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【不動産投資の法律知識】 初心者大家さんの注意点その4 老朽化物件の難しさ

不動産投資全般/法律知識 ニュース

2024/03/16 配信

今回も初心者大家さんが注意すべきポイントについて、法律知識も交えてご紹介していきたいと思います。第4回は、老朽化物件の難しさです。

前回までも、購入時に不動産をみるポイントについてでしたが、今回は、建物について、特に老朽化物件についてみていきたいと思います。

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独自の整理の仕方にはなるのですが、収益物件を保有する上で、①土地を購入してアパートを建てる(=土地から新築)
②新築ないし10年弱の築浅アパートを購入する
③築15~20年を超える老朽化物件を購入する

と大まかに3パターンぐらいあるかと思います。

厳密に考えると、木造、軽量鉄骨、RC(コンクリート)と耐用年数が異なるので、それぞれ分析しなければならないのですが、築年数10~15年ぐらいを一つのラインとして、築浅か老朽化物件かわかれる印象です。

大規模修繕の必要性という観点からもわかれる、とも言えますし、民法改正前:瑕疵担保(民法改正後:契約不適合責任)の裁判例の傾向からしても、築15~20年を超えてくると、瑕疵担保等の請求が認められづらくなるという部分もあり、やはりこのあたりが一つの分水嶺かと思います。

さて、では、大まかに「老朽化物件」と呼ばれる収益不動産については、高利回りで販売に出されやすいですが、注意点が多数ありますので、その点をお話ししていきたいと思います。

まず、修繕トラブルが多数発生してくる可能性は、念頭に置いておく必要があります。

入居者との兼ね合いで一番多いトラブルだと思います。水回りや給湯器などの故障が多い印象ですが、ひどい場合には雨漏れ問題なども生じてくるトラブルがあります。

賃貸人としては、賃借人が居住するに足りる状態に保つ修繕義務がありますから、物件に故障が生じれば多額の支出が生じても修繕する義務があります。

(賃貸人による修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

対策としては、火災保険等に設備特約等を付加して、故障が保険対象になるように予防しておくぐらいしかないかと思います。

そのため、老朽化物件は「高利回りの代わりに修繕による支出がでるかもしれない」という修繕費を織り込んで、資金計画を組んでおく必要があるかと思います。

また、金額的な損害だけではなく、入居者が入れ替わる際の軽微な修繕トラブルが発生するということも心しておかなければならないと言えます。

よくあるのは、入居間もなくして、「(住めなくはないのだけれども)あれが壊れている、これが壊れている」などの修繕要求がくるケースです。前の賃借人が気にしていなかったが、床の傷や網戸の修繕要求などを行ってくるケースです。

賃貸管理会社が多少なりとも調整してくれることもあれば、すべて賃借人の要求通りに修繕したほうがよいと伝えてくる管理会社もあったりするので、このあたりの問題は、最悪大家さんでどこまで、どの程度修繕するかを自分の考えをもって対処していく必要がでてきます。

まとめますと、老朽化物件では、①修繕費が必要なケースでは金銭支出を事前に織り込んでおくこと、②修繕費が必要かどうかをジャッジしてく必要があること、という2点の対応が求められることは念頭においておかなければなりません。

さて、次は特に区分マンションで難しい問題として、雨漏れの問題をお話しします。区分マンションの場合、大家さんが保有している専有部分と、管理組合が管理している共用部分とがあります。雨漏れが起きた場合、専有部分か共有部分かによって処理方法が変わってくるので、これだけで大変なストレスを抱えるケースもよくあります。

まず、専有部分の雨漏れであれば大家さんが独自の費用で修理する必要があり、共用部であれば、管理組合を通じて修繕してもらう、というのが大筋の整理です。

もっとも、この「専有部分の雨漏れか、共用部分の雨漏れか」のどちらかを認定することに時間がかかりトラブルに発展するケースが多いです。大家さんとしては、共用部と認定してもらい管理組合側に修繕してほしいと思うものの、管理組合としては反対に考えるので、そもそもどちらの部分と認定するのに争いがあり得ます。

さらに管理組合側の動きが遅いことが多く、その認定にも時間がかかるという事情もあります。さらに、入居者側からのクレームが強く、大家さんが自分の保険を使って直したいと思っても、今度は保険会社が自社から保険金を支給したくないので、「共用部の雨漏りでは?」と主張されて停滞することも多々あります。

要は、大家さん、管理組合、保険会社の利害が衝突し得るので、入居所側が雨漏れ被害を受けているにもかかわらず、誰が責任をもって修繕するかの認定に時間がかかることが多く、トラブルが発生しやすいといえるでしょう。

さて、今回のお話しでも、高利回りの老朽化物件ではありますが、修繕トラブル、雨漏れトラブルなどがある、という実態をお話しさせていただきました。

もっとも、ある築古戸建てに集中して購入されていた投資家さんは、購入する戸建てのエリアも比較的近くに集中させておき、修繕が発生したら、安く修繕を依頼できる職人さんをみつけておいて、上手く修繕トラブルに対応している、という方もいました。

雨漏れの専有か共有かという問題は、発生した際には、如何ともしがたいですが、基本的には賃借人への補償まで含めた保険契約によって予防しておくほかないでしょう。

専有部分か共有部分かで争いが酷い場合には、建築士や弁護士が関与するようなケースもありますが、そこまで事前対策はできないでしょうから、どうしてもトラブルが生じた場合には、不動産トラブルに慣れている弁護士に早めに相談して考えていきましょう。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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