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【東京都23区内戸建て投資事例】都心の狭小築古戸建を即買いするも、境界トラブル!5年後の売却益は?

収益物件購入・売却/その他 ニュース

2023/09/21 配信

不動産投資

筆者は、首都圏の築古戸建てを購入、リフォームをして入居付けをおこない、自主管理して運営し、売却して利益を確定するという手法で投資をおこなっている。投資対象が築古であることもあり、5~10年のスパンで定期的に投資物件を組み替えている。

直近1年の間に売却した渋谷区新宿駅徒歩圏の物件の購入から売却までの経緯、トータル収支と、購入した東京都下の物件の購入から入居付けまでの経緯、予想収支を紹介し、首都圏築古戸建て投資の手法について分析する。

■ 渋谷区新宿駅徒歩圏の三重苦戸建で売却益

令和5年8月に、東京・渋谷区の築古戸建てを売却した。売却時のスペック概要は以下のような物件である。渋谷区ではあるが、京王線初台駅が最寄り駅で新宿駅まで徒歩圏という恵まれた立地であった。

立地土地面積建物床面積間取り築年数売却価格
渋谷区・初台駅15分27㎡30㎡1DK47年2,000万

5年半前に1,400万で取得した(三井住友トラストで1,120万のローンを組んだ)が、築古ではあるものの再建築可能な土地の所有権戸建てであり、この好立地にしては好条件が揃っていて希少性が高いということで、飛びついて購入した。

しかし、この戸建てには、土地に大きな問題があった。この土地とコの字型に接する隣地との間に境界争いがあり、なおかつその土地の所有者と上下水道を共用していた。また、この土地が面する私道の持分を持っていなかった。

もちろん、購入時築40年を超えており、過去リフォームをした形跡もなかったので、室内は全面リフォームが必要な状態であった。

購入後、隣地所有者に上下水道を利用させてほしいとお願いしたが断られ、私道から専用の上下水道を引き込むことになった。私道の持分を持っていなかったので、私道の使用・掘削承諾書を各持分の所有者にもらうことになった。

通常、このような作業は仲介会社が購入前に行うが、希少性が高いため無条件に飛びついてしまったためその余裕がなかった。購入後に仲介会社が行ってくれたものの、上下水道はそのまま共用のものの使用を考えていたため、引込工事費用の支出は手痛い出費であった。

結局、貸し出すことができるまで、引込工事費用120万とリフォーム費用250万がかかった。貸し出した際の賃料も当初月10万と見込んでいたが、二人暮らしにも窮屈な程の狭小という点が響いたのか、予想外に伸びず、月8.5万でようやく入居者が付いた。

売却は、ネットの一括査定で最も高値を付けてくださった不動産会社1社と専任媒介を結び、売却を依頼した。

令和5年2月に2,700万で売出したが、反応は良くなかった。個人投資家の方から前向きに検討するという話も何件かあったが、けっきょくすべて流れ、5月には2,500万に下げた。価格を下げてからも指値ありきの申込みが数件続き、7月に2,000万で申込みをして来た不動産業者と売買契約を結び、8月に引渡した。

この物件の6年間の現金収支(キャッシュフロー)をまとめると以下のようになる。

購入時運営時売却時
購入時頭金+諸費用280万円+80万円=▲360万円
水道引込費用+リフォーム費用120万円+250万円=▲370万円
家賃収入8.5万円×12月×5年=510万円
固定資産税等3万円×5年=▲15万円
ローン返済5.5万円×12月×5.5年=▲363万円▲1,022万円
売却収入2,000万円
売却時諸費用▲75万円
差引▲730万円132万円903万円

購入時、三井住友トラストで1,120万円のローンを組んだため、購入時の投資費用は730万円である。それに対し、売却収益を合わせた5年半の収益は、1,035万円である。トータルの収支による年間投資効率は、(1,035万円―730万円)÷5.5年÷730万円×100%=約7.6%となる。

東京・新宿駅徒歩圏という好立地物件の純利益の投資効率としては、悪くない数値といえるものの、ローンを組んでレバレッジをかけている割には投資効率は伸びていない。築古、狭小、境界トラブル有の三重苦物件でリスクが高かったことを考えると、投資としてはあまり割に合わない物件だったといえるだろう。

■ 直近に購入した東京国分寺の築古戸建は客付けに苦心

直近の物件取得は、令和4年8月に、東京都下・国分寺に築古戸建てを購入している。併せて、この物件のリフォームや客付けの経緯、目標とする投資効率も紹介したい。以下が、購入した築古戸建てのスペックである。

立地土地面積建物床面積間取り築年数販売価格予想賃料(空室)
国分寺市・恋ヶ窪駅10分57㎡74㎡2LDK29年1,780万13万/月

この物件と既存物件の共同担保で、セゾンファンデックスにて1,400万・3.75%・21年の条件で不動産担保ローンを組んで購入した。

東京都下の国分寺市の立地だが、最寄り駅は西武国分寺線の恋ヶ窪駅だ。物件の価格の割には、建物が広く水回りなどの状態も良かったため、投資効率は悪くないと予想して購入に踏み切った。室内のリフォームには、壁紙をすべて張替え、一部の床を補修、クッションフロアを張るなどして110万円かかった。

東京都下でも比較的都心に近い立地であり、競合の戸建ても少ないため、すぐに入居者が決まるかと予想していたが、客付けには3カ月かかった。

原因には、最寄り駅が西武国分寺線という立地もあっただろうが、築年数にしては外壁がかなり汚れていたことの悪印象が大きかったようだ。

入居希望者が見には来るものの、なかなか決まらないという状況が続いていた。リフォーム業者からも外壁塗装をした方が良いという提案を受けていたが、予算オーバーであったため見送っていた。

結局、当初予想していた月13万で入居者が付いたので、10年所有して売却するとした場合の予想収支は以下のようになる。

購入時運営時売却時(10年後)
購入頭金+諸費用380万円+130万円=▲510万円
リフォーム費用▲110万円
家賃収入13万円×12月×10年=1,560万円
ローン返済8万円×12月×10年=▲960万円
固定資産税等5万円×10年=▲50万円
その他維持費用5万円×10年=▲50万円
売却収入1,800万円
残債返済(10年後)▲870万円
売却時諸費用▲100万円
差引▲620万円500万円830万円

購入時に内装リフォームを行ったため、維持費用はあまりかからないだろうが、システムキッチンの交換が必要になる可能性がある。それも考慮すると、10年間で50万円程度は維持費用がかかるだろう。10年後、地価の大幅下落がなければ購入時とほぼ同額で売却できると考えられる。

トータル収支の予想投資効率は、(830万円+500万円―620万円)÷10年÷620万円×100%=約11.5%と予測できる。比較的リスクの低い首都圏東京都下の立地であればまずまずの投資効率であるように思える。

■ 首都圏築古戸建て投資の戦略と現況分析

売却した渋谷区の築古戸建
売却した渋谷区の築古戸建

さて、この2件の投資戸建ての売却と購入から、首都圏の築古戸建て投資の戦略と現況を簡単に分析してみたい。

渋谷区新宿駅徒歩圏の投資戸建ては、特に立地面が非常に良く全体としても好条件が揃っていたものの、投資効率がかなり悪い結果となった。

境界トラブルや私道の持分がないなどの土地に関するトラブルがある物件は、たとえ立地が良くても売却に苦労する。そのため、投資効率が悪くなりがちであるといえる。土地に関するトラブルがある物件を購入する際は、慎重に検討したい。

また、首都圏であっても都下の物件は都心に比べると賃貸ニーズが落ちる。物件自体に賃貸ニーズを減殺させるような要因がある場合は、できる限り解決してから入居者を募集したいところだ。

今回の東京・国分寺の戸建てのケースでも、外壁の目立つ汚れが入居者を遠ざける要因となっていた。早めに対処しておけば、その分空室期間が短かく賃料収入で充分にリフォーム費用を回収できた可能性も高い。

入居者が賃貸物件に期待していると予想されるような快適さや綺麗さを損なう部分は、費用対効果を考えてなるべく解決しておきたいといえる。

取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

佐藤永一郎

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。新潟大学大学院博士後期課程在籍。2級FP技能士。会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所(https://fprealestateoffice.jp/)」を運営している。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。大学院にて所得税制を研究中。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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