こんにちは、赤井誠です。もう9月ですが、まだまだ札幌も昼間は暑い日が続いています。夜はやっと涼しくなり、エアコンなしで窓を開けて寝られます。エアコン嫌いの私にとってようやく楽な日々になりました。
私事ですが、先日ゴルフをご一緒した方が今年から突然人工透析を受けなくてはならなくなってしまったと聞かされました。一日おきに病院に行かなくては生きていけず、人生の時間が突然半分になったと嘆いていました。
人生いつ何が起こるかわかりません。不動産投資でお金を稼ぐことも大切ですが、もっと大切なのはその稼いだお金を使って自分の人生を豊かにすることです。不動産投資でお金に取りつかれてしまうと、終わりのない投資を続けるようになります。
私は必要十分の規模に到達していますので、不動産投資はそこそこ頑張りながら、大半の時間は自分の人生を豊かにするために使いたいと考えています。
さて、私の法人は6月末で決算処理を終えました。結果は過去最高利益更新で、8月末には過去最高の法人税を納税しました。最高益を出したことはうれしいことですが、納税額には正直驚いているところです。
今日は損益計算書P/Lの中身を理解・分析するというテーマで書いてみたいと思います。
1、損益計算書P/Lとは
P/Lとはprofit and Loss statementの略で、一定期間(通常は一年間)の会社の経営成績をあらわすものです。
P/Lは収益・費用・利益の要素から成り立っています。すなわちいくらの売上があり、何にいくらの費用を使って、最終的にいくらの利益がでたかということが、この計算書からわかります。
収益の内訳は我々のような不動産賃貸業では、
B)営業外収益 利息や配当金・保険金などの雑収入
C)特別利益 固定資産売却益(物件の売却や車両の売却)などの臨時収入
がほとんどです。
営業外収益や特別利益は、その年によって大きく変動します。重要視しなくてはならないのは、定常的に得られる売上高です。定常的に得られるものを単純に雑収入に分類してしまうのは、決算書的にはあまり好ましくありません。
次に費用の内訳ですが、不動産賃貸業の場合は物販と違い原価に相当するものがほぼありません。そのため費用の主なものは、
B)営業外費用・・・支払利息
C)特別損失 ・・・固定資産売却損など
となります。
利益を増やすには売上をあげるか費用を減らすしかありません。利益が多いからといって、出張・会議・接待交際を過剰に使う人も多いですが、無駄に使うならきちんと税金を納めて利益を上げたほうが結局得だし、決算書の内容も良くなります。
最後に利益です。利益にはいくつもの見方がありますが、私が重要視しているのは営業利益と当期純利益です。
「営業利益 = 売上高 - 販売費および一般管理費」
「当期純利益 = 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用 + 特別利益 – 特別損失 – 法人税・住民税・事業税」
上記のどちらもきちんと黒字であることが重要です。営業利益がない状態は、定常的に赤字があるということです。それを特別利益で補填している状態は、良い状態とは言えません。
また、当期純利益がなければ、会社としては自己資本比率が上がっていかず、こちらも骨太の経営状態に持っていくことはできません。
どちらもきちんと黒字にして、自分の法人では何に費用がかかり、どうやってそれを削減できるのか、経営者としてきちんと考えていく必要があります。
2、営業利益率
私は営業利益と当期純利益はとても重要だと考えていますが、最も重要視しているのは営業利益率です。
「営業利益率=営業利益/売上高」
不動産賃貸業では大抵の場合、売上高が高くなれば、利益は増えます。しかし、ここで油断大敵です。多くの人が、利益が増えてくると、儲かっていると感じてしまいます。
しかし、売上高が1億円で営業利益が2,000万円の法人と、売上高が5億円で営業利益が4,000万円の法人があった場合、どちらが優れた会社でしょうか? それぞれの営業利益率は前者が20%、後者が8%となります。
営業利益率が低い状態ですと、不動産賃貸業で、例えば自殺や事件など、何か売り上げが大きく減少する問題が起きた場合、赤字に転落するリスクが高くなります。
売上高を上げる拡大戦略ばかりを続け、営業利益率を軽視した結果、破綻してしまった人は身近にもいます。売上が増えても営業利益率が落ちている場合、「稼ぐ効率」が落ちているわけで、何かしらの無駄が生じている可能性があります。
このあたりは費用の内訳を常に分析して、無駄が生じていないか、費用を減らせる方法はないかを、しっかりと考えていくことが大切です。
売上が増えれば、通常は外部に仕事を依頼するか、内部で人を雇わざるを得なくなります。それによって効率が上がり、利益も増えていけばいいのですが、利益が増えればリスクも増えているわけです。
そこまでリスクを取って売上を上げていくことの意味が、自分の人生に必要なのか、その部分を常に考える必要があると私は思っています。
ちなみに私の個人事業主と法人二社の営業利益率は20%超くらいでした。社用車を安くしたり大家仲間との会合を減らしたり、ここから改善できることはありますが、人生を豊かにすることが最重要課題なので、このあたりは今の利益率を確保しながら、必要経費として使っていきたいと思います。
3、まとめ
前回のコラムで解説したB/Sや、今回解説したP/Lは、経営状態を把握したり分析したりするために非常に重要な指標です。
参照:バランスシート(B/S)で自分の資産状態(経営の健全性)を確認しよう
不動産投資は遊びではありません。「キャッシュフローが出ているから大丈夫」などと安易な考えで何億・何十億の借金をして進めないで欲しいと思います。
最低限、このような経営数字は把握したうえで、賃貸経営をしていただきたいと思います。