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「もっと買いたい病」で法人も個人も信用棄損!サラリーマン不動産投資家・田辺さんのリカバリーストーリー

不動産投資全般/投資家インタビュー ニュース

2023/08/10 配信

レバレッジを利かせ、自己資金わずか500万円で1億6500万円のオーバーローンを引き、34戸のRCを購入。こんな1棟目の購入経験から「買いたい病」にかかってしまったのが関西地方に暮らす田辺さんだ。

「収益性の良い」物件を買うはずが、「買うことそのものが目的」となっていまい、2棟目も6500万円のオーバーローンで20戸のRCを購入。「買いたい病」はそれでも治まらず、3棟目の購入を計画するも三為業者にも相手にされなくなった経験を持つ。

2億を超える借入により信用棄損してしまったことが理由と知った田辺さんはどう対処したのか。

現在は戸建て4戸、マンション3棟、アパート3棟を所有し、特区民泊にも参入。年間家賃収入3500万円超を得る田辺さんがリカバリーするまでを紹介する。

築50年の戸建てを再生。ステージングして募集をかけた。6年前から築古の戸建ても再生する
築50年の戸建てを再生。ホームステージングして募集をかけた。6年前から築古の戸建ての再生にも力を入れる

レバレッジ利かせ規模拡大のはずが
2棟目・6100万円RCの顛末

「1億超える借金は収支が計算できれば怖くはないと考えました」

そう回想するのは簿記2級を保有するサラリーマン不動産投資家の田辺さん。物件保有歴を尋ねると、一覧になったA4サイズ1枚ずつに売却歴、保有物件すべての履歴を確認できた。

物件概要、評価額、物件取得費、資金調達に関連した項目がひと目でわかり、事務仕事を中心にしている日頃の田辺さんの仕事ぶりが伺える。

田辺さんが1棟目を購入したのは2013年のこと。

近く2000万円近い現金を相続する状況下にあり、資産の活かし方を検討していた田辺さん。当時、月に100時間近い残業をしていたため、早くリタイアしたいという思いもあったという。模索する中、1棟目に購入したのは1億6000万円のRCだった。

当時は銀行評価の高いRCをフルローンなどで購入し、短期で物件を繰り返し購入する投資法が流行っており、田辺さんもこうした手法に影響された1人だった。

自己資金はわずか500万円。物件価格1億6000万円のところ、1億6500万円のオーバーローンを引いて購入した。スルガ銀行からの借入で、金利は4.5%だった。

この物件との出会いは、田辺さんがある投資家を訪ねたところその日のうちに数社の業者にアポイントを取ってくれたことに始まる。紹介された数社のうちの1社から購入したのが1億6000万円のRCだった。

女子学生向けとターゲットは明確で、他の物件との差別化もできていた。内見したところ、造りも良かったことから購入を決めたという。

返済比率は40%台で、返済額や諸経費を引いた手残りは月々40万円と田辺さんの試算通りの収益が出た。そこで、「もっと規模を拡大したい」という思いが生まれた。

それから7か月後、2棟目のRCを購入するのだが、結果からいうと大失敗だった。

物件価格6100万円に対し、積算評価は土地と建物を併せても4000万円台。2000万円の評価不足にも関わらず、スルガ銀行から6500万円のオーバーローンで融資を引いてしまった。

「完全な調査不足でした。競合の多いエリアで、いざ購入すると退去が相次ぎ、募集のためのADが5~6か月分必要になったのです。それだけADを積んでも入居はすぐには決まりませんでした」(田辺さん)

購入のきっかけは、ネットで高利回りの物件を見つけ問い合わせたところ、「もっといい物件がありますよ」と勧められたからだった。

おとり広告(※1)を疑いたくなる話だが、田辺さんは現地を見に行き、購入を決めた。表面利回りは11%超えでワンルーム全20戸のうち16戸が入居。利回りだけを見て、1棟目同様にキャッシュフローが出ると計算していた。

※1 おとり広告/該当の物件がないのに募集をしていたり、最初から別の物件を勧めるつもりで広告掲載していたりすること

だが、金利4.5%で、返済比率も50%台後半と収益を圧縮する上、原状回復費に仲介業者へのAD支払い、と田辺さんが想定していなかった費用が次々と出ていった。

「2棟目単体では赤字でした。1棟目の収益があって何とか持ちこたえられました。こんな状況ではあるのですが、このときは買いたい病にかかっていて、3棟目を買ってもっと規模を拡大したいと考えていました」(田辺さん)

個人でダメならと法人を設立し、3棟目の購入に向け物件を見に行くも1年近く融資がつかなかった。

「三為業者(※2)の面談に行っても話は進みませんでした。その時は理由が分からなかったのですが、ある販売業者の面談に行き“信用棄損しているからですよ”と教えられました」(田辺さん)

個人で2億3000万円の借入をしていた田辺さんは、借入額に対し担保評価が不足し債務超過状態と判断されていると、その業者から教えられたのだ。

その販売業者がアドバイスしたのは田辺さんが代表を務める法人に物件を売却し、法人に収益が生まれたところで、融資を引くという方法だった。

※2/三為(サンタメ)業者とは/「第三者のためにする契約」を積極的に行う転売業者。
①売主Aから業者Bへ所有権が移転②業者Bから買主Cへ所有権が移転。①→②の場合に、本来なら2回の所有権移転登記が必要とされるところ、「第三者のためにする契約」を特約とすることで直接売主Aから買主Cへ、1回の所有権移転登記で済ませることができる。三為業者が間に入ると、売主Aと買主Cは共に、元々の仕入れ値や転売された金額を知ることができないため、三為業者が暴利を得ていないかなどの見極めが必要になる

1億5500万の新築木造3階建て購入後
法人でも信用棄損し「物件が買えない…」

田辺さんは販売業者のアドバイスどおり、収益の出ていた1棟目のRCを借入金額と同額で売却し、法人への貸付に。(このとき地銀へ借り換えし、金利を1%台前半まで下げた)併行して2棟目は所有期間わずか1年9か月で売却。幸いにしてすぐに買い手が付き、借入金額とほぼ同額で売り抜けることができた。

その後、販売業者の提携する金融機関で融資を受け今度は木造3階の新築建売を法人で購入してしまう。

この物件も積算は土地・建物共に3000台後半と評価が伸びず、金融機関からフルローンを引くことはできなかった。1億5500万円の物件価格に対し、借入できたのは1億4000万円。諸経費を含めると2000万円の自己資金を入れて購入できた。今回も返済比率は50%台後半と高めだった。

3棟目の購入後もさらなる規模拡大を考えていたが、いよいよ法人でも融資はつかなくなった。

打つ手が見えない中、担当税理士から不動産投資家らが情報交換する大家の会があることを知った田辺さんは、関西地方で活動する『ドリーム家主倶楽部』(完全紹介制)の勉強会に参加する。

「この頃はさすがに物件も金融機関も、管理会社を探してくるのも業者で、自分は大家として何をしているだろうかと思うようになっていました。

勉強会では、100万円の戸建てを直して4~5万円で貸すといった実例を聞きましたし、“少しずつ積み上げていって信用を作っていきながら、大きく増やしていくというのが僕らのスタイルです”、といった会の方針は胸に響きました。

サラリーマン投資家の参加者も多く、皆さんの勉強意欲にも刺激を受けました。ここでなら主体的に取り組んでいける、と思いました」(田辺さん)

早速、会の代表で不動産会社を経営する加藤薫さんに保有物件の話をしたところ、開口一番「キミ、売ったほうがええ。信用棄損しとるから評価されへん」

ようやく目が覚めた田辺さんは、身ぎれいにしようと法人所有となっていた1棟目のRCを1億9500万円で売却。残債を差し引いても3000万円近い売却益を出し売り抜けることができ、結果として田辺さんの新たな物件の購入資金となった。

保有物件を整理した田辺さんはこの後、投資スタイルをガラリと変えていく。

100万円の雨漏り戸建て
購入から25日後、250万円で売却

コロナ禍の2021年。50代となった田辺さんは築40年の戸建てを100万円で現金買いし、わずか25日後に250万円で売却した。

「付き合いのある業者さんから相続案件の戸建ての話をいただき、その日のうちに下見に行き、購入を決めました。ただ、雨漏りがあり、修繕には300万円程度の費用と、時間もかかりそうでした。考えた末、決済時にすぐに売りに出しても構わないかを業者さん経由で相続人に相談し、了承をいただきました」(田辺さん)

庭には一風変わった石があったが、こちらも交渉し、売主に撤去してもらった。購入から25日後には次の買い手が付き、田辺さんは100万円を超える売却益を手にすることになった。

オーバーローンを引いていた頃の田辺さんは売買業者と対等に付き合えず、田辺さん自身も有利になる話し合いができなかったが、現在の田辺さんは複数の業者と水面下で情報を得られる関係を築いており、一見難しいようにも思う交渉を堂々と行っている。

実は前出の『ドリーム家主倶楽部』に入会後の2017年から田辺さんは就業後の1~2時間や土日を使って業者開拓を続けてきた。

今は20~30社の業者と付き合いがあり、売り物件情報だけでなく入居募集についても協力関係が築けている。これらは『ドリーム家主倶楽部』の方針である「時間があるなら業者周り」を実践した結果だ。

以前の田辺さんはRCのような大型物件を好んで購入していたが、現在は売れば100万円~250万円程度の売却益の出る築古戸建てから、耐用年数オーバーの鉄骨造マンションや木造アパートまで幅広く保有する。

新たにRCも購入したが、物件価格は5000万円台のもので、土地・建物を合わせた積算は3000万円台後半まで出ており、フルローンで融資を引いた。回り道をしたが、投資家仲間の触発を受け、能動的に動いた結果が着実に出ていた。

購入後の募集にも力を入れており、募集物件を思い出してもらえるよう仲介業者に営業するほか、空室にホームステージング(※3)を取り入れ、戸建てや1棟ものを満室にしている。

※3/ホームステージングとは、室内に家具やファブリック、観葉植物などを配置し、実際に住んでみてどのような空間づかいができるのかを想像させる演出。競合物件との差別化を図ろうと賃貸物件で取り入れる人も増えている

築47年戸建ての再生例(1)。本業に支障ないようDIYはせず、工事業者にリフォームを依頼
築47年戸建ての再生例(1)。本業に支障ないようDIYはせず、工事業者にリフォームを依頼
築47年戸建ての再生例(2)。家具はステージング業者からレンタルしている
築47年戸建ての再生例(2)。家具はステージング業者からレンタルしている
築37年のS造の再生例。黒をアクセントに用い、スタイリッシュな印象に
築37年の鉄骨造の再生例。黒をアクセントに用い、スタイリッシュな印象に

2部屋で特区民泊を開始
一般賃貸の5倍の売上

新たなチャレンジも始めている。2018年には大阪市で購入した物件の2部屋を使い、特区民泊を開始した。

特区民泊に転用した部屋。内装はデザイナーに依頼した
特区民泊に転用した部屋。内装はデザイナーに依頼した

「コロナの時期はボロボロでしたが、今は70~80%稼働できています。多いときは2部屋で月50万円の売上になっています」(田辺さん)

一般賃貸で入居をつけても家賃4~5万円のところ民泊にし、売上ベースで5倍となった。民泊転用しなかった部屋は、そのまま一般賃貸に。こちらの売上で銀行返済分は賄えており、民泊で稼ぐほど手残りになっていく計算だという。

このように田辺さんは最初に購入したRC2棟と木造3階建売新築1棟を売却し、「信用棄損」を回復。加えて再度の信用棄損をすることがないよう元本が早く減っていく元金均等を選択している。

現在は戸建て4戸、マンション3棟、アパート3棟を所有。特区民泊にも参入し、年間家賃収入にして3500万円超を得られるまでになった。

「サラリーマンの自分を見つめ直したときに、不動産投資を始めた頃は、残業が月100時間を超えることもあって、早くリタイアしたいと考えていました。不動産収入が増えてきたことで自信が生まれ、職場に言ってダメなら専業になろうという思いで、ポジションを下りたいと話すことができました。

最初描いていたゴールとは異なりますが、兼業で、サラリーマンでいながら働き方を選べる立場になれたということが、不動産投資を始めた一番の収穫だと思っています」(田辺さん)

執筆:スドウミキ(すどうみき)

スドウミキ

■ 主な経歴

出版業界で20年勤務。不動産分野を専門とする雑誌での取材・編集をきっかけにサラリーマン大家の夫と出会い結婚。2022年宅地建物取引士の資格を取得。夫の勧めで法人を設立し、築古アパート1棟を購入する。1歳の子どもを持つ一児の母。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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