初めてボロ戸建て投資にチャレンジする
不動産投資の初心者に知ってほしいこと
築古賃貸物件の改修アイディアを軸に、空室対策や不動産活用を実現していくためのプラットフォーム「モクチンレシピ」。
「少しの予算と工夫で、たくさんの魅力を」を合言葉に、会員に向けてコストパフォーマンスの高いリフォームのレシピを提供している。
本連載は、そのモクチンレシピの改修・リフォームのアイディアをもとにした『不動産投資家のDIY&リノべ講座』である。
今回は、これから不動産投資を始めるサラリーマンなど、不動産投資の初心者に人気のボロ戸建て投資について、モクチンレシピ流のアプローチを聞いた。モクチンレシピは全国各地でボロ戸建てのリフォーム実績がある。
物件は古くてもなんとかなるが
立地だけは変えようがない
代表の連さんは「木造の物件なら、ある程度古くても直せます。一方で、立地だけはどうしようもないので、まずは直した後に貸せる場所にあるのか検討しましょう」と話す。
例えば、 崖や擁壁がからむ物件はリスクが高い上、何か問題が発生したときにコストもかかる。
空き家ばかりのニュータウンにある物件も、物件価格は安いが客付が大変になるだろう。
不動産投資の初心者の場合は、接道義務を果たしていない再建築不可の物件も避けたほうがいい。
接道状況が悪いと、物件の前に車を停められないなどの問題が発生し、大規模なリフォームがしにくい。また、売りたいと思ったときに売りづらい。
そのため、安い物件に飛びつくのではなく、「高額な出費を伴うリスクがないか」「再建築ができるか」「客付できるか」を慎重に見極めよう。
お金をかけるところと
かけないところをハッキリさせる
物件を決めたら、リフォームの基本方針を決めていこう。
「広い戸建てを買って全部直そうとすると、リフォームコストが上がって利回りが下がります。力を入れてリフォームするところと、そうでないところのメリハリをつけましょう」
リフォームの優先順位が高いのは、水回りをはじめ、電気やガスなどの設備関係である。入居者の生活利便性に関わるところはしっかりやろう。
一方で、壁や天井、2階の居室部分などは、それほど手を入れなくてもいい。DIYを可能にして入居者に委ねてしまうのもアリだ。
リフォーム業者の言いなりにならず、どこにお金をかけるべきか、冷静に考えてみよう。
ボロ戸建てにもマッチする
モクチンレシピのリフォームアイディア
ここからはモクチンレシピが手がけた東京都足立区・北千住の戸建てのリフォーム例を紹介する。
リフォーム前は見ての通りの典型的なボロ戸建てであった。

ただ、古いからダメということは決してない。
築古木造物件の場合は、柱や梁のノスタルジックな雰囲気が物件の魅力になりうる。そのため、壁と天井はできるだけ触らずに、床のリフォームで差別化するのが賢明だ。
床リフォームは「のっぺりフロア」というレシピの使い勝手が良い。
素材はクッションフロアか、フロアタイルを使用。コスト優先ならクッションフロア、パキッとした仕上がりを優先するならフロアタイルを選ぼう。
クッションフロアやフロアタイルにはさまざまな色と種類があるため、目移りするかもしれないが無彩色( 白・灰・黒)を使うことがポイントだ。

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改修費の目安
¥4,860 / (帖) ※工賃等、諸費用込み
フロアタイルを使用した場合(既存の上から重ね貼りする場合)
< 4.5帖 = 7.29m2 >
7.29m2 × 3000円 = 21,870円
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この物件は、水回りのリフォームにも工夫がある。
「ひとへやシャワー」は、在来構法の浴室から浴槽を撤去し、洗面台を備えたシャワールームに変更するレシピ。清掃性が高く、広々としたシャワールームにすることで、一般的なユニットバスと差別化できる。


北千住の物件も「ひとへやシャワー」を採用している。

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改修費の目安
1.9平米(一般的な在来浴槽)の場合
<内訳>
・浴室解体撤去:30,000円
・洗面台本体:25,000円
・床(バスナフローレ貼り):73,000円
・給水給湯配管工事:95,000円
付属品
・シャワーホルダー:1,000円
・鏡:12,300円
・水栓金物の既存取り外し+取付施工:20,000円
照明
・デッキライト:10,000 × 2 = 20,000円
・エクステリアライト:10,000円
・電気配線工事:30,000円
<合計>
316,300円
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和室にライティングレールを合わせ
レトロモダンな空間をつくろう
和室にライティングレールは合わないと感じる人もいるかもしれないが、そんなことはない。
ライトを電球色にすれば、趣のある和カフェのような空間になる。光量や光色を上手に選べば、空間づくりに貢献してくれる。

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改修費の目安
<内訳>
・レール2m:3,000円
・スポットライト:6,500円 × 3 = 19,500円
・電気工事:10,000円(シーリングに直接引っ掛けるタイプの場合は不要)
<合計>
32,500円
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リフォーム後の戸建てを
どのようにして貸し出すか
直したボロ戸建てをどう貸すかによっても、利回りは変わってくる。賃貸戦略も重要だ。

「最低限のところだけ直してDIY可能な物件として貸し出せば、リフォームコストを押さえることができます。また、広い物件の場合は、きちんと手続きを踏めばシェアハウスにすることもできます。楽しみながら賃貸戦略を考えてみてください」と連さん。
さて、今回はここまで。興味がある人はぜひ、これまでに紹介した連載記事も、あわせて読んでみてほしい。
VOL.1 築古物件の差別化戦略
VOL.2 押入れの改修・リフォーム
VOL.3 300円でできるカラーリング
VOL.4 遊び心のある外構リフォーム (前編)
押入れの高コスパ内装リフォーム(後編)
VOL.5コスパ最強格の照明リフォーム
VOL.6コスパと住み心地を両立させる床リフォーム4選
VOL.7予算1万円からの高コスパ外構リフォーム
VOL.8不人気のアパート1階をウリに変える外構リフォーム4選
VOL.9繁忙期に間に合う! 今すぐできる簡単リフォーム5選
VOL.10プロでも難しい! 素人がやってはいけないリフォーム
VOL.11ちょっと待って! 和室を洋室化する前に知ってほしいこと
VOL.12築古物件をバリューアップする色選びのルール
VOL.13ワンルームをコスパよくリフォームするアイディア
健美家編集部(協力:
(とやまたけし))