戦前生まれの年老いた母は、戦時中、疎開もしているので、モノを捨てるのを極端に嫌がる。
決戦に備えて、物資を温存しているのだ。
決戦は十回に一回しか来なかった。
家の荷物は溜まるばかり。
特に、すぐにモノを捨てる父が他界してから加速した。
厳格な姉と、いいかげんな妹が結託して、強硬スケジュールを組んだ。
発注先に延期の電話を入れるも、頑固な姉は予定を変更しない。
残置物撤収当日。
中年隊が七名ほどやってきて、朝のミーティングを庭で実施している。
強制執行になった人の気持ちがよくわかる。
部隊は事務的に、容赦なく、家の中の荷物を運び出す。
姉と妹は張り切って、ほとんどのモノを捨てるように指示。
母は、オロオロするばかり。
三日間に渡る長期戦だ。
<今回の教訓>
・撤収時、常に立ち会って、細かい指示を出すこと。
そうしなければ、重要なものも捨てられる。
ワタクシは、マドンナ先生と撮った写真を捨てられた。
・撤収前に、貴重品を仕分けしておくこと。
母のヘソクリが、いたるところから出てきた。
・強制的にものを減らされると負けた感じがする。喪失感。
四トントラック一台分の荷物を搬出し、部屋はキレイになっ...
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