華子
自己紹介をお願いします。
チャレンジ大家くらちゃんさん(以下くらちゃん)
神戸出身の58歳、チャレンジ大家くらちゃんと申します。外資系の消費財メーカーで営業職やトレードマーケティング、財務マネジメントといった仕事を30年やっていまして、2019年の1月にサラリーマンを卒業しました。
現在のCFは年間6,000万円。不動産賃貸業で12棟93部屋、太陽光を1基所有しています。他に貸別荘を10棟、レンタルスペースを21店舗経営していて、コンサルティング業務なども行なっています。
東京には20年くらいいましたが、今は神戸在住です。神戸に帰ってきた一番の理由は、阪神タイガースの応援に行きたいから(笑)。以前はシーズンチケットを持っていたんですけど、毎日行くのはしんどいから、今は週一くらいで応援に行っています。
華子
アレ(優勝)、おめでとうございます(笑)!今年は強かったですね。
くらちゃん
ありがとうございます(笑)。不動産投資に関しては2009年の7月からやっていまして、投資総額は13億円。購入を37回、売却は17回やってきました。
■きっかけは節税。せっかく物件を貸しても税金を払ったらマイナスに!
華子
不動産投資のきっかけを教えてください。
くらちゃん
不動産投資を始めたきっかけは、節税対策です。外資系企業に勤めていたので、そこそこ給料をもらっていましたから。
2010年4月に、神戸に5,450万円で自宅用タワーマンションを買いました。ところが8月に東京に転勤になったので、その自宅を26万円で貸すことにしたんです。東京では大崎でタワーマンションを33万円で借りました。
会社からは社宅補助として9万円支給されましたから、この時点では2万円のプラスでした。ところが僕の所得だと税金が43%もかかってくるので、12万円も支払うことになります。そうするとマイナス10万円になってしまうんです。
賃貸時:26万(賃貸費)+9万(社宅補助)-33万=+2万
税引き:26万(賃貸費)+9万(社宅補助)-33万-12万(税金)=▲10万
華子
所得が高いと税金がそんなにかかるんですね!
くらちゃん
はい。所得が1,000万円を超える場合、1,800万円未満の人は税率43%、4,000万円未満の人は50%、4,000万円以上の人は55%にもなってしまいます。
これはやっていられない、節税しなくてはいけないと強く思いました。そこで本を読むと、5棟10室持っていれば青色申告の65万円の控除ができるとか、いろいろ載っているじゃないですか。だからひとまずこれを目標にしようと。
そこから本格的に不動産を探し始めて、2012年に福岡でワンルーム8戸の木造築23年のアパートを990万円で買いました。表面利回り16%で一見よさそうでしたが、これが大失敗で。かなりの坂道がある20平米の狭い部屋だったから、入居者が入ってもすぐ出ていくんです。
入れるのにやっぱり広告料を使わなきゃいけないんですけど、家賃が1.9万円と安くて、2カ月分でも3.8万円にしかならないから、業者も積極的にやってくれないんですよ。
だから5カ月分くらいはつけなきゃいけなくて。こんなことをしていたら、どんどん赤字になると思って、買って10カ月で売りました。短期売買なので、40%も税金引かれて、結局赤字でした。
華子
売却の決断が早かったですね。
くらちゃん
根がせっかちなので(笑)。で、その時点で所有戸数がタワーマンション含めて9戸だったので、目標の10戸にまだ足らないじゃないですか。なので、不動産屋に何かないかと訪ねたら、天神に区分マンションがあるというので、これを2戸550万円で現金で買いました。
築25年、21平米のワンルームで、家賃3.5万円、利回り15%です。ところがこの物件、途中で管理会社が行方不明になったんです(笑)。おかげで支払いも発生して28万円も取られたというアクシデントがありましたが、2018年に850万で売却しました。
利回りの低い物件は、リフォーム費用や広告費の割合が増えて、表面利回りが高くても、ネット利回りは低くなりがちなんですよ。
また、例えば木造築22年の物件を購入して4年の減価償却がとれるとしても、短期で売却すると40%以上のキャピタルゲイン税が発生するから、節税効率を考えるとヘタをするとマイナスになることもあるから、よく考えなくてはいけません。
■「利回り星人」になって新築に挑戦するも「ババ」をつかむ
華子
10戸を達成した後、どのような物件を買われたんですか?
くらちゃん
とにかく利回りばかり求める「利回り星人」になりました。とりあえず利回り高いやつということで2012年に買ったのが、横浜で新築木造ワンルーム6部屋の利回り10%、4,600万円のアパート。賃料6.5万円、利回り10%ということで飛びつきました。
でも一部屋14平米で、とにかく狭い。ロフトがあるんですが部屋の半分くらいの平米数で、高さもあるから数字よりも広く感じるんですよ。不動産会社は満室10%、満室保証で、入らない期間もずっと家賃を払うというんです。
家具も付けるからすぐに埋まると言われていました。そこで地銀さんで金利1.2%で融資を組んで買ったら、約2カ月で満室になりました。
その時には個人で頑張って節税しても意味がないと思えてきたんで、法人を作りました。これが初めて作った法人です。これは結構儲かるなと思って、そんなに悪くなかったからもう1軒増やそうと思って、2014年に同じ不動産会社で川崎に新築をもう1軒買いました。
今度はもっと狭くて、一部屋12平米のワンルーム8部屋。しかもお風呂ではなくシャワー。賃料6.5万円の利回り10%です。融資は2軒目ということで金利1.05%で引けました。
華子
決めるのが本当に早いですね。でもその広さで大丈夫でしたか?
くらちゃん
そう、ここからが問題なんです。9カ月で満室になりましたが、そのうち1室、また1室と半年ごとに退去になっていくんです。やっぱり狭いから出て行くんですよね。
そうしているうちに、お客さんがつかなくなくなるんですよ。おかしいなと思ったら、この物件の横にその不動産会社が同じような見た目の物件を作ったからなんです。しかも彼ら満室保証しなくちゃいけないから広告料を3カ月つけているんです。
そうすると僕も3カ月つけなくてはいけなくなりますよね。築浅でほとんど同じような物件ですから。これはだめだ!と思いながら、あるセミナーに行くと「それはババ抜きのババですよ」と教えてもらったんです。
早く売らなきゃ!ということで、とりあえず3カ月広告料をつけて満室にして、当時8%が当たり前のところを、2棟とも8.5%で売りに出しました。10%を8.5%にしても、儲かりますからね。
華子
儲かりはしたけど、怖かったでしょうね。その後はどうされたんですか?
■東京の下町で新築シェアハウスに挑戦
くらちゃん
とにかく利回りを追求していたので、シェアハウスも儲かるかと思ってスタートしました。たまたま僕の部下のお父さんが、荒川区の町屋で不動産をやっていて、すごくうまくいっていると聞いて、町屋で築古を探しに行きました。
そうしたら1,000万円で借地権の古家を売っていたんです。これをリフォームして6部屋で貸し出そうかと思ったんですが、ひょっとして新築したらもっと儲かるのかな、と思って。
調べてみたら、もっと建坪を取れるようだったので、いっそ新築してしまおうと思って、銀行に行きました。借地権だと貸せないけれど、担保をもらえたら貸せるということだったので、保険を担保にして5,600万円借りて、トータル6,800万円の土地から新築をスタートさせました。
いろいろトラブルもありましたが、紆余曲折を経て2014年に無事立ち上がりました。ちなみにこの物件は今も持っています。9年くらい経っていてネット利回りで9%くらいあったから、返済はあと1千数百万円です。
新築シェアハウスの室内。明るくてきれいです
華子
シェアハウスの管理はご自身で?
くらちゃん
いえ、付き合いのある会社でやってもらっています。管理費が10%くらいで、清掃費は別途で払っています。表面利回りは13~14%くらい。やっぱりシェアハウスはいろいろお金かかりますからね。ネットだと8.8~9%の間かな。
華子
ちゃんと利回りが出せているのがさすがですね。
■ハワイにコンドミニアムを購入!コロナ直前に売り抜ける
くらちゃん
その頃はまた、やっぱり節税はやらなきゃいけないという考えになっていました。勤めていた外資系の会社を投資会社が持っていて、会社を売却したことがあるんですが、それで売却ボーナスが1,000万円くらい入ったんです。
そうすると、また税金にたくさんもっていかれてしまうということがあって。さすがにこれはちょっとやばいなと思いました。
それで節税しようと2014年にハワイに物件を買いに行きました。ワイキキのアラモアナホテル直結のコンドミニアムで、ワンルームの物件2戸です。現金で3,600万円で買いました。
稼働率85%、年間100万円の利益でネット利回り3.3%。節税もあるし、キャピタルゲインがあるからいけると思って。これを2020年1月、コロナ前に売ったんです。
華子
図ったようなすごいタイミングですね。コロナが本格化したのはその年の3月でしたよね。
くらちゃん
なぜ売却のタイミングがそこかというと、5年経った1月に長期譲渡税になるのを待っていたからなんです。もし3月になって持っていたら、一切インカムが入ってなかったところです。ラッキーでした。
でも、もし持ち続けていたら、もっと高く売れていたらしくて。今だったら多分7,000万円くらいで売っていると聞きました(笑)。値上がりしているんですよ。円安だし、向こうの物価はものすごく上がっているから。日本はあまり変わっていないですけどね。
売却して儲けが大体800万ぐらいでした。3,600万円かけて6年も投資して、800万円しか儲からないっていうことは、他の投資をした方が絶対によかったんですよ。
現金だったら節税では絶対に儲からないんです。借りれば別にいいんですけどね。みんな判を押したように節税って言っていますが、そんな簡単なものじゃないんです。
節税をきっかけに不動産投資をはじめ、様々な事業を興されているくらちゃん。会社を辞められてからも、機を見るに敏なスピード感で成功をおさめていきます。次回は退社されてから興された事業について伺ってまいります。お楽しみに!(担当:T)