こんにちは、赤井誠です。もう7月に入ってしまいました。今年もすでに半分経過してしまいました。皆さんの不動産活動はいかがでしょうか。
私は横浜と札幌で3億強の中古の大型物件に取り組んでいましたが、どちらも都銀さんと信金さんから融資承認を得たものの、結果として購入することはできませんでした。
まあ、もう無理してまで拡大する必要はないと考えていますので、今回の購入は今後の安定性を強化するためでした。
安定性を強化するとは、具体的にはシングル物件や駅からやや遠い物件を、ファミリー物件だったり、駅近物件に切り替えていくことです。
今回の物件は一つは2LDKと3LDKのみの大型物件、もう一つは駅から徒歩30秒の物件であるということで、購入活動に取り組みましたが、残念な結果でした。
ただ、良かった点もあります。現在は物件単体での評価は積算の掛け目が6割程度でなかなか物件単体では融資がでないものでしたが、私自身の所有する預金と所有する物件の空き担保が十分にあるという評価を受けて、6億強の融資の承認が出たということです。
私自身は拡大より安定性を最優先する投資をおこなっているので、現在所有している物件の半分は、担保のない物件や大幅に借入金を返済した物件になっており、このあたりが銀行から見ても安全な融資先と認識されているのだと思います。
今回からしばらく、私が重視している経営指標である貸借対照表(Balance Sheet 以下B/S) 、損益計算書(Profit and Loss Statement 以下P/L)、キャッシュフロー計算書について私の考え方をお話ししていきたいと思います。
1.バランスシートB/S
ご存じの方も多いでしょうが、バランスシートは資産の状態を示すものです。下図にあるように、左側部分が所有する資産で、右側部分が負債及び純資産の状態です。
資産の部に流動資産(現金・預金など)と固定資産(土地・建物・設備・車など)があらわされます。
通常の確定申告や法人の決算書では、B/S上の固定資産はすべて「購入価格」であらわされます。そのため、銀行の評価もこのB/Sを基準に行われます。
つまり、本人が相場より割高で買っても、割安で買っても、決算書の評価は何も変わらないのです。
融資の審査の際には、物件は主に積算評価で評価され、「積算評価価格>物件購入価格」の場合はフルローンを受けやすいことは事実です。
しかしながら、それは融資を受けるときであって、一旦購入して自分のものになってしまえば、物件購入価格が固定資産としてあらわされるので、それが自分の資産状態となります。
逆もまた同じで、「積算評価価格<物件購入価格」でオーバーローンで物件を購入したとしても、その価格が固定資産価格となります。
何度もコラムで話していますが、銀行評価を上げていくためには「自己資本比率」を高める必要があります。
これは、「自己資本比率=借入金/(役員借入金+自己資本)」の計算式で求められます。
役員借入金は、B/S上では短期借入金として流動負債の方に分類されますが、実質的に我々のような資産管理会社の場合は自己資本として評価されます。
私は自己資本比率を30%以上に保つように、当初から意識してきました。30%以上とした根拠は、過去何十年間のブラックマンデー・リーマンショックなどの様々な外乱に対しても30%以上の自己資本比率があった会社はほとんど生き残っているという歴史からです。
自己資本比率を高くすることのメリットは、
・経営の安定化
・銀行の融資金利の低下
が主なものになります。
私の場合はそれによって、ちょっとしたトラブルや空室ではびくともしない状態になりましたし、平均の融資金利は都銀で0.4%程度、地銀で0.6%程度、信金で1.1%程度になっています。
低金利は返済における元本比率を高めるため、毎年かなりの金額の借入金が減っていきます。これは、これまで拡大より安定性を重視して、やってきた成果だと思っています。
2.銀行の評価を良くするためにはどうするか
では、B/S上で自己資本比率を高くするためにできることはなんでしょうか? それは、最初から自己資金を入れて買い進めることです。資産規模拡大は遅くなりますが、もっとも堅実なやり方だと思います。
また、もし自分が実際よりはかなり安く物件を仕入れたのだとしたら、その物件を売却して長期借入金を減らし、それを現金に代え、最終利益を上げて利益剰余金を増加させることです。
これにより、B/S上でも大きく自己資本比率を改善することができると思います。
上図のように、一時的に固定資産は減りますが、物件を帳簿上の価格より高く売ることができれば、B/Sは改善されます。
常に自分自身のB/Sの状態を把握しながら資産形成を行うことをせず、単に借金による拡大ばかりに偏ると、非常に経営状態の良くないB/Sが形成されます。それに気が付かないと、いつかは会社そのものが傾くようになると思います。
私はどんな物件でも、この自己資本比率を下回るような買い方は絶対にしないと決めています。自己資本比率を無視してどんどんレバレッジをかけて、見かけ上の資産規模の拡大を行う意味が、私には全く理解できません。
3.まとめ
今回はバランスシートで最も重要視している「自己資本」についてお話ししました。今回は紙面の都合でここまでですが、次回はもう少し掘り下げてお話ししたいと思います。
私の目指す姿は、安定的に今後も家族が生きていけることです。今の資産規模でも十分過ぎる生活を維持できますし、リスクの伴う規模拡大に時間を使うのであれば、自分自身を高めることに時間を使いたいと思っています。
健康に留意し、好きなゴルフのレベルを上げたり、様々な地域を旅して自分自身の経験値を上げたりすることの方が、自分の人生においてずっと大事だと思っています。
また、堅実な生き方・考え方を後継者である息子たちに見せることも私の使命だと考えています。