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NYトップエージェントが見る「だから失敗する、日本人投資家」。マイナス面チェック強化が、成功の秘訣

都市計画・再開発/海外 ニュース

2019/07/15 配信

topアメリカでも超高額の不動産が集まるニューヨークを中心に、全米有数の規模で仲介を行うダグラス・エリマン社でトップクラスの取引を成功させている日本人がいる。

1986年からニューヨークに居住する眞田陽子氏だ。アメリカ全土に9000人以上いる同社のエージェントのうちでもトップ1%、今年上半期の取引高約78億円を個人で達成というからその優秀さ、お分かりいただけるだろう。

その彼女の目から、外国人、つまり日本人の個人投資家はどう見えているのだろうか。話を伺った。

■不動産投資家は3タイプ

まずは不動産投資家の定義について。眞田氏によるとニューヨークでは大きく分けて3種類のタイプがいるという。ひとつはプロの投資家で機関投資家あるいはファミリービジネスとして不動産投資会社を経営している人たち。

二つ目は資産を持った個人投資家で、投資ポートフォリオの一部として不動産に投資しているという人達。NNNという経営には関与せずに純収入だけを得る商業ビルや、不動産ファンドに投資するタイプが多く、ファイナンスやハイテク出身の人が中心という。

そのため、純利回り率に厳しく、数字だけで判断、ビジネスライクに投資する人たちでもある。

最後が日本人にも多いアマチュア投資家。

自分で不動産経営をしたい、あるいは自分の好みの場所や建物を所有したいというタイプで、不動産は株式などの投資に比べて安全、将来的に必ず価値が上がると信じている人達。主にコンドミニアムを買う外国人で、金融、建築や不動産経営に疎い人が多い。

投資結果に失敗が続出するのは、この最後のタイプの購入層だ。極端な例では、物件購入後の経費を軽く見て購入したものの、開けてみたら利回りがゼロに近いことにあとで気がつくというケースもある。収益を上げられないだけでなく、最悪の場合、毎月払う管理費や固定資産税などを滞納し、起訴されるケースもあるという。

どうしてそんなことになってしまうのか。いくつか、ポイントがある。まずは、金融投資よりも不動産が安心と安易に考えている点。

■金融投資より不動産投資が安心という思い込み

「アメリカでは、1982年の大幅な金利引き下げ以来、大衆にもマイホーム購入が容易になり、株式市場が高騰を続けたこともあって、不動産市場を潤しました。短期的な変動が激しくリスクの大きい金融商品に比べ、不動産は景気の振幅に比較的緩やかに反応する、より安定した資産価値だと捉えられています。また、日々の株価に振り回される株式投資と異なり、売買のタイミングに日常的に悩まされずに済みます。

不動産に投資している地元ニューヨーカー達も、ご自身では金融商品のことがよくわからないので、低利回りでもリスクの少ない投資、自分の目で見える資産として不動産を選ぶ人が多いのです。

ただそれは、不動産価格は今後も永遠に右肩上がりだ、という危ない神話に基づいていることを否めません。また、不動産売却には時間がかかり、急に現金が必要になった時に株のように瞬時に取引するわけにはいきません。

私の場合、投資で不動産を購入したいというクライアントには、資産ポートフォリオ全体の中で、不動産投資から何を望んでらっしゃるか、どれほどの利回りを目標としているのかを伺った上で、物件を探しにかかります」 。

投資全体の中にどう不動産投資を位置付けるか、そのあたりを考えずに不動産は安全と思い込み、そこだけに注視してしまうのはが危険というわけだ。

■物件調査が甘すぎる外国人投資家

第2のポイントとして、一般的に物件の調査が甘い点である。眞田氏の物件チェックリストを見せていただくと、とことん徹底している。

「物件を調べる際、立地はともかく、ゾーニング、LPC (ニューヨーク市歴史建造物保存委員会)による規則、市の建築法、消防法などの面をクリアしているか、また建物の財政状態と規則、構造と設備、デべロッパーや 改築の質、隣接地の開発計画なども調べます。

そこで問題がなければ将来数年間に渡っての予測NOI(純利益)を算出し、購入価格がクライアントの望む利回りに叶っているかを判断することになります。ここでは売買時の手数料、税金、弁護士料、減価償却費、キャピタルゲイン税、空室率、賃貸の仲介手数料、収入税、将来の改装費なども算入し、保守的に収益を算出します(*)」。

この際、各物件の持つマイナス面をリストアップし、それぞれの問題が改善可能かどうかを吟味し、クライアントに率直に提示することが、エージェントの真のサービスだ、と眞田氏は強調する。

「マイナス要因として分かりやすいのは、例えば高額な管理費です。その上、管理費は毎年徐々に値上げされるのですが、それによる将来の出費をきちんと予測、試算されない方が多いのです。私の場合、これを購入価格の交渉ポイントとして逆利用します」。

もちろん、マイナス面のない物件というのはあり得ない。だが、マイナスとプラスを比較検討した上で、そのマイナス点が致命的でないか、改善可能かという視点があれば大きなミスはせずに済むはずである。

「またあるケースでは、家賃収入がとても低く、そのために格安な物件がありました。これでは、利回りが低すぎると言われたのですが、交渉していくと、当初は長期に渡っていた既存の賃貸借契約を早期に終了させることが可能だと分かったため、購入につなげました。購入後、簡単に改装して家賃を倍増できたため、最終的には良い投資となりました。このように、マイナス面を長い目でみて改善できそうであれば、逆に大きな利益に転じることがあります。そういう、投資のアップサイドを常に見逃さず、クリエイティブなマインドで交渉するのも、エージェントの仕事です」。

不動産売買は、購入時に種々の税金と手数料などで売値の2%ほどがかかり、購入後は管理会社に委託して経営する必要があるのだが、それをあえて無視してしまう人も多いようだ。

プロの投資家は、利回りがいくらで予算内で買えるから買おうではなく、自分の資産全体の中で購入する不動産にはどのくらい稼いでもらいたいのか、それが何年計画なのかを細かく試算した上で購入を考えるというのである。この厳しさは見習うべきだろう。

■不動産への過度の執着もマイナス要因

最後のポイントとして、アマチュア投資家は、不動産に過度の執着心を持ちがちだという点がある。

「ニューヨークにご自身の誇れる城を持つ、ということは、サクセスの象徴だといっても過言ではないでしょう。資産家の方々は、各地に所有した豪華な家屋やマンションをご自分の家族だけで時々使ってあとは空けておける余裕があるのですが、アマチュア投資家はそうはいきません。

所有していること自体に満足したり、自分の土地家屋に執着してしまう人達は、不動産が毎月損を出しているのに持ち続けてしまう。思い入れがあり過ぎて、ビジネスとしては割り切れない。それでは投資というより、高くつく趣味と言えるかもしれませんね」。

■上手にエージェントを使うことがサクセスへの道

以上のような不動産投資の失敗を避けるためには、どうすれば良いだろうか。大事なのは高度な知識と、依頼主にとことん忠誠心のあるエージェントを雇うことと眞田氏は語る。

これは、日本でいうところの、不動産コンサルタントに当たるだろう。不動産会社の社員ではなく、不動産会社と契約している、売主、買主それぞれの代理人となる人というような位置付けだ。

「日本人の方々はエージェントを利用するという仕組みに慣れていないようですが、この法的で正式なシステムを利用しない手はありません。エージェントを通さず、直接ご自分で不動産を購入することで、法外な金額を払う羽目になってしまう外国人はとても多いのです」。

ニューヨーク州の不動産取引で日本と大きく違うのは不動産取引には買主、売主双方に不動産仲介者=エージェントと不動産専門弁護士が付き、合計4名が関わる点。

双方のエージェントは、それぞれの依頼主を明確にした書類にサインし、各クライアントの利益を守るために物件調査、価格交渉を行う。購入価格と基本条件が記された購入合意書がサインされた後は、買い手の弁護士がさらに物件の調査をし、それぞれの弁護士を通じて売却契約書が作られるので、他州に比べ、ニューヨーク州の不動産売買は法的にかなり安全と言える。(*)

「アマチュアの買い手が直接売り手のエージェントと交渉しようとしても、相手は売り手に雇われていて最高値をつけることが仕事ですから、買い手の利害を無視するのは当然なのです。ニューヨーク州では、自分の代理人を立てて値段等の交渉はするのが当たり前になっているのですが、このあたりの仕組みを知らない外国人がほとんどですね」。

日本人が海外で投資を考える時には、この点をまず明確にしてから物件探しをした方が良さそうだ。日本人投資家の場合、日本語が通じるほうが良いと簡単に日系の不動産会社を頼りにするケースが多い。その場合も、日本人同士だからと一概に信用してしまうよりも、きちんと代理人関係について質問し、信頼の置けるエージェントかどうかを確認してから仕事を進めてもらったほうがいいという。

「良いエージェントかどうかを見分けるには、まずエージェントが法律を厳守し、社員ではなく、エージェントであると、雇用関係についても初めからクライアントに説明するかどうかを確認すること。次に不動産売買に関する幅広い知識と経験があるかどうかをネットなどで調べることです。

エージェントは、売買したい物件のタイプや地域を専門に活躍している人のほうがいいでしょう。交渉段階に入ったら、エージェントが確実にクライアントの利益を最優先するかを判断し、本人に要請することが大切です。不動産会社に知り合いがいれば、以上のような条件で適切なエージェントを紹介してもらうことも一案ですね」。

これについては、日本でも事情はあまり変わらない。自分と一緒に取引に当たる人が信用できる人なのかどうか、ビジネスの基本はそこにある。信用しないのも問題だが、信用に足る人であるかどうかを考えることも必要だ。

■売り急ぐ所有者増、今年は買い手有利?

さて、最後に今のニューヨークの不動産事情を。

現在、眞田氏が扱っている物件例。Madison Square Park Tower, 45 East 22nd Street, 34B - Flatiron District, New York お値段は $5,495,000
現在、眞田氏が扱っている物件例。Madison Square Park Tower, 45 East 22nd Street, 34B ? Flatiron District, New York お値段は $5,495,000

眞田氏によると、マンハッタンの不動産価格は、2017年に最高値をつけたのち、徐々に下降しつつあるという。

「低金利、新築コンドミニアムの建設ラッシュと外人買いが続いた2009年以降、ニューヨークの不動産価格は高騰を極め、通常の収入の人には手が届かないほどの高値になってしまいました。2009年から2017年第2四半期の間の8年間で、マンハッタンの不動産の中央値が2倍に跳ね上がったのです。

ですが、その後のこの2年間、市場はリセットの時期に入っています。国の税制とニューヨークの地方税制の両方で、不動産所有と売買に関する好待遇が減少し、金利が上がり始め、物件の供給が前年比で12%も増加しました。

商品がだぶついている上、売り急ぎされる売主が増えたのです。つまり、今年は買い手市場です。価格が下がっているから投資を中止するのではなくて、逆にじっくりといい利回りの物件を吟味して交渉に時間をかける価値がある時期だと思います。また、金利がさらに上がれば、住居を購入する代わりに賃貸する人が増えるので、賃貸の需要と家賃収入は上がるでしょう。

融資をうけずに現金で購入される方には特に、有利な状態がしばらく続くのではないかと予測しています」。

マンハッタンに、世界中から集中する様々なタイプの富。それはニューヨークが巨額の資産を預けておくのに、政治的にも経済的にも最も安全な都市だと考えられているからだという。それが、確実に投資として成功すれば、さらに喜ばしいこと。

海外への不動産投資は安易に手を出すのではなく、その利点と落とし穴を十分熟知したうえで始めるのがよさそうだ。

* いずれもニューヨーク州での例。不動産取引に関する法律は州によって異なる。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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