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6億円超借り入れし、FIRE。レントロール手に3か月に1度の訪問で融資を獲得 megさん

不動産投資全般/投資家インタビュー ニュース

2023/10/26 配信

東北地方に暮らすmegさんは2014年から1棟アパートへの投資を開始。金融機関2行から個人で融資を引き、年間家賃収入5500万円強、投資総額6億2000万円(諸経費含めず)で 2019年にFIREした。

megさんが購入基準とした物件は家賃4万円以上。利回りだけで見れば10%を切るものが多いが、「経営が苦しくなったときに売却しやすい」「大家だけが儲かる物件でなく仲介店スタッフが案内しやすい」「5-10年後の街の成熟度をイメージ」するなど独自の視点で物件を選んできた。

ビル仲介の営業マンだったmegさんの「利回り」だけではない物件選びと、金融機関との信頼関係をどう築き規模拡大につなげていったのかを紹介したい。

「20~30代をメインターゲットに借りたくなる部屋づくりをしたい」とmegさん。新築アパートには3連の引き戸を設置し、用途に合わせLDKとして広々使用もダイニングキッチンとリビングを仕切ることも可能に
「20~30代をメインターゲットに借りたくなる部屋づくりをしたい」とmegさん。新築アパートには3連の引き戸を設置し、用途に合わせLDKとして広々使用もダイニングキッチンとリビングを仕切ることも可能に

大規模施設の移転・出店計画ある物件購入、2500万円の売却益に

独身ということもありサラリーマン時代に海外への弾丸旅行を繰り返していたmegさん。

なかでも温暖なタイに魅了され、60歳になったら移住しようと考えていたという。

転機となったのは42歳で直面した友人の病死だった。人生には限りがあることに気づいたmegさんは、50歳でタイに移住しようと決意した。

megさんの本業はビル仲介を行う営業マンだった。2011年から区分マンション2戸を現金購入し月間15万円のキャッシュフロー(以下、CF)を出していたが、50歳での移住には借金をして1棟もののアパートを買い進める必要があると考えた。

「50歳までに2~3億借りて年間500~600万円CFを出し、タイへ移住することを目標に1棟アパートを2~3棟まで買おうと考えました」(megさん)

2014年に買った1棟目は約8000万円の新築建売アパートだった。ネットで問い合わせたロフト付き1K8戸の建売新築の木造アパートを購入。X金融機関 から木造の耐用年数22年を超える30年でフルローンを引くことができた。金利は2%前半台だった。

8000万円もの借金への不安はあったが「残債が清算できればいい」「ローンの半分は所有する区分マンション2戸のCFから返済できる計算だったので、生活は何とかなると思い切りました」とmegさんは振り返る。

2014年当時としても7%後半という高くはない利回りだったが、立地の良さとロフトが付いて周辺相場並みというお得感がプラスに働き年間180万円のCFを生み出した。

また、購入の決め手のひとつになった教育機関が移転してくるという話も、当時は計画段階だったが後に現実となった。megさんは8年近く保有し2500万円の売却益を出すことができた。

2016年冬に購入した2棟目も、商業施設の出店が噂されるエリアだった。アパート購入により、地元の大家の会への参加が許されたmegさん(最初は業者扱いをされ入会できなかった)は、先輩の大家らが見送った築27年の重量鉄骨造アパートを5000万円台前半で購入。融資は新規で開拓したY金融機関 から自己資金500万円を入れて15年のローンを引いた。

10戸中2戸が三点ユニットとあって先輩大家らは難色を示したそうだが、前面に片側一車線道路という接道の良さと、商業施設ができればスタッフらの賃貸需要が見込めると考えた。

実際に商業施設はオープンしたが、megさんのアパートに入居したのは商業施設で働くスタッフではなく、単身女性や大学生が中心だった。とりわけ入居付けが不安だった三点ユニットの部屋は、今となっては4万円の低価格が強みとなり入居が途切れない人気の部屋に。また、接道の良さは防犯に敏感な女性の入居者を呼び込む結果となった。

金融機関から決算前の依頼「金利1.3%で貸すから物件探して」

利回りにとらわれない物件選びをする一方でmegさんは月1ペースで2つの金融機関を訪問し、担当者らから信頼関係を築いた。結果としてFIREまでに8棟(同じ敷地内の複数棟を含む)のアパートを購入することができた。

「お金を貸してもらわないと始まらない商売ですから、アポイントを取って月1、最低でも3か月に1回はレントロール表を持って報告に行っていました。決算報告は何とでもできますが、どの部屋に入居者が入っていくらの家賃で貸せているということが分かれば貸す側の金融機関さんも安心しますからね」

とはいえ金融機関への訪問は平日の日中に限定される。本業のビル仲介の仕事を終わらせ、アポイントを取って訪問していた。担当者が代われば挨拶に出向いたほか、相手に気を遣わせない程度の海外旅行のお土産を持参。支店長がいれば本業のビル仲介の市況情報などを糸口にmegさんの物件の入居状況もアピールした。

こうして2つの金融機関の担当者と人間関係を築いていくと

「前回他行で借りた物件と同程度のものを持ち込んでほしい」「1.3%の金利で貸すから物件を探してきて」

などと細かなオーダーが入るようになった。特に9月、3月の決算前などに多かった。

2016年9月に3棟目に購入したRC3階建てのファミリー物件はまさに、「1.3%での借入」を前提にポータルサイトで見つけX金融機関に持ち込んだものだった。

物件価格は8000万円台後半。土地は150坪と広く駐車場は全戸分あり。利回り8%、年間200万円程度とCFが出にくい物件だったが、金融機関からは耐用年数47年から築年数を引いた 26年でフルローンを引くことができた。

この物件購入を経て気づいたのは「(金融機関側からみて)お金を貸しても大丈夫な人になる」という信頼関係に加え、「お金を貸せる物件を持ち込む」という原則だった。

「この物件は土地にして150坪ほど。3方向に道路がありました。接道も良いですし、いざとなれば3分割できると考えて購入しましたが、X金融機関の支店長は“4分割できる”と言うので驚きました。

このRCを経て、結局のところ金融機関は人に貸すのではなく、土地が広くてアパートを解体しても再販しやすい土地に貸していることがよく分かりました。また後日談として、“積算が出ても田舎のRCには貸せない”といったX金融機関の方針についても聞いていました 」

RCの購入で投資金額は3億円程度になりFIREを考えたmegさんだが、先輩の大家2人から「投資金額5億円、利回り10%で家賃収入5000万円程度はないとFIREしたら次が借りられない」とアドバイスを受け物件を買い増すことに。

2017年10月、4棟目となる築9年の木造アパート16戸を1億超で購入。間取りこそ1Kだが広い土地の物件だ。1棟目、3棟目と同じX金融機関での借入で金利は1%前半、木造の耐用年数22年に対し21年のフルローンを引くことができた。

「かぼちゃ」後に苦戦も、「新築木造30年」のフルローン獲得

日頃の営業活動が実り、X金融機関から1年にアパート2棟の融資を引くほど順調だったmegさんだが、2018年に入ると「かぼちゃの馬車」騒動のあおりを受ける。

「築30年の大和ハウスのバルク案件をX金融機関に持っていっても融資がつきませんでした。土地は広いがアパートが古くて価値が無かったからなのか理由ははっきりしませんが、相当渋くなりました。個人で3億程度借りていましたので、“もう終わりかな”と諦めかけた頃でした」

事態が好転するきっかけとなったのもまた、対面で築いた人間関係だった。

megさんは管理会社や仲介店も月1ペースで訪問していた。それは大家にとっては唯一の物件でも、スタッフからしたら1000ある物件の一つに過ぎないという思いからだった。

本業でビルオーナーから学んだことをmegさん自身もオーナーの立場で実践していった。

契約書などの書類を店舗に持参しスタッフの負担を軽減したほか、入居をまとめてもらった仲介店にはお礼として高級ブランド・GODIVAのチョコを持参。女性スタッフらから「GODIVAのオジサン」として認識してもらうほどになった。

また、コロナ前までは満室・空室に限らず年2~3回、迷惑にならない範囲で各管理会社の担当者と食事に行き、関係を深めていた。

こうした対面での付き合いがmegさんの新境地を開いた。

3棟目のRCを仲介した不動産会社は物件の管理委託をしていたこともあり月1ペースで訪ねていた。不動産会社の社長と話しをする中で同社への管理委託を条件に「これ、どう」と新築の提案を受けたという。

「当時でも土地代込み7%という脅威の低利回りでした。“融資が付くのでしたら”とお願いはしましたがCFは出ても低いですし、同じX金融機関から借入ができるとは思っていませんでした」

結局、不動産会社社長がX金融機関の同じ支店に働きかけたところ、今度は社長とX金融機関との信頼関係からOKとなり、打診から2日で1億5000万円弱、フルローンの回答を得ることに。期間はこれまでと同じく木造の耐用年数を超える30年で、金利は1%半ばだった。

2019年1月に5棟目、6棟目となる木造新築アパートを竣工。20~30代をメインターゲットにデザイン性と快適さのバランスに配慮した1K10戸と1LDK4戸の2棟を企画した。CFは月間40万円程度と高くはなかったが新築のノウハウを培い、いよいよFIREへリーチ。

新築物件の出入り口に設置。megさん曰く「なんちゃってオートロックドア」。防犯対策は物件の売りになると考え、安価で導入を模索した
トイレは1000番台の柄物クロスをアクセントにした
中長期を見据え、差別化物件を作りたいと部材にもこだわった。オプションで導入したステンレス製のキッチン。洗面台もオーダーメイドした

会社に辞表を出そうというタイミングで、Y金融機関から郊外の築1年のアパートを勧められ、断り切れず物件価格1億3000万弱の7棟~8棟目を買うことに。

1棟目アパートの購入から5年弱、2019年3月にmegさんはFIREした。

投資総額6億2000万円。家賃収入は5500万円程度の着地となり、先輩大家2人からの助言にあった投資総額5億円、最低でも家賃収入5000万円を超えることができた。

その後売却を入れ、現在は木造アパート6棟とRCマンション2棟の71戸を所有。現在建築中の4階建てRCも含めて 投資総額は9億円前半(諸経費含めず)、満室想定の年間CFは2000万円という。

今は「マイル修行中」(マイルを貯めてANAの上級会員になるために飛行機に繰り返し利用し、世界を旅する行為) で、アメリカやヨーロッパなどの海外を月1ペースで飛びまわる日々だ。

ところで当初夢見た50歳でのタイ移住は、50代に突入した今も果たせていない。理由を尋ねると「犬2匹を置いて移住できないですよね(笑)」と話す。

すでにタイでの拠点となるコンドミニアムを購入済みで、新型コロナが落ち着いた今年はまずロングステイをする予定だという。

最後にこれから物件購入を考える読者に向けて一言。

「頭で考えるのは必要ですけどほどほどに学んでやってみることかなと思います。私は実力ゼロでしたけど、いざとなれば残債で清算しようと1棟ものを購入しました。

正直、8000万円もの借金は怖かったですが、物件を買ったことで先輩大家さんとの交流も広がり、飲み会などの場で様々な助言をいただきました。飲めない私がいうのも何ですが、これはと思う先輩大家さんに対面で話を聞ける飲み会などに参加してみると視野が広がると思います」

執筆:スドウミキ(すどうみき)

スドウミキ

■ 主な経歴

出版業界で20年勤務。不動産分野を専門とする雑誌での取材・編集をきっかけにサラリーマン大家の夫と出会い結婚。2022年宅地建物取引士の資格を取得。夫の勧めで法人を設立し、築古アパート1棟を購入する。1歳の子どもを持つ一児の母。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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