのに、管理費用をもっていって、トラブルになったら何もしてくれない!!」なんて愚痴をよく聞きます。

確かに、世の中、動きの悪い業者がいるのも間違いないのですが、不動産管理会社の業務範囲を超えて、要望を出している方も多いので、不動産管理業務の内容についてお話ししたいと思います。

まず、不動産管理業務がどういうものかですが、国交省のひな形を参考に以下がメイン業務だとされています。

① 契約管理業務
(賃料等の徴収、運営·調整、契約更新、契約終了の業務)
② 清掃業務(目的物件の共用部分、屋外等の各種清掃業務)
③ 設備管理業務(建物、屋外施設、電気設備等の点検等の業務)
④ 特約業務
(参考:国交省 賃貸住宅標準管理委託契約書)

一つずつ簡単に見ていきましょう。①の契約管理業務とは、賃料等の徴収+契約期間がきたら更新手続をとる業務が中心です。

賃料等の徴収は、トラブルがなければ、口座に入金した金額から管理費用をさっぴいて大家さんの口座に賃料を入金する業務です。

これも管理業者が間に入っていないとなると、大家さん自身で「毎月、入金されたかな?」と気にしながら過ごさなければなりません。

ここで、賃料等の徴収は、賃料不払いがあった場合、不払いの通知や連絡はしてくれると思いますが、賃料の回収業務まで不動産管理業者が請け負っているとはいえないでしょう。

正式な意味で、賃料、債権回収となれば、弁護士業務の領域です。通知書を送る段階では、重複する部分もありますが、あくまで不払いの通知書を送るだけなのか、通知書を送っても払ってこない場合には、裁判所まで利用して回収に進むのかには大きな違いがあります。

契約期間がきた場合の更新手続も契約書通りの更新料の請求と、更新に関する連絡を入れることが中心であり、それ以上に更新料を払ってこない場合の回収手続きまで管理業者は対応してくれないでしょう。

弁護士への相談も多い場面ではありませんが、過去には、「更新時には、契約書の更新条項によらず、借地借家法の法定更新によるから更新料は支払いません!」などといった相談を受けたこともあります。

このあたりは、もともとの契約書の作り込みが重要ではあるのですが、実際にトラブルが生じてしまうと、「更新料支払いをさせるために弁護士費用までかけて裁判手続にまで進むのか?」というのが、非常に難しい問題に感じます。

②の清掃業務については、わりとイメージがつきやすいのではないでしょうか?アパートやマンションなどでは、共用部の清掃や駐車場周辺の花壇などの清掃、ゴミ置き場の清掃などがメインです。①の集金業務、③の設備業務は業者さんにお願いしても、掃除だけは自分の家でやっている大家さんもよく見かけるような気がします。

ポイントは、入居者さんと直接顔を合わせる業務か否かというところだと思います。顔を合わせない清掃業務は大家さんでもやってしまえるだろう、という考えも多いようです。

③設備管理業務(建物、屋外施設、電気設備等の点検等の業務)というのは、設備故障などのトラブルになった際に、故障が生じたとの連絡を受け付けてもらう業務です。

設備故障は、賃借人の方とトラブルになりやすいところです。たとえば、給湯器が壊れるとお風呂に入れなくなりますから、一般的な暮らしができなくなってしまいます。

大家さんとしては、「通常の生活が営める部屋」として貸し出しているので、銭湯の費用などを補償する必要も生じかねません。また、設備トラブルで一番大きなトラブルが雨漏れでしょう。

大家さんの側でも火災保険などを利用して補償することが多いのですが、家財道具などは、中古になってしまっているので、入居者の認識通りに保険金が支払われずに、トラブルに発展することが多いです。

さて、この設備管理業務ですが、管理業者がどこまで対応してくれるでしょうか?よくある大家さんの不平不満は、「設備故障が起きても何もしてくれなかった。」という不満ですが、基本的には、設備故障に関する「すべて」を解決するところまで業務を負っていないと言えるでしょう。

管理業者としては、設備故障の連絡と、連携業者などによる修繕の見積もりをとるところまではやってくれることもあるかと思いますが、それ以上の賃借人からのクレームなどが来た場合には、管理業者の業務範囲外です。

賃借人のクレームや過大な要求に対して、大家さんの側にたって、合理的な説明を行い、賃借人とのトラブルを完結するところまでの業務は負っていません。

そこまで立ち入ってしまうと、弁護士の業務内容である紛争に関する交渉代理業務になってしまい、むしろ非弁活動という違法な行為になりかねません。

まとめと教訓

今回は、賃貸管理業務について、業務内容と法的な観点からどこまで対応してくれるのか、ということをお話ししてみました。

トラブルになった際に、大家さんとしても腹立たしく感じてしまうのは、もっともなのですが、今回の教訓としては、「そもそも賃貸管理業者は、賃借人とのトラブルを全般的に調整、解決する業務までは負っていない」ということです。

では、何もしていないかというとそうではなくて、「大家さんの代わりに窓口になってくれており、一次的に大家さんに連絡が入らないように『管理』してくれているのが、管理業者」なのだと言えます。

純粋に動きが悪くて、愚痴を言いたくなる業者もあるとは思いますが、過大な要求を出しすぎている大家さんもいるなと感じたので、今回のお話が参考になれば幸いです。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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